寒い夜2

 先日、熊本に行ったのですが、熊本名物といえば「馬刺し」ですね。私は、子どものころは台東区で育ったのですが、その頃にすき焼きを食べに行くとしたら、「桜鍋」といって、馬肉を使った鍋をよく食べました。文明開花の中、ハイカラなグルメとして桜鍋が生まれ、数少ない東京の郷土料理として、吉原遊郭行き帰りの粋客から朝・夜問わず食されたといわれています。もちろん、私は吉原で食べたわけではありませんが。
 人間というものは、本当に好奇心が強いというか、貪欲というか、何でも食べてみようと思うようです。その一つが「もつ」といわれる内臓を食べようと思ったことでしょう。しかし、内臓はすぐに悪くなりますが、栄養があるものが多くあります。ライオンやチーターが獲物をしとめると、最初に内臓から食べ始めるのは栄養を考えているからだといわれています。
「もつ」とは、鳥獣肉の臓物(内臓)の総称のことですが、普通は、肝臓や心臓などを「赤もつ」、胃や腸などを「白もつ」と言います。しかし、畜産業界が定めた正式な呼びかたは「畜産副生物」といい、生肉処理の段階で副次的に産出される肉類のことを指します。欧米では「バラエティミート」とか、「ファンシーミート」と呼ばれています。日本では、肉そのものを食べる習慣が遅く始まったので、劣化が早い、独特なにおいや外見のために、「もつ」を食べることには好き嫌いがあるようです。しかし、食肉の歴史が古いヨーロッパなどでは比較的一般的のようです。
 先日、職員と体を温めるために食べた「もつ鍋」は、本来、福岡市近辺の郷土料理でした。しかし、地元の店舗がバブル景気崩壊直後、安い食べ物として東京へ進出したところ、酒にも合うということでブームとなり、全国的に知れ渡るようになりました。しかし、BSE問題や、一過性流行であったことで、余り定着しませんでした。しかし、最近、また不景気のせいか、東京ではブームが起きているようです。また、関西圏ではホルモン焼き・ホルモン鍋として、定着しているようです。ただ、地元福岡では元々の郷土料理であることもあって、はやりすたりは無く、老舗も多く、一般の居酒屋でも博多ラーメンに次ぐ人気メニューとなっています。
もつ鍋は、体が温まるだけでなく、美容と健康によいとされています。この鍋の主役というべき「もつ」には、のモツには、五大栄養素の1つミネラルや必須アミノ酸が多く含まれています。また、コラーゲンが多く含まれていますので、美容にも良いというわけです。しかし、コラーゲンは、そのまま体内のコラーゲンとはなりません。アミノ酸、ビタミン、ミネラルも必要で、その役割を助ける酵素も必要です。それらが「もつ」には含まれているのです。また、「もつ」は、その噛み応えがしっかりしているので、あごが鍛えられ、しっかりと噛むことによって脳を刺激します。
また、この鍋の中に入れるキャベツには、ビタミンUをはじめ、水溶性ビタミンや脂溶性ビタミンがたくさん含まれ、その他、カルシウム、リン、鉄、カリウム、マグネシウム などのミネラル分が豊富ですし、ニラには硫化アリルやカロチン、ビタミンB1、B2、C、カルシウムやカリウムなど豊富です。それにくわえて、にんにく、胡麻などが入るわけですから、悪いわけはありません。
 そして、野菜を食べた後の仕上げにちゃんぽん麺を入れて煮込んでいただきました。ほっとした、冬の寒い夜のひと時でした。