私の机の上には、春を放ち始めている花が飾られています。毎日、その花を眺めて、春が近いことを感じています。この花は、まさに「春を呼ぶ花」と言われている「放春花」という花で、2月19日の誕生花です。その中で、私の机の上にある花は、「黒潮」という品種のものです。学名では、 Chaenomeles speciosaと呼ばれますが、Chaenomelesは 「chaino(開ける)+ melon(リンゴ)」が語源で、「裂けたリンゴ」という意味ですが、そう思ってみるとそう見えないこともありませんね。また、speciosa は 「美しい」「華やか」という意味です。
この「放春花」は、普通に呼ばれている名は、「ボケ」の花です。ずいぶんと違う印象ですね。日本語で「ボケ」というと、「時差ボケ」とか、漫才での「ボケと突っ込み」とか、「天然ボケ」というような使い方をします。また、「ピンボケ」のように、ぼんやりした状態をさすように、あまり良いイメージがありません。ですから、この花が、そのような名前がつけられていることが不思議です。実は、このボケという花は、そのあと大きな黄色い実をつけます。その形が「瓜」に似ているので、「木になる瓜」ということで「木瓜」となり、この字を音読みして「もくくわ」となり、「モケ」となり「ボケ」になったといわれています。
正月のおせち料理などの飾りとして使われる花を、私は紅白梅だと思っていました。どうも、この「ボケ」という花のようです。
そして、「ボケ」という花は、机の上にある花のように真っ赤な色をしていると思っていたのですが、品種の一つに「なごり雪」というものがあるように、真っ白いものも、ピンクやオレンジのものあるようです。
「ボケ」の原産地は、中国大陸と言われていますが、日本に自生するボケに「クサボケ」といわれるものがありますが、これはあまり幹が太くならず、草のように生い茂ります。中国からは、比較的早く平安時代に入ってきた帰化植物です。最初は、どうも薬草として庭などに植えられていたようで、江戸時代には江戸(東京)小石川に薬草として植えられていたようです。それが、明治時代から大正時代にかけて一般に植物を楽しむブームが起こり、ボケもいろいろな品種が作られ、花を観賞するようになりました。
「ボケ」は、日本中どこでも育ち、耐寒性も強く、耐暑性もあり、特別な土を用意することも必要なく、ずいぶんと育てやすいようです。その「ボケ」にも、11月頃から咲き出す花もあり、その種類には、特に「寒木瓜」と呼んで、春に開花するものと分けています。
また、この花のいわれとなった「瓜」に似た秋になる実ですが、果実酒として利用できます。もともと「ボケ」は「花梨」と親戚ですので、同じような黄色い大きな実です。その果実酒の「ボケ酒」は、やはり「花梨」と同様、喉に良いとされ、風邪をひいたときなどに飲むといいといわれています。お酒を入れず、砂糖を多く入れた「ボケシロップ」は子どもも飲むことができます。
私が、一時期小学校の教員をしていた時がありましたが、その3月の最後の授業の日に、保護者たちがみんな集まって授業参観をしてくれました。そして、終わってから、記念に「ボケ」の盆栽をもらったことを、机の上の花を見るたびに思い出します。
最近、うちの家内は柄にもなく、部屋の中をお花で飾ることに凝り始めたようです。今は、蝋梅がいい匂いを漂わせています。「春を呼ぶ花」と言えば、ます思い浮かぶのが「水仙」。淡路島の黒岩水仙郷も今が満開だと思います。山で「まず咲く」からついた名前の「マンサク」。それからホトケノザに福寿草。昨日はこちらでも「春一番」の強い風が吹きました。今年は、いつもより春の訪れが早いようです。そういえば、数日前から鼻が花粉でグスグスしています。私の場合は、花ならぬ鼻が春の到来を教えてくれます。「春を呼ぶ鼻」です。
ボケの花の名前を初めて聞いたとき、きれいな花をそうぞうできなかったことを思い出しました。花を見るとそんなことはありませんね。「裂けたリンゴ」というのもわかる気がします。もうすぐいろんな花が咲き始めますが、それを見て思い出すことはいろいろあります。春がきただけで気持ちがうきうきしてくるのに、咲いてくる花を見ていろんなことを思い出すことを考えると、春はいい季節ですね。なんだか楽しくなります。
写真の花はとてもきれいに咲いていますね。その花の下にコケが生えているのが何ともいえませんね。そんなきれいな花の名前が「ボケ」というのには驚きました。言葉の通りボケという言葉はあまりいい印象が無いために、あっけにとられてしまいました。そんなボケもとても育てやすく、また果実酒としても利用できるとは、とても利用価値があるのですね。私でも育てれるような気がします。
ある花を見ると、すてきな思い出を思い出すのはとても素敵なことですね。私は花に詳しくないのもあると思いますが、植物を見ると何か思い出すということは無いので、いつかはそんな素敵なことができるようになりたいと思いました。
「机の上」も春。近くの神社の梅も咲き始め、春の領域に確実に入り始めています。白やピンクの梅の花のもとには水仙がその白のラッパを誇っています。「ボケ」が「木瓜」から来たことがわかり、「あまり良いイメージがありません」でしたが、今日からはよいイメージをもって「ボケ」を鑑賞できそうです。「ボケ」で一般化されている花ですが「放春花」のほうが風情があっていいですね。しかも先生の「机の上」のボケは「黒潮」。暖流黒潮を連想できて温かくなってきます。果実酒の「ボケ酒」にも関心があります。もっとも一度「果実酒」を飲んでドエライ目にあったことがありますから「なめる」程度で味わってみたいものです。授業参観後のプレゼントが「ボケの盆栽」。これまた風情がありますね。