今日の職員室では、長崎から頂いたお菓子で盛り上がっていました。私は初めて食べた菓子ですが、職員もみんな初めて食べたようでした。その菓子は、「一口香(いっこうこう)」です。なんでこの菓子で盛り上がったかというと、その形状は、まさにお饅頭です。丸く、平べったい形で、中にはぎっしりとあんこか何かが詰まっているようです。それを口に頬張ろうとすると、周りが固いのにまずびっくりします。それは、だいぶ日がたって、硬くなった饅頭のようです。懸命にかじって端を噛み切ります。すると、どうでしょう。中にはぎっしりとあんこか何か詰まっていると思いきや、中は空洞なのです。「あっ!はずれだ!」と思ってしまいます。
この菓子は、2種類頂きました。その一つの箱の中の説明書には、「一口たべたとたんに甘くて香ばしい味わいがするからと、たくみに名付けられた“長崎銘菓・一口香”」と書かれていますし、もう一方の箱には、「口にほおばれば香ばしいところから一口香と名付けられました。」と書かれています。こんな注釈も付いています。中は、空っぽではありません。「香り」が入っています。すなわち、「香りを味わう」ということでしょうか。
説明書によると、もともとは、中国伝来の干し菓子で、古くは唐の禅僧や東シナ海を航海する中国人にとり貴重な保存食だったそうです。水飴で練った小麦粉の皮で黒糖の飴を包み、オーブンで焼き上げると、小麦粉と水飴の皮はボーロ状となり、中の黒糖の飴は溶けて皮に付着して空洞となります。その独特の製法と中が空洞という形状から「からくりまんじゅう」とも呼ばれています。
本来は、香りは嗅ぐものですが、この「香りを味わう」というのはいい表現ですね。もともと、人間は空気といっしょに吸い込まれてくるにおい分子を感知しているので、空気中に蒸気を発しやすい物質にしかにおいを感じません。ですから、正確に言うと、空洞ではなく、空気が入っているのです。しかし、昆虫は、触角でにおいを感知しますし、水中に住む動物は、水に溶けているにおい分子を感知するように、もっといろいろなものからにおいを感じ取ることができます。先日こんな案内を見つけました。「歴史と文化、潮の香りを味わう小田原ウォーク」というものです。ここでも、「香り」を味わいます。
また、「香道」では、香りを「嗅ぐ」のではなく「聞く」と言います。その表現は、「繊細な澄んだ香りが心に呼びかける」といった意味合いがあるようです。それは、「利く」とも書き、香道は「聞香」(ききこう、もんこう)ともいわれ、「香を聞く」ことは、つねに香りを嗅ぎ分けることから始まり、感覚をよびおこすことで終わります。
香りから感覚を呼び起こすという研究がスイスで行われ、こんな結果が数年前に発表されています。それは、「すべての人の体で自然に分泌されるある物質のにおいを嗅ぐと、自分の金を他の人に託したくなる」というものですが、面白いですね。それは、神経ペプチド「オキシトシン」を嗅ぐと、他人への信頼感が高まって自分の金を託すようになったというものです。この物質は感情にかかわるさまざまな行動と関係があるとされ、人間においては出産や授乳を促進し、母子の結びつきにおいて重要な役割を果たしているといわれています。そして、動物では、他の動物が持つ本来の正常な警戒心を一時的に緩め、「接近行動」を可能にすることで交配を促す働きがあると考えられています。
香りというものは、見えないものだけあって、まだまだいろいろなことが解明されてくるでしょうね。
久し振りの投稿で失礼致します。
香りというのは“嗅ぐ”物だと思っていましたが、“味わう”ことも出来るのですね。
いやいや、すごいと思いました。
普段の生活ので香りを“味わう”体験は出来ないのではと思いましたが、こんな“銘菓”で体験できるのですね。
素晴しいと思いました。
私自身、“鼻”は利くほうですので色々な“香り”を体験しています。
しかし“香り”を“味わう”となると、いささか現実には実行出来ていませんね。
先人方は、これを習得されていたかと思うと頭が下がります。
もしかするとこのことは、現代の世の中に必要なことなのかもしれませんね。
人にたとえるなら、“見た目”で判断するのではなく、“人柄”をよく観察し吟味することでその人の“よさ”や“特性”を感じ取れるようにならなければいけないのだと感じました。
また、人には色々な“匂い”がありますので、相手に対し“よい”“悪い”印象を与えるものだと思いました。
人間関係を“潤滑”にするには“香り”を“味わう”ということを得とくし、大切にしていけるよう心掛けていくことがよいのかもしれませんね。
とても勉強になりました。
どうもありがとうございました。
風邪をひいて鼻がつまっているとき、おいしいものを食べても薄っぺらい味に感じてしまいます。香りは味の重要な要素なんでしょうね。
神経ペプチド「オキシトシン」を嗅ぐと他人への信頼が高まるというのはおもしろいです。私たちは無意識のうちに香りに行動を左右されているんですね。まだまだ知らない世界は多いですが、知らないことのほうが多いというのも、何となくわくわくします。全部わかってしまうとちょっとつまらないかもしれませんね。
「香道」というと、思い出すのが正倉院の蘭奢待(らんじゃたい)ですね。沈香と呼ばれる高級香木で、昔、足利義満や織田信長などの時の権力者が、その匂いに恋い焦がれてその一部を切り取ったという歴史が残っています。一体どんな匂いなんですかね。権力欲を刺激する甘い香りなんでしょうか、それともその愚かさを気づかせるような落ち着いた香りなんでしょうか。「一口香」と同じような饅頭が、四国の宇和島市や観音寺市にもあります。こちらでは唐まんじゅうといいますが、長崎の製法が伝わってつくられるようになったのでしょうか。饅頭一つとってもいろんなことを教えてくれるものですね。
神経ペプチド「オキシトシン」が「他人への信頼感が高まって」とあります。最近「職員を信頼しています。」と申し上げたら「信頼しているだけではいけません!しっかりと指導しないと!」という保護者の発言に接しました。神経ペプチド「オキシトシン」を嗅いでほしいものです。またアロマテラピーを得意とする保護者もいるので今度この神経ペプチド「オキシトシン」について話したいと思います。「一口香」とは絶妙なネイミングです。一口の香り。一つ口にして香りが楽しめるとはなんとも素敵です。よくもこうしたお菓子を考え作り出したものだと感心します。「香りを味わう」ということもいいですね。「観世音」を思い出しました。観音さまのことです。「世の音を観る」と「香りを味わう」は相通じるところがありますね。
「香りを味わう」今までにない感覚ですね。香りというのは鼻で嗅ぐ事だと思っていたので、まさか「味わう」なんて思ってもいませんでした。変な話になりますが、焼肉などの強烈な臭いだと口の中になんとなく味はしてきますが、またそれとは全く違った感覚なんでしょうね。繊細な香りをいかに口の中で楽しむことが出来るかが醍醐味のような気がします。そこまでの領域に達するには、なかなか難しいかもしれませんね。