ヨモギ

 昨日の3月3日は「ひな祭り」でした。古代中国では、このころに春の七草を入れた団子を食べる習慣がありました。それが日本に伝わり、ヨモギを入れた餅を食べるようになりました。それが草餅(蓬餅)ですが、その草餅の上に紅白の餅を置いた和菓子が、ひな祭りに飾られる菱餅です。ヨモギは古来より、その香りが邪気を払う、厄を払う魔除けの力があるということで縁起がよいとされ、また、薬草としても重宝されてきたので、桃の節句の時に女の子の健やかな成長と幸せを願い、下から緑・白・ピンクの順番で重ねた餅が飾られるようになったといわれています。
このヨモギは、誰でも知っていると思いますが、それは、日本各地の山野や道端などに自生しているからで、キク科の多年草です。このヨモギが薬草と呼ばれるのは、漢方名で「艾葉」と呼ばれていますが、この意味は、「疾(やまい)を艾する(止める)」です。その名のように、通称「万能薬草」といわれるほど薬効が高く、栄養価も高いことから健康食として注目されています。また、ヨモギの葉の裏の灰白色の綿毛を乾燥させたものは「モグサ」と呼ばれ、お灸として幅広く利用されています。よく燃える草ということからヨモギという名前が生まれたといわれています。
このどこにでも自生しているヨモギの若い芽や、育ち始めた若い株は、干しておいたのちに煎じて飲むと、健胃、腹痛、下痢、貧血、冷え性などに効果があり、発汗、解熱剤としても飲みますが、胃の弱い人には不向きだそうです。このヨモギには、タンニンが含まれているので小さな切り傷や虫刺されに、生葉を口でかんでつばを混ぜてつけると血止めになります。ですから、散歩に行って、子どもが切り傷を作ったり、虫に刺されたりしたときの応急処置としても使えます。また、もう少し育ったものは、これも干しておき、入浴剤として使った「蓬湯」は、血行を促進させるため、肩こりや腰痛、神経痛、痔などをやわらげる働きがあります。また精油成分を豊富に含んでおり、すり傷、切り傷の止血や殺菌作用にも効果的で、また、保温・発汗・解熱作用のある成分も含まれています。そして、ヨモギの葉の香りはストレス解消や安眠にもよいといわれています。
ぜひ、この時期、蓬湯は乾燥した葉だけではなく、生の葉でも作れるので、散歩のついでに蓬を摘んで手軽に楽しんでみたらどうでしょうか。1回に使うのは、茎先20cmくらいの生の蓬5?6本です。細かく刻んで水から煮出します。そして、煮汁だけをこして風呂に入れます。もし、乾燥した葉を使う場合は、6?7月によく育った葉を摘み取り、水洗いして陰干しした30gを布袋に入れて浴槽に入れます。蓬湯では入浴直後から血流量の増加がみられ、この傾向は入浴後もしばらく続きます。
最近は、韓国で600年前から行われている伝統的な民間療法である「ヨモギ蒸し」が、韓国の女性だけではなく、日本人女性にも広まりつつあるようです。「ヨモギ」を中心に数種類の漢方薬草を混ぜたものを煮込んだ蒸気には薬草の有効成分が多く含まれます。その蒸気を下半身中心に体全体に浴び吸収させることで、単なる美容法ではなく、体を芯から温めてくれる療法だそうです。
そのほかにも、ヨモギには、ミネラル、カルシウム、鉄、ビタミンA(カロチン)、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC 、ビタミンDなどが含まれ、整腸作用が大きく、便秘にもよく、臓器の機能を正常に保ち、公害物質や老廃物がたまらないよう体外に排出し、血液を浄化する効能があり、気管支炎などによる咳を止めたり、イボの治療にも効果があります。ぜひ、活用したいものですね。