危険回避

 数年前から脳の「前頭葉」の働きが注目を浴びています。脳のこの部分は、人間しかもっていないもので、いわゆる人間しかできないものを司どっているといわれています。いわゆる「コミュニケーション能力」や「問題解決能力」などの、これからの時代において「学力」と呼ばれる力や、昔から必要といわれている「創造力」や「思考力」などに関係しているといわれています。また、数年前から問題視される「キレる子」の原因である「行動抑制力」も関係します。このように、さまざまな力、心は、胸にあるのではなく、脳に関係することは最近は誰でも知っているようになりました。ですから、昔から言われている「勉強」に関することだけでなく、脳を育てることはとても重要なことなのです。それに対して、キレる子だけでなく、最近の事件や子どもに関する問題は脳の低下によるものも多いようです。
 最近、子どもがよくけがをすることが多いようです。そのことに関しての苦情が増えています。「見ていなかった」「危ないものを取り除いていなかった」「危険なものを子どもに使わせた」「セキュリティーが甘く、心配だ」というようなことです。しかし、原因はそこにないようです。どうも、脳の低下によるものだということが言われています。
 たとえば不審者対策にしても、園の玄関が開放的だといっても、そこから不審者が入ってきて子どもに危害を加えるよりも、道や公園で危害を加える場合のほうが圧倒的に多いそうです。ですから、いざというときに子どもを守るのは、「子ども自身の危険回避能力」です。そのほかにも、子どもの周りには危険なもので満ち溢れています。それは、環境だけでなく、昨日のブログでも書いた包丁などの道具にもあります。また、危険な犬などの危険生物だけでなく、菌などもあります。それらすべてを取り除くことはできませんし、いつまでも付き添ってあげることはできません。そこで、子どもの危険回避能力を高め、子どもが自ら考え、答えを見つけていくことが必要になります。その力によって、いざというときの対応力が身につきます。
 危険回避能力など危険を予知する場合は「脳幹」で感じます。そして、主に視覚から入った情報が視覚野、後頭葉で認知し、「反射神経」として回避することが可能になります。しかし、脳が低下しているとこの反射神経も若い頃から衰え、思わぬ事故や怪我を負うことになるのです。これら反射的な本能は、脳幹や視床下部など本能に関わる脳部が働くのですが、最近子ども達を中心に、この脳部が低下しているといわれています。
また、視覚や聴覚など五感で感じた危険も脳が関係しています。五感などの危険情報は前頭葉という脳で判断をして、瞬時にして回避しようとする行動を起こすのです。その時に、前頭葉が子どもの頃から衰えていると正しい判断、決定が行えないのです。
ここにも、最近の脳は、前頭葉が発達不足であるということが関係します。また、逆を言えば、危険を自ら回避する経験は、脳の前頭葉を育てることにもなるのです。鶏と卵のどちらが先かということと同じですが、危ないからと大人が先に危険を取り除いてしまうと、前頭葉が衰え、前頭葉が衰えてくると自らの危険回避能力が低下してくるというわけです。それとともに、学力も低下してくるのです。

危険回避” への4件のコメント

  1. 危険回避能力を高めることも「子どもをいかに自立させるか」というテーマの1つですね。回避能力を身につける目的を持って危険を排除し過ぎないという考え方は、これからますます必要になってくると思います。そうならなければ一番いいのですが、子どもの大切な体験を大人が奪っているとしたら考え直さなければいけないですね。当たり前のことでしょうが、脳に関することは奥が深いです。

  2. 昨日のコメントに「キレる子」ができる原因を書きましたが、要するに、脳の未発達による「行動抑制力」の低下ということですね。とてもすっきりしました。最近、仕事で園に行った時に、保育室でけがをした子どもが、職員室で、あれこれその時のことを聞かれているのに出くわしました。担任に誰かに押されたのかなどと聞かれても、当の本人は放心状態でうまく答えられない。とりあえず、病院で診察を受けて、父兄にうまく説明しようということのようです。きっと、あの園は、あれからこの子のいた保育室で、備品を片づけたり、角にゴムを張ったりしたでしょうが、果たしてそれで問題の解決になるのでしょうか。保育環境が子どもの動線に合っているのか検証されたのかとても疑問に思います。そもそも今の日本の大半の園に、子どもの危険回避能力をつけさせるよりも、事故を起こさないことのほうを優先する傾向があることはとても嘆かわしいことです。

  3.  子どもの危険回避能力を向上させるのは確かに大人が子どもにとっての危険を全て取り除いていては、その能力はつかないですね。私が子どもの頃は、とにかく失敗をして痛い経験をしないと覚えない子どもでした。思えば笑い話になるかもしれないですが、冷静になって考えるとその失敗のおかげで、ある程度の危険回避能力がついたのかな?と思います。そう考えると人間しか持っていない前頭葉というのはとても大切なものですね。「危険回避能力」を高めることが、これからの学力に必要な能力と関係があるとなると、保育園、幼稚園でも色々と改善するところが多々あると思いますし、またそのような事を国全体で意識し改善していってほしいと思いました。

  4. 危険回避能力の低下⇒学力の低下、という図式は面白いですね。確かに、危険を回避しようとすると脳のあらゆる部分を総動員して身体行動を促すわけですから脳のさまざまな部分が活性化されるような気がします。学力は問題解決によってその高低が決まります。そしてその高低を決定するところの問題は危険と通じるところがあるように思えます。いずれも克服すべき対象でそのために脳はフル稼働します。問題を解決する行為を通して学力の維持向上が図られ、また問題解決=危険回避ですから、危険回避にも役立つということが言えるでしょう。子どもを信じずに先走ってさまざまなに手を出すと結局子どもの学習能力を阻害することになります。同時に危険回避能力も減退していきます。

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