容器

今年の5月の末に、「文字や図形が付されない容器での立体商標として日本で初めて、コカ・コーラ コンツアーボトルの立体商標が認められた」というニュースが流れました。
koka.JPG
コカ・コーラのコンツアーボトルは、1916年に米国で生み出されたものですが、当時のデザイン開発にあたっては、「暗闇で触ったときにもそれがコカ・コーラのボトルとわかるもの」という条件が挙げられたそうです。1956年に日本でも販売されて以来、コンツアーボトル入りコカ・コーラは継続して販売されていて、コカ・コーラと言えば、「あの特別な形のくびれたボトル」と思い出すほど、その容器はシンボルになっています。世界では、すでに、アメリカ、イギリス、ロシア、欧州共同体、中国など数十カ国で、立体商標登録されていました。
コカ・コーラ社によると、このコンツアーボトルの原型スケッチは、1913年版の「大英百科事典」で見つけたココア豆の挿し絵にインスピレーションを得て描かれたものだそうです。この曲線の傑作は、多くの芸術家にインスピレーションを与え、ポップアーティストのアンディー・ウォーホールも「コンツアーボトル」を称賛しているなど世界中の芸術作品の中で表現されているようです。
容器の形状で認められたのは、今回が初めてですが、1997年には、立体物も商標登録できるようになりました。例えば、早稲田大学の「大隈重信像」や、日本ケンタッキーフライドチキンの「カーネルサンダース立像」や、不二家の「ぺこちゃん人形」などです。しかし、容器の形状は、「他の商品との識別力がないのが普通」として、商標権として半永久的に独占されると、自由競争の妨げになるおそれがあるということで、商標として認められてこなかったのです。
 2001年には、東京高裁によって「10社以上が類似した容器を使って乳酸菌飲料を販売している」ということで、ヤクルトの容器が、形状だけで識別力を獲得していたと認めるのは困難という判断を下しています。サントリー角瓶も同様な判断で認められていません。
このヤクルトの容器が、今年のグッドデザイン賞の中の「ロングライフデザイン賞」を自称しました。1935年に生まれた乳酸菌飲料の「ヤクルト」は、当時ビンの容器でした。私の祖母はヤクルトを飲んでいました。牛乳と同じように、朝、牛乳箱のようなものに届けられており、私が子どものころのそれをもらって、飲んでいました。「年齢を問わず、多くの人々に親しまれ、長く愛される容器を」ということで1968年にプラスチック容器が開発されました。口当たりがよく、一口で飲みきらずにゆっくり楽しめるように、中央部がくびれているデザインになっているそうです。また、容器を薄く軽くすることで省資源化、そしてヤクルトレディの労働力を軽減するためにということもあるようです。そのようなフォルムを求めて、実に数多くのモデルが作られ,細かな検討を経て1968年に現行のデザインが出来たそうです。今や「ヤクルト」と聞けば、このかたちと味が思い浮かぶほど浸透し、30余カ国に親しまれているそうです。
 グッドデザイン賞の中で有名なものに1993年度に商品デザイン部門で受賞した「キッコーマンしょうゆ卓上びん」があります。このしょうゆびんは、保存容器をそのまま食卓にも持ってきて醤油差しとしても使えるという、それまでに無い新しい容器と使い方の提案でした。それはダイニング・キッチンという機能をもった部屋の出現に象徴され、調理と食事の新しい関係性を反映したものでもありました。
 容器からでも、生活スタイルなど新しい時代を提案できるのです。