貧困

 今年の国内外の景気について、日本経団連、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体首脳は、非常に厳しい状況だとの認識をそろって表明しました。そして、雇用問題で3者連携をするべきであるという認識を示しています。最近のニュースでは、昨年秋以降の世界経済の急激な悪化と円高により、製造業を中心に派遣社員など非正規労働者の削減が進んでいることを取り上げています。
 不景気であるとか、仕事を切られるとかいうニュースがあるかと思うと、高額な福袋に群がる姿や、年末年始の高額なホテルが満室になっているというニュースを聞くと、日本は、本当は豊かなのか、貧しいのかわからなくなるときがあります。
 2006年の7月に「日本の貧困率2位」という結果が公表されたときにも「ほんとう?」と思ったものでっした。この報告書では、日本の所得格差が拡大し、2000年にはOECD加盟国の中で相対的貧困率がアメリカに次いで二番目に高くなったことを明らかにしています。
 この相対的貧困率とは、生産年齢人口(十八歳から六十五歳以下)を対象に、税金や社会保障の負担などを引いた後の自由に使える所得である「可処分所得」について分析し、この所得分布の中央値の半分以下の所得しかない人口の割合のことです。アメリカは貧富の差が激しく、貧困層が多くいるだろうとは創造できますが、そのアメリカの貧困率13・7%にたいして、日本はそこに迫る13・5%でした。3位のアイルランドでさえ11・9%ですから、いかにアメリカと日本の貧困率が高いかがわかります。
 もう一つの生活必需品のコストを基に算出した「絶対的貧困」の率でも、日本では80年代半ばから2000年に5ポイント増加したと指摘され、OECD加盟国の中で唯一貧困が進んでいる国だと述べています。
 実感が余りないのですが、どうしてこんな数字が出たのでしょうか。OECDでは、格差拡大の原因に、非正規労働の拡大による労働市場の二極化があると分析しています。そして、このときに日本に対する勧告として、正規と非正規の労働市場の二極化を是正することが重要な鍵だと指摘し、正規雇用増加への「包括的な取り組み」を求めました。それに対しての取り組みが無いまま進んできた結果、今回のような非正規労働の問題が噴出したのでしょう。
また、一昨年末に出された、OECDの新報告書によれば、OECD諸国の4分の3以上で過去20年間に富裕層と貧困層の格差は拡大しており、過去20年ほどの経済成長は貧困層より富裕層に恩恵をもたらしていると結論しています。そのときの分析でも、所得格差の主なけん引役となっているのは、仕事に就けない非熟練者や低学歴者の増加だとしています。また、単身者や片親世帯の増加も所得格差の拡大の一因だとしています。そして、過去20年間に所得が最も伸びているのは退職年齢近辺の層であり、これに対し、児童貧困率は上昇しています。今では児童と若年成人の貧困率は人口全体の貧困率より25%も高くなっています。
 では、貧困層に対して、どうすればいいのでしょうか。もちろん、当座は住まいや食べ物の確保が問題ですが、同時に、根本的な体制も必要な気がします。ちょうど、昨日の朝日新聞の一面に2006年にノーベル平和賞を受賞しているムハマド・ユヌス氏が提案していますので、それを紹介します。