GNH

 昨年末のNewsweekの特集で「オランダの子供が世界一幸せな理由」という記事がありました。ここでいう「幸せ」とはどんなものなのでしょうか。この調査では、幸福度を「物」「健康と安全」「教育」「友人や家族との関係」「日常生活上のリスク」「子供自身の実感」の6つの視点から考察したようです。その結果、OECD加盟国のうち21カ国のランキングをユニセフ・イノチェンティ研究所が作成したものです。そして、オランダが1位になったというのです。
 日本は、どのくらいに位置するのでしょうか。残念ながら、この調査では日本は発表されていません。それは、上記の6つの視点についての統計がすべてはそろっていないからのようです。日本では、「教育」「友人や家族との関係」「子供自身の実感」の面で低い気がします。
 豊かさを表す指標としてよくつかわれるものに「GNP」という「国民総生産」というものがありますが、最近、「GNH」というものが提案されています。これは、Pの代わりにH「Happiness」をはかるのです。つまり「国民総幸福量」ということになり、物質的な幸せではなく、精神的な幸せを目指すということです。この概念を発信している国「ブータン」の取材記が、「もう一つの日本」失われた「心」を探して(ソフトバンク新書)という新書に書かれています。この本は、産経新聞の記者である皆川豪志さんと徳光一輝さんが取材したものです。
 この本の中で、ブータンの首都ティンプーにある国立ブータン文化研修所でこの「GNH」の研究を続けているカルマさんは、GNHを数値化したいと言っています。物質的な幸せではなく、精神的な幸せを空想的な理念ではなく、GNPと同様、一目でわかり、比較出来るものでなくてはならないと思っているのです。「日本人なら分かると思うが、物質的な幸せには際限がない。例えば、良い電化製品を買ってもさらに最新の機器が出ればそちらが欲しくなる。給料が上がっても隣人の方がもっと高ければうらやましく思う。これでは世界一の金持ちにならねば欲望は達成できず、幸せになれない」と言います。
 この考え方を、著者は、仏教の「中道思想」にも似ていると言います。物欲に走って本能的な生活に陥るのではなく、逆に極端な苦行に命を賭けるものでもない。どちらか一方に偏るのではなく、主体的に自らの欲望をコントロールしながら「中ほど」を選びとることで真理が見つかるという考え方ではないかと言います。そのことを、日本の仏教家である仏教振興財団理事長であった井上信一氏が一つの「数式」(欲望が分母で、財が分子)幸せ=財/欲望)を示して、その分子を大きくして幸せになろうとするのが欧米式であり、分母を小さくしようと考えるのが東洋式・仏教式の考え方であると考えました。
 このような考え方からいうと、「GNHは、もっと分かりやすく、国民が支持しやすい概念でなければならない。例えば、ペットボトルの水が売れればGNPは上がるが、川の水が飲める国になればGNHが上がると私たちは考える」とカルマ氏は述べています。そして、「先進国には経済成長だけがグローバルスタンダードではないと訴え、途上国には過剰な開発だけが国の発展にはつながらないと訴える。貧しくとも人々の心が豊かであれば、それなりの幸福感がある社会は実現できるということです。」
 不景気だと言われている今、あまりに理想的だ、情緒的だと言わずに、もう一度幸せとは何か、それに向けての具体的な発信を考える時かもしれません。

GNH” への4件のコメント

  1. 「国民の幸福度」という尺度で日本を見ると恐ろしい現実が見えてきます。MTVネットワークスが世界14カ国の子供と若者を対象にした幸福度調査によると、なんと日本はダントツの最下位です。自分を幸福と思っている割合が13%(8?15歳)、8%(16?34歳)しかありません。また、イギリスのレスター大学の調査による「GNH」ランキングでは、1位デンマーク、2位スイス、3位オーストリアと上位を北欧の国が占めている中で、日本は何と90位。世界第2位の経済大国と言われているのに、どうしてなんでしょうか。40年前、ロバート・ケネディが次のような演説をしています。『アメリカは世界一のGNPを誇っている。でもその中には、タバコや酒や薬、交通事故や犯罪や環境破壊にかかわる一切が含まれている。戦争で使われるナパーム弾も核弾頭も、子どもにおもちゃを売るために暴力を礼賛するテレビ番組も…。子どもたちの健康、教育の質の高さ、遊びの楽しさはGNPに含まれない。詩の美しさも、市民の知恵も、勇気も、誠実さも、慈悲深さも…。要するに、国の富を測るはずのGNPからは、私たちの生きがいのすべてがすっぽり抜け落ちている』

  2. GNHを考えるという発想はいいですね。GNPで高い数値を出すことでたどり着く先が本当に幸せなのか、こんな状況だからこそ大人が考えなければいけないことだと思います。お金でも物でもない幸せの指標を大人がしっかり議論して、それを子どもたちにも行動で示せるようにならなければいけないと思います。方向転換できるかどうか、大切なときですね。

  3. GNH= Gross National Happiness。私が使用している166万語収録の英和和英辞書にもまだ載っていません。実にフレッシュです。辞書編纂グループに教えてあげようかな、とさえ思います。さてGNHです。私はどうして私たち日本人は「幸せ」ということを本気に考えずに「幸せは長続きしない」「今幸せと思っていても明日には逆境が訪れるから緊張せねば」「幸せなど所詮ありえない」「夢も希望もない」と思い込んでしまうのだろうか、と思います。なんだか「貧しさ」を感じてしまいます。「幸せ」を感じてはいけいないような風土が私たちの国にはあるのでしょうか。私たちはこのグローバリゼーションの世界を機に自らの「幸せ」を素直に感じ、また「幸せ」ではない人々を「幸せ」のおすそ分けができるようになりたいものです。

  4.  本当の「幸せ」というのは何なのかな?と思うことがよくあります。一人で考える場合もありますし、友人と話している時に、ふと思うこともあります。私はお金をたくさん持っている事が幸せとも思いませんし、地位や名誉があることも幸せでもない気がします。ですが人によってはそれらを持っている事が幸せと感じる人もいると思いますが、そういうのは自分が死んでしまっては何の意味もありません。「幸せ」というのは一度しか人生をどれだけ楽しく、悔いのないように生きるかだと私は思います。それが正解かは分かりませんが、今後色々と学んで探していきたいと思います。

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