使命

 一昨日と昨日、「リーダー研修会」が行われました。リーダーとはだれを指すのかは、それぞれの組織が考えることで、いわゆるトップの地位の人であることもありますし、逆に新人でこれからを担う人の場合もありました。参加者のほとんどは、保育所の職員で、いわゆる非営利組織の人たちでした。私はよく、非営利組織の役割を考えることがあります。いわゆる利益、営利を目的とする組織、機関に比べて、目標が立ちにくいからです。目標が立ちにくい組織では、リーダーとしての在り方も難しいものがあります。そんなときに、参考にするのが、P.F.ドラッカーの「非営利組織の経営」という本です。
 ドラッカーによると、リーダーの第一の責務は、「組織内の皆が、その使命を目にし、耳にし、そして、それとともに生きていくようにすることである。」と書かれてあります。しかし、問題は、なにが「使命」かということです。
 「人のある限り、罪人はいる。人のある限り、介護の必要な病人がいる。どのようにうまくいっている社会にも、アル中はいるし、麻薬患者はいる。慰めとなにがしかの助けを与えてくれ、更生を試みてくれる救世軍を必要とする人たちがいる。子どもは学習し、学校に行かなければならない。そして、子どもたちは、男の子も女の子も、その成長の過程で、彼らの人格の形成を助け、模範を示し、進むべき方向を知らせ、何かを学べるよう、知的にかかわりをもってスカウトと、そこにおける経験を必要としている。」
 使命とは、常に存在すると言っているのでしょう。それに対して、目標は達成することがあります。しかし、使命は、次の目標を指し示してくれます。私たちは、常に使命を確認しなければならないのです。特に、社会の変化には敏感でなければその使命は逆効果を生みかねません。しかし、実際は、非営利組織では、社会からの変化を受けにくいところがありますし、受けなくてもやれてしまうところがあるためにその改革は難しくなります。それを、ドラッカーはこう言っています。
「私たちは、絶えず使命を見直し、考え抜かなければならない。人口構造が変化している場合もある。何の成果も生まないままに資源を食いつぶしているようなものを、棄てなければならない場合もある。また、目標を達成してしまった場合もあるからである。すべての子供を学校に行かせ、何年もそこにいさせるという当初の目的をすでに達成してしまったために、今や危機に見舞われている学校がそのいい例である。いま私たちが考えるべきことは、学校に対して、真に何を期待するかということである。10人のうち9人までの児童がきちんとした学校教育を受けられなかったころの教師が、長年にわたって悪戦苦闘したものとは、いろいろな点で全く異なったものが今や期待されているのであろう。したがって、外からの発想が不可欠である。なかから発想し、その持てる資源を費やす場所を見出そうとする組織は、資源を浪費する結果にしかならない。結局、それは過去に焦点を合わせることにしかならない。機会とニーズは、外に求めるべきである。」
 いま、いろいろな制度が変わろうとしています。それが、改悪の場合もあるでしょう。しかし、それは変えるべきではないということにならないのです。「なかからの発想で、持てる資源を費やす場所を見つけようとする組織は、資源を浪費する」という言葉は、ここ最近、特に感じることです。

使命” への4件のコメント

  1. 私のような保育の外野にいる一営利業者が、あれこれコメントするのをはばかられるようなとても深い内容のお話です。藤森先生の講演を聞いて、発心(ほっしん)して改革に乗り出す方、うちでは無理とあきらめる方、何にも感じない方…まあ、いろいろですが、中からの発想では、過去に焦点を合わせるだけで、未来への改革ができないのであれば、私どものような外からの働きかけが、ひょっとしたらそのきっかけづくりになるかもしれませんね。『私たちは、絶えず使命を見直し、考え抜かなければならない』ーこの言葉は、人の人生でもいえることですね。

  2.  確かに保育園は利益や営利を目的にしているわけではありませんので、一般企業などに比べて目標を立てにくい印象があるかと思います。実際に働き始めた頃は自分の目標は何なのか?はっきりと分かりませんでした。ただ目の前にいる子どもと一緒に楽しく過ごせばいいと思っていました。ですが、藤森先生のお話を初めて聞いてから、保育士の使命というのがだんだん分かってきたように思います。これからの日本を担っていく人材を育てていくということが私達の大切な使命のような気がします。

  3. 制度などが変わろうとしている動きに対して、自分がどう向き合うべきか悩んでいます。変えて欲しくないと考える理由が、子どもを守るためといいながらも、どこかで自分たちを守るためという思いが潜んでいるなら改めなければいけないと、自分自身と向き合っています。今回の内容から、とてもいい視点をいただきました。

  4. P.F.ドラッカーの言は参考になります。学校や保育園、幼稚園は理念や目標がある「使命」に裏付けられていないと業務の基準がすぐにあいまいとなり、モチベーションの低下、につながります。非営利法人で働く全ての職員が「使命」に裏付けられた「理念や目標」を自らに課すことができればいいのですが、実際にはそうはいきません。従って、上に立つ人々が時代を分析し、そして使命を感じ、「理念や目標」を設定し、職員各自を引っ張っていく必要があると思います。「営利」という目標がない分、「営利」に変わる public good の追求を旨とし、public good を使命として目標や方針を設定していかないとモチベーションが低下し様々な理由を付して職場を去ることになります。モチベーションの維持は職員の「見守り」から生れると思います。

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