日食

昨日は、来年の月食の話をしましたが、実は、今年の7月22日には日食が起こります。しかも、日本でも、全国的に部分日食を観察することができます。また奄美大島北部や屋久島、種子島南部などでは、皆既日食も見ることができるのです。
 皆既日食になると、太陽のまわりにはコロナを見ることができ、また太陽表面から吹き出ている赤いプロミネンスなども観察することができます。空は、夕方や明け方と思われるほどに薄暗くなり、明るい星であれば見ることもできることがあります。また、地平線近くは、太陽がどの位置で欠けるかによりますが、夕焼けや朝焼けのように空が赤く染まって見られます。
 太陽という絶対的なものが、このような状態になることを昔の人は不思議に思ったでしょうね。また、不安にもなったでしょう。ですから、当然、この日食に関しての民話や神話が残っています。日本でも、有名なものに、アマテラスが天岩戸に隠れて世の中が闇になるという話があり、これは、日食を表したものだという解釈があります。もうひとつの解釈としてあるのは、冬至を過ぎて太陽が弱まった力を取り戻すということを象徴したものとする見方ですが、この冬至神話も、絶対的な力を持つはずである太陽が弱まってくるということで、同じように世界各地に見られます。
 今年、日本でも一部の地域で見られる皆既日食は、とても珍しい現象です。前回、日本の陸地で見られたのは、1963年7月21日の北海道東部で、実に46年ぶりです。次に見られるのは、2035年9月2日に中部地方の一部、関東地方の北部などで皆既日食を観察することができます。今から26年後ですから、何とか見ることができるかもしれません。
今回全国で見られる「日食」は、ほとんどの地域では部分日食ですが、その欠ける程度と欠ける時刻は地域によって違います。もちろん皆既日食が見られる地域に近いほど大きく欠けますので、九州地方の方は観察にはいいかもしれません。以北であれば、大ざっぱに南に行くほど大きく欠けて見られることになります。日食の欠ける深さを「食分」という数値で表します。食分0.1とは、太陽の直径の10%まで太陽面上に月が入り込み、太陽が欠けることを意味しています。今回の地域による食分は、札幌では0.506と約半分ですが、東京では0.749と約4分の3まで月が入り込み、福岡で0.897、那覇で0.917と、それぞれ約90%まで月が入り込む深い部分日食となります。
私が中学2年生のとき、地学の授業で「日食と月食のかけていく様子を、時間を追って描きなさい。」という課題が出ました。そのときに、まず、太陽と月の円の大きさの比率がわからず、どのように欠けていくかわかりませんでした。そこで、私の中学校は神田にありましたので、銀座線に乗って、渋谷にあった「五島プラネタリウム」に聞きに行きました。すると、そこの研究員が丁寧に教えてくれたので、それにしたがって描いていったら、また何か次の課題を出され、何度か渋谷に通いました。何度も聞きに行くために、裏から自由に出入りができるようになりました。そんなことがあったために、今でも天体のことが好きになり、教員の頃に中学生から天文研究会の顧問も頼まれたのかもしれません。
 課題を出された当時は、なんでこんな難しい課題を出すのかと少しうらんだこともありましたが、結局は、よかったのかもしれません。
後になってよかったと思う体験は、ほかにもたくさんありますね。