今、日本では、ペットボトルのお茶の中で、緑茶や紅茶同様に中国茶が売られています。ずいぶん前からですが、ウーロン茶はすでにポピュラーですし、中華料理屋でよく出るジャスミン茶やプーアル茶などもよく飲まれるようになっています。また、葉からだけでなく、あの香りの強いきんもくせいの花から作られた桂花茶のような花茶というものもあります。実は、ジャスミン茶(茉莉花茶)もその仲間です。ずいぶん前に、桂林に行った時には、いつもそのお茶でした。
 また、最近、いろいろなところで、中国茶を飲ませる店が増えてきています。同時に、そこでは茶葉とか、中国茶器なども販売していますし、店内で飲むときには、あるパフォーマンスをやりながら注いでくれるところもあります。そのように、日本の茶道のように中国にも茶道があるようです。それほど本格的ではなくても、お茶の飲み方は違うようです。やはり私が上海に自然教育の視察で訪れた時に、先方の農林局の職員は、茶葉を入れた水筒のような筒にお湯を入れて飲んでいました。そして、飲み終わると、どこかに立ち寄って、そこにお湯を足してもらっていました。その時に、中国では茶葉はお湯の中にいつも入っていて、苦くならないのか、また何回もその茶葉で飲んで味が薄くならないのかと不思議でした。
 こんな中国茶の話を、話題のレッドクリフに絡んで中国茶評論家の工藤佳治が朝日新聞に書いていました。「吉川英治の小説「三国志」の冒頭は、黄河沿いの船着き場で、船が着くのを待つ劉備のシーンから始まる。故郷に帰るのに、当時の都・洛陽から船に乗っている商人が運んでくるお茶を、働いてためたお金で、買って帰ろうというのだ。故郷の母へのお土産である。物語の時代は、後漢後半。2世紀の終わり頃の話であろう。お茶が薬から飲料としての定着が次第にされ始めた頃である。洛陽から黄河を下る船に載っていたお茶は、いったい何であったろうか。当時、洛陽は栄え、各地の物資の交流は盛んであったという。洛陽ではお茶は採れなかったはずだ。小説で吉川英治も書いているように、当時お茶は、若造が働いてためたお金くらいでは買えない高価なものであったろう。洛陽は、現在の省でいえば河南省の都市。洛陽よりずいぶん南だが、河南省には紀元前後からの茶区がある。現在も、信陽毛尖というお茶が作られている。映画のタイトルになっている「赤壁」は、現在では湖北省赤壁市。十年ほど前の地図を見ると、赤壁は、小さな地名として見ることは出来ても、市としての名前にはなっていない。お茶を産するところでも知られている。」とあります。
 中国でも、茶は最初は高級でしたし、取れるところは限られていたようです。しかし、中国茶というとずいぶんとその範囲は広いようです。分け方でもわかりやすいのですが、
製法によって大きく6種類になります。青茶・黒茶・緑茶・紅茶・白茶・黄茶で、これらを六大茶類と呼びます。この色の違いは、発酵の進行度合いにより、水色(淹れた茶の色)が濃くなり、味も濃厚になっていきます。日本同様、中国でも最もポピュラーなお茶は「緑茶」で、中国本土で消費される中国茶全体の消費量の7〜8割を占めます。
 ある程度発酵を進ませ、その後加熱処理を行った茶が青茶です。茶葉が発酵過程で銀青色になるため「青茶」と呼ばれます。その中で、よく揉みこまれ、茶葉のひとつひとつが球状とか曲がりくねった棒状になり、その茶葉の形が竜の姿に似ていて、色が烏のように黒いために烏龍茶と呼ばれるようになった茶も青茶の一種です。
 映画レッドクリフを見るとき、お茶のことを考えることで、映画の面白さが増されるかもしれません。