私の園の園歌は、私が作ったものですが、もともとは私が主催していた子供会のために作ったものでした。その歌の3番の歌詞は次のようなものです。
「夢を探そう 僕らの町で 愛を語ろう 私の町で みんなの夢を集めれば 愛のあふれる 町になる」
 今年のNHK大河ドラマ「天地人」の主人公である武将・直江兼続の兜の前立には「愛」があしらわれていることで有名です。その兜を、先日米沢市の上杉神社稽照殿で見てきました。
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兼続が、なぜこの「愛」という文字を使ったかは、俗説として「仁愛」や「愛民」の精神に由来するとも言われていたり、上杉謙信の『義』に対する教えを学び、愛国心を常に持つためなど、色々と説はありますが、テレビの宣伝文句として、「ひたすら利のみを求める戦国時代に、「愛」を重んじ、「義」を貫き通した武将・直江兼続。」という言葉が用いられ、いかにも今の時代に多くの人が欲しているであろう内容になっています。しかし、実は、良くわかっていませんし、どうも今でいう「愛」ではないようです。今の有力な説としては、上杉謙信が毘沙門天の信仰を表した「毘」の字を旗印に使用するなど、当時、神名や仏像を兜や旗などにあしらう事は広く一般に行われていたことから、「愛染明王」や「愛宕明神」など軍神的な要素を入れたのではないかということや、または「愛宕権現」の信仰を表したものではないかといわれています。
「愛」という概念はとても難しいので、ここでそれを解き明かそうとは思いませんが、平安文学では「愛(かな)し」と読ませ、いとおしみ離れ難い心境をあらわすことばでした。ですから、私が作った園歌の中の「愛を語ろう」は、地域や子どもをいとおしむ気持ちを表しているつもりです。しかし、国をいとおしむ気持ちである「愛国心」を、戦時中に国に対する「忠誠心」と同じように使われ、政府が世論を掌握するに効果的であった徹底的な国家に対する愛国(忠誠)心教育が実施されたために、本来の意味が誤解されることがあります。
今月4月1日から全国の小学校・中学校において、新しい学習指導要領の一部が先行実施されていますが、この新しい学習指導要領では、教育基本法の改正等を踏まえ、改定されています。教育基本法の「教育の方針」第2条には、「教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。」と書かれてありましたが、今回の改定では、「教育の目標」第二条の五に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」との表現を加えたことで、「我が国と郷土を愛する」というように「愛」という言葉をはっきり使ったことと、「道徳教育」の目標に「我が国と郷土を愛し」との表現を加えたことなどから「愛国心」論議がなされました。
家族を愛し、地域を愛し、国を愛することは別に悪いわけではありませんが、「国に対して、自分を殺して忠誠を誓え!」と言われるとちょっと首をかしげたくなります。

” への4件のコメント

  1. 今年のNHK大河ドラマの影響で直江兼続所用の兜にある「愛」という文字には関心がありました。どういう意味があるのだろうと疑問に思っておりましたが本日のブログに紹介された「愛染明王」や「愛宕明神」の「愛」であるという説に合点が行きました。仏教における「愛」はそれ自体悟りを妨げる煩悩に通じる場合が多く例えば「愛欲 kama、渇愛 tanha、trstna 」などとして使われます。しかも「愛」に「いとおしむ気持ち」という意味がある、ということは私にとって新発見です。園の歌の3番目の歌詞はとてもいいですね。「みんなの夢を集めれば 愛のあふれる 町になる」・・・小異は捨ててこうした大同につけばいいのに、と心底思います。さまざまな疑問が氷解し今夜もゆっくりと休めそうです。

  2. 先日もスペースシャトルの話題で、宇宙飛行士の言葉を紹介しましたが、宇宙を実体験した飛行士たちは、口々に広大無辺な宇宙空間にぽっかり浮かぶ地球を限りなくいとおしく思うようになると言います。宇宙的視野に立つと、「地球愛」ともいうべき感情が湧きあがってくるのです。宇宙から見た地球には、国境も民族の境界も見えません。そこにはただ美しく輝く「宇宙船地球号」があるだけです。そこに乗っているのは、「地球民族」ともいうべき人々なんです。これからの子供たちに教えたいのは、偏狭なナショナリズムではなく、地球民族として、この地球を愛し同胞を慈しむことだと思います。

  3. 「愛」は難しいですね。一言で言うことができないので、たぶん私は「愛」を理解できていないのだと思います。そんな人は多いのではないでしょうか。でも、学習指導要領の中ではその言葉が使われていて、それが教育の実践にどのようにつながっていくのか興味があります。教師はどのように「愛」を理解しているのでしょうか。「愛」を否定するつもりはありませんが、「愛」という言葉を使うことで大切なことを伝えているという気になってしまったりする難しさがあると思うので、「愛」から何を伝えたいのかをはっきりさせておく必要はあると思います。

  4.  戦国時代の武将も様々な兜をかぶっていますが、直江兼続の「愛」という字を兜に掲げているのは、とても強い印象を受けました。またブログにも書かれていますが、キャッチフレーズも「愛を重んじ、義を貫き通す」と言われていうほどなので、自分の  家臣や町人などの関係がとても深いものだったと思っていましたが、そういう「愛」ではないと言われると、不思議に感じます。
     自分の国を愛することは決して悪いことではありませんが、それを強制的に愛させるのは確かに間違っている思います。ブログを読んでいて以前まで「愛」というのは人との関係だけに存在するものと思っていましたが、そうではなく、色々と深い物を感じました。

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