オオカミとトラ

動物園では、行った時期、自分の年齢、自分の職業によって、その時々色々な面白いことが見つかります。先日の日曜日に訪れた動物園でも、面白い説明版を見つけました。隣同士に作られた「トラ」と「オオカミ」が放たれた獣舎のまえの掲示には、こんなことが書かれていました。
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「イヌはご存知、小型のオオカミが起源とされており、当然イヌ科の動物。トラはネコ科の動物です。イヌは主人に忠実でよくいうことをききますが、ネコは自由奔放でわがままだといわれていますが、これはもともとの生活の違いからきています。
 オオカミは集団で生活します。オオカミの群れは「パック」と呼ばれ、オスメスそれぞれに順位が存在し、統率が取れています。順位が上のものにはきちんと従い、群れの仲間を大切にするということが、人とともに暮らすようになる上で、重要な働きをしました。動物園のオオカミたちも餌を食べるとき以外は「ずっと一緒」に生活させています。」
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 犬が、人間とともに過ごすようになったのは、もともとの「群れ」を作り、その仲間を大切にするという特性を生かしているからなのですね。その本来の特性を生かしつつ、その部分を延ばすような改良を加えていったのでしょう。例えば、オオカミでは集団を構成するために有利な性格と、逆に他の動物を襲うために有利な機能も持ち合わせています。しかし、人間と生活するうえでは、狩りをする上での有利な機能は、逆に不利な特性になってしまいます。攻撃的な性格、鋭い牙、速い足、恐ろしい吼える声、そんなものは必要なりません。ですから、それらの機能を必要最小限にし、より人懐っこい、穏やかな性格に変えていったのでしょう。一方、ネコ科ではどうでしょうか。こんなことが書かれています。
 「ネコ科の動物は例外であるライオンを除き、基本的に単独で生活をします。トラの展示を見て「1匹しかいなくてかわいそう。」という声をよく聞きましが、嫌がらせをしているのではなく、トラ本来の生活スタイルに合わせているのです。部屋も1頭ずつ分かれており、外に出るときも1頭ずつです。交尾させるための同居、子育て中の親子は例外ですが、それ以外は1頭で生活を送ります。もともと独り者が身についているので相手のペースに巻き込まれるのは嫌いです。やっぱり「ひとりがいい」みたいです。」
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 面白いですね。1匹だけでかわいそうという人がいるのですね。余計なお世話です。そのような特性を持っているのです。よく、「1匹オオカミ」という言葉を聞きますが、「1匹トラ」という言葉は聞きません。それは、もともと集団で過ごすオオカミの中で1匹でいることにある不自然さ、ある主張があるように見えるからでしょう。しかし、オオカミだけではなく、人間も本来は集団の中で生活するように出来ています。その性格も、その体つきも、体の機能も、人間は集団を構成する上で有利なように出来ています。
シリコンバレーでどんな人たちが、どんな働き方をしているかを、シリコンバレー在住の渡辺千賀さんが面白いレポートを書いています。「一匹狼も100万人集まるとコミュニティになる」というタイトルで、集団行動のために最適化された社会性ということが書かれています。この報告は、とても興味深い部分が多いので、明日紹介します。

オオカミとトラ” への4件のコメント

  1. 今回もとてもおもしろい発見をされたんですね。イヌとネコの特性は自分も知りませんでした。特性を抑えることで人間と生活するようになったイヌの話は興味深いです。また、特性を知らないとトラはかわいそうに見え、知っていると当たり前のことに見える、この違いは大きいんだろうと思います。思い込みで判断するのではなく、それぞれの分野の専門家の言葉を大事に受け止めなければいけません。大切なことのヒントはあちこちにあることを、今日のブログでまた教わりました。

  2. 自分自身、「集団」を好む「オオカミ型」か「ひとり」を好む「トラ型」かと問われれば、間違いなく後者ですね。サラリーマンのように人に使われるのが嫌で、自営業の道を選んで今年で20年になります。山歩きも基本的に「単独行」です。家族や友人たちとグループで登る人も多いですが、山歩きは自然と静かに向き合うことと思っていますので、最近は家内も連れて行かなくなりました。単独だともしもの時に危なくないですかと言われますが、山歩きは自己責任だと自覚していますので、周到な準備、慎重な行動、冷静な判断を心がけるようにしています。そんな一匹狼のような山ヤですが、決して人嫌いなわけではなく、山小屋に泊まった時は、同じ単独の人たちとすぐ意気投合して仲良くなります。一人が好きなのに、山に行くと無性に人が懐かしくなるのがとても不思議です。

  3.  いくつか動物園を見てきましたが、虎が一匹でいることは、あまり気になりませんでした。確かに、思い出してみると虎の檻には一匹ないし、大きい檻でも二匹位しかいなかった気がします。
     「一匹狼」という言葉はよく聞きますが、あまりピンときませんでしたが、ようやく意味が分かりました。集団で過ごす事を好む狼が、集団から離れているということは、みんなと考え方が違うということなんですね。そんな人が100人も集まったら、とても面白いうような気がしますが…。次回のブログが気になりました。

  4. シリコンバレーのレポートはおもしろいですね。maverick individualsが100万人集まるコミュニティ、なんかとても凄そうです。「集団行動のために最適化された社会」・・・グローバル化した時代の都市空間。米国のシリコンバレーがこれからの都市モデルとなるかもしれません。今日のブログで紹介されたようにトラが群れているところをみたことがありませんでしたから、いつも一頭で行動している「一匹トラ」、というのはナルホドと合点がいきます。猫も基本的には一匹ずつで行動していますね。近所に猫が群れている?場所がありますが、行動は一匹ずつですね。私たちが近寄って逃げる猫もいれば、私たちとずっと視線を合わせ続ける猫もいます。息子の学年が最近学芸会で馬場のぼるさんの「11ぴきのねこ」を演じました。集団行動のねこさんたちでした。二本足で歩いていましたから進化を遂げた後のねこさんたちなのでしょう。

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