GNP

 GNPというのは、「一年間に作り出された財とサービス価額から、それを生み出すのに必要な原材料を引いたもの」をいい、「国民総生産」と言われているものです。このGNPは、ひとつの国単位の国力、経済カのパワーを計る目安となりますが、戦後、日本は世界の中で図抜けた伸び率を維持しつづけ、ついには世界No.2の経済大国に成長しました。
しかし、この数値は私たちにとって、どういう意味を持つのでしょうか。先日大統領に就任したオバマ氏の演説の中で、不況の中、少し変化が見られました。
「我々は相変わらず創意に富み、我々が生み出す財やサービスは先週や先月、昨年と同様、必要とされている。能力も衰えていない。しかし、同じ手を用いるだけで、狭い利益にこだわり、面倒な決定を先送りする、そんな時代は確実に終わった。今日から我々は立ち上がり、ほこりを払って、米国を作り直す仕事に取りかかろう。」不況と言われている中、基本的に能力は変わっていないが、同じ手を用いること、狭い利益にこだわることを変えていこうという姿勢が表れています。また、
「今回の(経済)危機は、監視がなければ、市場は統制を失い、豊かな者ばかりを優遇する国の繁栄が長続きしないことを我々に気づかせた。我々の経済の成功はいつも、単に国内総生産(GDP)の大きさだけでなく、我々の繁栄が広がる範囲や、機会を求めるすべての人に広げる能力によるものだった。慈善としてではなく、公共の利益に通じる最も確実な道としてだ。」ただGNPの大きさで判断するのではなく、すべての国民が等しく公共の利益を得ることが大切であると言っています。そのために必要な価値観を、こう言っています。
「我々の挑戦は新しいものかもしれない。我々がそれに立ち向かう手段も新しいものかもしれない。しかし、我々の成功は、誠実や勤勉、勇気、公正、寛容、好奇心、忠実、愛国心といった価値観にかかっている。これらは、昔から変わらぬ真実である。これらは、歴史を通じて進歩を遂げるため静かな力となってきた。必要とされるのは、そうした真実に立ち返ることだ。」ここで、大切にするべき価値観、この不況を乗り越えるために必要な価値観をあげています。
先週号の「サンデー毎日」の時評で、GNH(国民総幸福観)を提案しているブータン国王と、日本の麻生首相との「違い」について岩見隆夫さんが書いていました。
この中で、昨年11月6日、GNHを提唱した国王から28歳の新国王になった戴冠式の時の演説の言葉を取り上げていました。この言葉は、テレビ「世界、ふしぎ発見!」で放送されたものだそうです。その言葉とは、「世界が変わっていく中で、ブータンも変わっていくでしょう。行く先では困難に遭遇するかもしれません。その時は、皆さんと私の両方の手でブータンの未来を築いていきたい。私は自分の就任中、皆さんに対して支配者のような振る舞いは断じてしません。ある時は親代わりになり、また兄弟のように守り、世話を焼き、そして、皆さんの息子のように仕えたいのです。」
 岩見さんは、「この短いなかに、指導者としての倫理観が凝縮されていて、トップはいつも〈親代わり〉の心情で国民をいたわり、包まなければならない。〈世話を焼き〉という言葉もいい。」と書いています。
それに引き換え…というのも、ないものねだりかもしれませんので、少なくとも、私はリーダーとして、そのような姿勢でいたいと思っています。