緩和か強化か

 今日のニュースでこんなものが流れました。
 「三越は4月から、東京・日本橋の本店と札幌店の閉店時間を原則として1時間繰り上げて、平日や土曜日は7時とする方針を決めた。そのほか6店も30分短縮し、4店は元日以外に年1?5日の休業日を設ける。売り上げ不振が長引くなか、営業の効率化を図るねらいがある。こうした営業時間の短縮は、他の百貨店に広がる可能性もある。」
 この記事にあるように、店舗の環境によってその取り組みは違うようです。また、売り場によっても変えるようです。たとえば、日本橋本店では、通常は午前10時?午後8時の営業ですが、1階と地下1、2階、飲食店以外の売り場の閉店時間を午後7時に早めます。また、30分短縮する6店以外はの集客が見込める店舗では、変更しないそうです。
 休業日も、競合店の少ない店舗が、場所によって設ける日数が違うようです。全体の動きとしても、「百貨店業界は90年代以降、休業日を減らし、営業時間を延ばしてきた。だが、最近はコスト削減や従業員の福利厚生のため、営業時間の短縮を求める声が強まっている。三越と同じ百貨店グループにある伊勢丹も、新宿本店以外の店で、営業時間の短縮や休業日導入の検討に入っている。」のようです。
 確かに、年々、店舗は営業時間が延びてきました。また、営業日も増えてきました。伊勢丹の歴史を読むと、「1994年5月以降、大店法の規制緩和と厳しい経済環境を背景に、百貨店各社において営業日の拡大と閉店時間の延刻が急速に進んでいきました。」とあります。この営業日数の増加、営業時間の延刻については、「収益性」「従業員の労働条件」「同業他社との競合」「百貨店としての役割」を4つの柱から検討されてきたようです。しかし、同時に労働条件に影響してきます。そのために、営業時間拡大に伴う労働条件の対応は、「総営業時間を延長する一方で、労働時間を短縮する」という一見相反する高い目標を掲げ、新たな就業形態や休日の考え方・設定の仕方について議論を重ねたそうです。ただ、従業員の労働条件の問題だけでなく、従業員の家族、特に子どもへの影響も考えてほしかった気がします。
 今は、規制緩和の観点から営業時間などは緩和されていますが、世界では、大型店の出店に対してさまざまな規制があります。それどころか、EU諸国では、規制強化をしています。また、地方分権から原則的に基礎自治体が、大型店の許可権限を持っています。その中で、開店時間の規制に関しては、閉店時間の延長(ドイツ閉店時間法の改正, 1996年11月)、日曜開店(イギリス The Shops Acts, 1950の改正, 1995)など規制緩和の方向もみられます。しかし、ドイツは、景気対策として閉店時間を2時間延長しましたが、採用したのは全商店の13%で、従業員100人以上の大型店だけでし、雇用にも貢献していないことから、3年後の1999年に再度見直されています。イギリスでは、日曜開店について15年間をかけて議論したそうです。これには、当然宗教的な理由もあるでしょう。
EUにおける商業では、規制強化がトレンドだそうです。とくにEUの諸国で、消費者に近接したサービスの提供と、中世、近世の街並みを保全、利用を一体的に追求していることは、まちづくりを中小商工業の振興の中心にしようとしている日本でも参考になるといわれています。不景気な今こそ、何が重要であるかということをもう一度考える時かもしれません。

緩和か強化か” への5件のコメント

  1. 世界的に経済活動の見直しをするべき時代に入ったのでしょうか?スタグフレーションの日本は、政治的な混乱とマスコミの稚拙な報道に悪意を覚えます。
    子供たちは、それでも元気ですが親御さんの心中たるや、ことばがありません。
    戦後、63年、地球上で敗戦国である国が経済的に今や世界一であるにもかかわらず、それを享受できない矛盾は勤勉であることと自然を大切に楽しく遊ぶことを忘れた、私たちの在りようを改めるときなのでしょうか?
    子供たちの為にも、自然環境の大切さを識るときではと・・・
    ありがとうございます。

  2. 先日の先生の講演の中で、「子供たちの眼の高さで保育環境を捉えなおしてみよう」というお話がありました。最近私は、子どもたちの周りの環境だけでなく、社会のありざまそのものを「子ども」の視座で見つめ直すことはとても有意義だと感じています。ドイツは、日本よりも早く夕方にはお店を閉めるとお聞きしました。これによって、子どもたちは親と一家団欒の楽しいひとときを過ごすことが保障されます。向こうには日本のように、深夜営業のコンビニはたぶんあまりないでしょうから、母親の手料理が食卓にたくさん並ぶんでしょうね。夜は子供たちを中心に家族の楽しいおしゃべりに花が咲くんじゃないでしょうか。規制緩和で生まれた大人にとってコンビニエンスな文明社会は、子供が育つ基盤を奪っていくと思いますがいかがでしょうか。

  3. 仕事のあり方や働き方についていろいろ議論されていますが、まだあまり変化を感じることができていません。それでも今はそうしたあり方を考え直す時期なんでしょうね。こんな時代だからこそ、今をなんとなくやり過ごしてしまうのではなく、しっかり時間をかけてでも変わっていくべきでしょう。子どもたちと共に価値観を高めていければと思います。

  4.  不景気が原因で三越が営業時間を短縮するというのは初めて聞きました。確かに売り上げ不振にが続くのであれば、そういう判断はしょうがないのかな、と思いました。逆に伊勢丹のように総営業時間を延ばす一方で労働時間を減らすというかなり理想の高い目標は可能なのか疑問を持ちました。私は地球の環境を考えている企業はとても素晴らしいと思いますが、今後は家族もそうですが、子どものこをも考えている企業が出てきて欲しいと思いました。

  5. EU諸国が規制を強化している、いいですねぇ。規制緩和の一つの目的に消費者等へのサービスの向上があります。ところが、サービス慣れした消費者は、お金を支払えば「サービス」してもらうのが当然、と思うどころか、大したお金を支払ってなくても「サービス」が至極当たり前となり、自分の価値基準に照らしてサービスが不足しているとすぐに「苦情」となります。利便性の追求は確かに便利さの享受につながりますが、同時に利便であるが故に人々から「耐性」を喪失せしめ、大人は自分の耐性のなさは棚に上げて、何だか子どもには「耐性」をもとめることが親の役目と勘違いしているむきがなきにしもあらずです。それでも自分自身に「耐性」をもとめられればすぐに拒絶するのでしょう。

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