横川

 新幹線は、地方に行くときにはとても便利な鉄道ですが、その新設によって、それまでの路線が廃止されたり、区間によっては、第三セクターに運営が移管されたりしています。長野新幹線の開業は、高崎駅から長野駅を経て新潟駅までの路線であった「信越本線」を変えてしまいました。今は、信越本線は二つの区間に分割されています。一つは、群馬県高崎市の高崎駅から群馬県安中市の横川駅までと、もう一つは、長野県長野市の篠ノ井駅から新潟県上越市の直江津駅を経由して新潟県新潟市中央区の新潟駅までです。
もともとの信越本線の区間のうち、軽井沢駅と篠ノ井駅の間は、昨日のブログで取り上げた第三セクターしなの鉄道に経営が移管されて存続されているので、廃止された区間は、横川駅と軽井沢駅の間です。今後、2014年度に北陸新幹線ができた時には、長野駅と直江津駅の間も第三セクター鉄道として経営分離される予定ですので、もしそうなったら、信越本線は、3区間に分かれることになります。
廃止された横川駅と軽井沢駅の間は、現在はバス輸送になっていますが、一部の区間は、遊歩道として整備されています。それは、この間には、昔から坂東と信濃国をつなぐ道として重要な要所で、難所としても有名な「碓氷峠」がありました。この道は、江戸時代には中仙道が五街道のひとつとして整備され、旧碓氷峠ルートが本道とされました。その碓氷峠は、関東と信濃国や北陸とを結ぶ重要な場所と位置づけられ、峠の江戸側に坂本関という関所が置かれました。そして、峠の前後にはそこを越える前に宿泊する坂本宿と、反対側には軽井沢宿が置かれました。
鉄道でも、この碓氷峠を越えることは早くから重要視されていましたが、当時の技術では越えることはなかなか難しかったようです。ですから、とりあえず上野駅から横川駅までの間が1885年に、さらに軽井沢駅から直江津駅までの間が1888年に開通しましたが、横川駅と軽井沢駅の間は輸送のネックとなり、なかなか東京・新潟間が全線開通できませんでした。しかし、延長11.2kmの間に18の橋梁と26のトンネルが建設され、やっと1892年に工事が完了し、横川・軽井沢間が開通したのです。
こんな越すに越されぬ「碓氷峠」には、峠の茶屋があり、団子があるのが定番ですが、横川駅では、上野から横川駅まで開通した年の1885年に、横川駅前で「おぎのや」が創業します。その後、横川駅と軽井沢駅の間にある難所「碓氷峠」を越えるために、全ての列車がここで機関車の付け替えまたは補助機関車の連結を行いました。そのため横川駅での停車時間は長いために「おぎのや」では、駅弁を販売し始めます。最初は、それほど業績は好調ではありませんでしたが、1957年に当時おぎのやの社員であった田中トモミ(のちに副社長)が発案した、「峠の釜めし」がヒットを飛ばし、全国に知られるようになりました。この「峠の釜めし」は長野県各所のドライブインでも売るようになり、昔は、私のルーツの地である諏訪に行くときに、いつも買って食べていました。
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この駅弁は、直径15cmほどの栃木県産の益子焼の釜に入った醤油味の炊き込みご飯です。この容器は、持って帰って灰皿などにしたものですが、本当は、単に釜の形をしているだけではなく、実際に1合の御飯を炊くことができます。
ちょっとしたアイデア一つで、会社が変わるのですね。

横川” への4件のコメント

  1. 当ブログを読むたびに「あ~行ってみたい!」と思うことがあります。今回の横川及び碓氷峠も行ってみたい地です。かつて碓氷峠を越えるため蒸気機関車が連結され重そうに峠を上り行く映像をみてその峠にとても興味関心を頂きました。連結蒸気機関車で峠を上り行くことにも興味がありますが、それ以上に車窓から見える風景に関心を抱きました。そして横川駅の「峠の釜めし」。この釜めしのことは何かで読んで知っており一度は味わってみたいと思ったものです。そう言えば、先日その釜めしの容器を拝見し重さを体感しました。結構ずっしりした重さがあったと思います。「栃木県産の益子焼」ならなるほどその重さかとブログを読みながら納得したところです。いつか行ってみたいですね。

  2. 蒸気機関車から電気機関車へ、そして新幹線と日本の鉄道は飛躍的に進歩したわけですが、その反面、旅の楽しみはどんどん失われていきますね。碓氷峠は日本でも有数の険難の地で、昔は「アプト式」というとても珍しい鉄道が敷かれていたそうですが、いっぺん見たかったですね。
       これより音に聞きいたる 碓氷峠のアプト式
       歯車つけておりのぼる 仕掛けは外にたぐいなし
    このように鉄道唱歌にも歌われていますが、当時はずいぶん苦労したようです。峠の釜めしも、昔、うちの家にも一つ二つ転がっていましたが、さて、横川駅で買ったものか今では定かではありません。駅弁はやっぱり鉄道の旅の途中で買ったほうが一段とおいしい気がします。

  3. ちょっとしたアイデア。これがなかなか難しいんですよね。何も考えずにパッと出てくることではないと思うので、こういう話には惹かれてしまい、食べたくなってしまいます。釜入りで終わらずに後で利用することができるようにしてあるところも魅力的です。何かを思いついたとき、そこがゴールと思わずにさらに先を考えてみることも、よいアイデアを生み出すためには必要なんでしょう。

  4.  峠の釜飯弁当は私も何度か食べたことがあります。デパートなどで開催されるイベントの「駅弁大会」で、よく親が買ってきました。と言っても、だいたい私は焼肉弁当を食べていましたが…。
     そんな「釜飯弁当」もアイディア一つでこんなにも有名になるなんて、思ってもいなかったでしょうね。昨日たまたまテレビを見ていましたら、ふとした瞬間のアイディアから、爆発的な便利グッズのヒット商品を生み出した人が何人か出ていました。ヒット商品を考え出したきっかけというのは、長時間考えたり、研究したりせず、例えば「上を向いた瞬間にひらめいた」など、そんな簡単な理由でした。普段何気なく生活している中でも、生活だけに限らず、色々な場面に役立つヒントがたくさん隠れているのですね。

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