「愛」の前立の兜を身につけた直江兼続は、利によって動く戦乱の世にありながら、上杉謙信の「義」を尊び重んずる生き方を引き継いでいます。今の時代に求められている「義」の心、その「義」をひたすら追求し、その義によってまっすぐに生きようとした精神が、今NHK大河ドラマで描かれている「天地人」の主題かもしれません。
今日、早速妻と見に行った「レッドクリフPartⅡ」のパンフレットには、映画感想家の大林さんがこの映画のことを「男たちの魂は、“仁・義・礼・智・信”という思想から外れることなく、女たちの心は決して“愛”に迷うことなく、かくも熱き死闘を繰り広げた。」と書いています。そして、ウー監督の一貫するテーマは、「正義、勇気、友情、絆、愛」であるとしています。そして、「義」を軸に「希望」を描くことにブレはないといいます。したがって、「“義”と“愛”がある限り進化し続ける」とウー監督を総評します。
この映画のもとである「三国志」は、吉川英治作品と、横山光輝の作品で知った私の中の主人公は、「義を重んじ、常に民のことを思う劉備玄徳」ですが、この映画は、どちらかというと、孫権の司令官「周瑜」と、劉備の軍師である「孔明」との友情と、作戦が中心に描かれていました。映画は、全体としては、漫画を見ている感じでしたが、パンフレットの最初に書かれているウー監督の日本人に向けて書かれてあるメッセージに、この映画を見る意味を感じます。
「私たちが暮らしている今は、過去に生きた人々の勇気ある行動が積み重なってできてきました。世界的不況・不信の時代だからこそ、一人一人の決断で今を変えて新しい未来を作りましょう。みなさんがそれぞれの“奇跡”を起こす時です。未来に勇気を。」
物事の正しい道筋や、人間のふみおこなうべき正しい道のことを「義理」といいます。いわゆる対人関係や社会関係の中で、お互いに守るべき道理のことを指すこともありますが、そうではなく、いわゆる「正義の道理」を意味する場合は、朱子学柄来ています。林羅山は、「義理」を「人の履むべき道」という意味で使っていますし、中江藤樹には、「明徳のあきらかなる君子は義理を守り、道を行ふ外には毛頭ねがふ事なく」と「文武問答」で書いています。
先日のブログで紹介した上杉謙信の「家訓」の中にも3番目に「義理」が出てきます。「心に欲なき時は義理を行ふ」とあります。心に欲がないときにこそ、義理の道を行うことができるということです。人は、いろいろな行動を起こす時、仕事をするとき、利益を得ようとする時、何をその根拠とするのでしょうか。そこには、私は「大義」が必要だと思います。しかし、何が「人のふみ行うべき重大な道義」である大義であるかは、とてもむずかしい判断です。ですから、上杉謙信は、大義を持って動くときには欲を持ってはいけないと言ったのでしょう。そして、このような精神があったからこそ、「義」の将として後世になっても評価されたのでしょう。
映画「レッドクリフ」、NHK大河ドラマ「天地人」ともに「義」がテーマであることは、偶然なのでしょうか、今の人に求められている精神なのでしょうか。
今回のテーマ「義」とは字の持つ意味を理解することが難しくまたその実践はさらに難しいことです。上杉謙信公家訓3番目の「心に欲なき時は義理を行ふ」。欲は目を曇らし判断を違える、したがって欲があるうちは「義理」は実現できない、ということでしょうか。「義」も「理」も平易に解釈すると「意味」ということになりますが実は仏教で言うところの「悟り」の情態です。それゆえ「大義」とは「大悟」。現代という時代はマネー神に人々が翻弄される前代未聞の時代かもしれません。私利私欲が渦巻き「義」「義理」を覆い隠そうとしています。わが国の教育が「再生」できないのも「既得権益擁護」という「私利私欲」が「大義」の仮面を被って大手を振って闊歩しているからにほかならないと常々思っております。
今の世の中を変えるためには、何かを捨てなければいけないのかもしれません。価値観が多様でなくなり、多くの人が収入や地位にこだわっているのだとしたら、そこから離れることも必要なのではないでしょうか。そこから離れて、リーダーが大義をもって行動すれば、少しずつでも変わっていくように思います。
「私たちが暮らしている今は、過去に生きた人々の勇気ある行動が積み重なってできてきました。世界的不況・不信の時代だからこそ、一人一人の決断で今を変えて新しい未来を作りましょう。みなさんがそれぞれの“奇跡”を起こす時です。未来に勇気を。」この言葉のように、人事ではなく自分のこととして、社会に対して何をすべきかを考えなければいけませんね。「愛」に続いて「義」も難しいです。
保育関係の業者ですので、一応「利」を求めて仕事をしているのですが、藤森先生との運命的な出会い(本人はそう思っている)が今のように「義」(社会的貢献)の考え方を事業に取り入れるきっかけになりました。最初は50人から始まった藤森先生のセミナーも昨年は100名を超えるまでになりました。私の保育園の顧客で先生のお名前を知らない人はいません。見守る保育の実践園も少しずつ増えてきました。でも、最近、「これほどのことをしてあげてるのに…」とつい愚痴をこぼしたくなることもあります。まだ、私は「大義」に生きていないんですね。「欲」を捨て、「大義」を持って動くこと、これからの自分の課題です。
「義」という言葉をネットで調べてみました。すると「人として守るべき正しい道。道義」と書かれていました。意味だけ捉えると、人として当たり前の内容かもしれません。ですが個人的に「義」という言葉から意味を見ると、とても深く感じました。「天地人」も「レッドクリフ」も確かに人間関係の奥深さを感じさせてくれていますね。藤森先生の言われ通り、二つの話は、今の人に求めている精神かもしれません。これは偶然でなく必然だと思います。