今日は、朝から長野県小諸市で講演があったので、昨日の夕方小諸入りをしました。駅に着いて少し時間があったので、すぐ近くの懐古園に桜を見に行ってみました。少し散り始めていましたが、まだちょうど盛りでした。
小諸駅は、JR小海線の駅です。小海線は、山梨県北杜市の小淵沢駅からこの小諸駅までを結ぶ、八ヶ岳東麓の野辺山高原から千曲川の上流に沿って佐久盆地までを走る高原鉄道路線です。途中、清里駅と野辺山駅の間には標高1375mの「JR鉄道最高地点」があり、野辺山駅は標高1345mの「JR線最高駅」です。
しかし、東京から小諸に行くには、小海線経由では時間がかかるので、違うルートで行きます。それは、長野新幹線で軽井沢まで行き、「しなの鉄道」に乗って、小諸駅まで行きます。この「しなの鉄道」は、もともとはJRでしたが、新幹線ができることになって、長野市が75%の出資をして信越本線の軽井沢駅から篠ノ井駅の間を結ぶ鉄道を運営する会社として設立された第三セクターです。
この路線は、当然新幹線ができたために、長距離利用客はみんなそちらを利用してしまい、乗客は減り、開業当初から経営は苦しく、2001年9月の中間決算では累積赤字が24億円以上になり、資本金23億円を上回る債務超過状態に陥りました。その状況は、誰でもわかり、仕方ないと思ってしまうところですが、その後の取り組みが、トップによってこうも変わるかという良い例です。まず、赤字が大きくなった翌年の2002年に、当時の長野県知事であった田中康夫氏は、急成長している旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)社長の澤田秀雄氏に、しなの鉄道の再建を依頼します。彼は、HISに在籍していた杉野氏を社長に推薦します。
彼は、その後2年間に経営改革を行います。たとえば、高齢者の乗降介助を行う「トレインアテンダント」やサポーター制度を新設したり、JRでなくなったために使用されなくなった発券機は、会社の公式ホームページで一般向けに販売したりします。また、不利な契約の解消やコスト削減と増収、「儲ける」事を意識付ける厳しい社員教育を行いました。
そのような経営改革により、しなの鉄道は減価償却費前の利益で黒字計上するようになりました。しかし、大口出資先である長野市の当時の田中康夫知事は、2004年には減損会計導入を進めたいと言い、「上下分離方式」を主張する杉野氏と対立することになります。しかし、大口出資先である長野市にはかなわず、杉野氏は社長を辞任することになります。次の社長として、減損会計に踏み切るために、スカイマークエアラインズ(現スカイマーク)の元社長であった井上雅之を社長に迎えます。彼も、駅構内で宝くじを販売したり、鉄道施設内での映画、テレビドラマ、コマーシャル撮影の誘致をしたり、さまざまな事業を展開します。その結果、2005年度決算において開業以来の初めて最終損益において黒字を計上したのです。
その井上氏は、昨年辞任していますが、さまざまな取り組みは受け継がれ、黒字も続いているようです。人が少ない、そんな環境ではないから仕方ないは言い訳かもしれません。
小海線は、その昔清里に旅行した時に乗った覚えがあります。別名「八ヶ岳高原線」とも呼ばれるだけあって、緑豊かな林の中を走るとても牧歌的な鉄道でした。その時から、懐メロの「高原列車は行く」のモデルはここだと信じていたんですが、どうも違うようです。この歌を知らない方のために、1番の歌詞をー。
汽車の窓から ハンケチ振れば 牧場の乙女が 花束なげる
明るい青空 白樺林 山越え谷越え はるばると
ラーラララー ララ ラララララーラ
高原列車は ラララララ 行くよ
実はこの歌を作詞した丘灯至夫は、若い頃病弱で、福島県の磐梯急行電鉄(今は廃線になっている)に乗って、中ノ沢温泉に湯治に行っていて、その頃の思い出を元に作詞したそうです。でも、作曲した古関裕而先生は、アルプスのイメージで曲を書いたようなので、私みたいに勘違いしている人は多いでしょうね。
やろうと思わなければ何もできませんし、初めからあきらめていては何も変わりません。難しいことですが、一番大切なことなんでしょうね。こうした例を聞くと言い訳している場合ではないと、強く思わされます。目的が実現するまで粘り強くやり続けることも大事です。こうした刺激はありがたいです。
JR小海線・・・懐かしいですねぇ。大学卒業後働いた社団法人の事業の一つに「国際子どもキャンプ」なるものがあり私は事務局員としてその段取りに関わりました。そのキャンプ地が清里。中央本線から小海線に乗り換え清里に向ったことを思い出しました。そして野辺山駅の「JR線最高駅」の表示を目にして感動しました。私の故郷には「本州最東端」のJRの駅があり、「最」つながりで記憶に残りました。仕事として清里に出かけましたがキャンプ二日目に祖父の訃報が届き急遽帰らなければならなくなりました。帰りの「野辺山駅」は別の意味で私に迫り来るものがありました。さて、「しなの鉄道」の経営改革は町おこし同様とても重要なメッセージを私たちに伝えてくれます。
地方の鉄道は電車より車を使う人が明らかに多いので、乗車率は低いのは否めませんが、だからと言ってブログにも書いてありますが、人が少ないというのを言い訳にしていては何も始まりません。この「しなの鉄道」の再建の話しは、とても大切なことを教えてくれていると思います。何事もマイナスに考えてたり、言い訳から入らず、まずは何でも行動していくことが大切だと思いました。