今年の9月のニュースで「対戦型ゲームで負けた腹いせに高校生を殴ってけがを負わせた」というものがありました。ゲームセンターで、容疑者の消防士が、その場に居合わせた高校3年生と対戦型ゲームをして、負けた腹いせに高校生を殴ってけがを負わせたというものです。機動戦士ガンダムの対戦型ゲームで対戦中、ゲームで負けた後、少年からなじられたことに腹を立て「バカと言ったのは誰だ」などと言って、少年の顔を左手で1回殴り、けがを負わせた疑いですが、お互いに面識はなかったそうです。
最近、少子社会になったこともあり、子どもたちは普段から他の子どもと遊んだり、ゲームをすることが少なくなってきました。ですから一人遊びをするか、対戦相手が必要なゲームなどは、母親を相手にするとか、機械を相手にすることが多く、負ける経験が少ないようです。母親は手加減してくれますし、機械はリセットボタンを押せばやり直せます。
日本では、昔から人気のあったゲームは、「将棋」「軍人将棋」「双六」「福笑い」など二人ないしは複数で楽しむゲームがほとんどでした。また、私が子どものころに海外から来たゲームでも、「囲碁」「チェス」「ダイヤモンドゲーム」「オセロ」などがはやりました。これらは、「ボードゲーム」と呼ばれるものです。この「盤上ゲーム」とも言われるゲームは、コンピューターゲームに対して、複数のプレイヤーがテーブルを囲んで遊ぶゲームを指すことがあります。
私の園では、このゲーム類を多く置くことにしています。それは、少子社会では、子ども集団で遊ぶ機会が少なくなってきたこと、負けることも経験する、また、これらのゲームを異年齢でも経験することによってルールを改定したり、加減したり、様々な工夫をしています。6歳児が、まだルールが理解できない3歳児を相手にオセロをしているのを見ていたら、黒と白のこまを交互において、一緒にきれいな模様を描いていました。こんな遊び方もあるの香と感心したものでした。
このようなボードゲーム類は、今までは「モノポリー」や「人生ゲーム」のようなものがありますが、これらは少し難しく、また、遊ぶのにかなり時間を費やしますので、幼児には余り向いていません。そこで最近はドイツ製のものが多くあります。ドイツのボードゲームは、こんな特徴を持っています。「ルールが比較的簡単で、その場で説明してすぐ遊べる」「プレイ人数は2人のものもありますが、ほとんどは3人~6人程度の集団で遊べるものが多い」「プレイ時間は、短いものが多い」「運だけで勝負を決めるのではなく、子どもでもなれてくるにしたがって勝てるようになるゲームが多い」「イラストもきちんとしたイラストレーターが書いているなど、いわゆる子どもだましではない」などです。最近は、必ずしもドイツ人だけで製作されたものではないようですが、このようなゲームがある地位を獲得してきているようです。
先日の 読売新聞に、「食の問題・新型インフルに備え…カードゲームで模擬訓練」という記事がありました。このゲームによって、「意見の違い知り、判断力を培う」とありますが、本来のゲームはそのような役目もあるので、すべて排除するというのもどうかなと思います。
ゲームで負けたことを腹いせに高校生に暴行をしたというのは本当に情けないと思います。それと同時に、負けた相手に挑発するような言葉を言う方もおかしいと思います。
確かに今の子どもはゲームで負ける経験は少ないと思います。ゲームがここにきて急に発展し、子どもが夢中になってしまうようなものばかりを開発していると思います。一応、家族で遊べる簡単なゲームも発売していますが、実際にやるのか?と思うとそうでもないような気がします。それに、家族でやったとしても親は手加減をするに決まっています。そう考えると昔からある伝承遊びというのは、今の時代ではとても大事なことを教えてくれますね。昔の教育が見直されていると一緒で、昔の遊びのような形態が今の時代に必要なんですね。
ドイツのボードゲームはおもしろいですね。子供だましではなく、子どものことを真剣に考えている製作者の姿が浮かんできます。こういったおもちゃがもっと子どもの世界に広がって欲しいと思います。それにしても対戦ゲームでの事件は悲しいですね。少子社会になって変わってきているのは子どもだけでなく大人も同じかもしれません。子どもというある意味では弱い存在が減ってきたことで、様々な立場の人に対しての理解や思いやりのようなものが育ちにくくなっているということもあるのではないかと思うことがあります。自分の課題でもありますが、大人も関わりの中から学ぶことを大切にしなければいけないと思います。
ゲームと言えば、テレビゲームを連想しがちですが、「ボードゲーム」があったんですね。お正月に親戚の家で、いとこたちとわいわい言いながら楽しんだものです。今、密かなブームのようですね。その理由の一つは、「知的欲求」を満たしてくれること。「頭」を使って相手に勝った時の達成感は格別ですね。それから、人と人をつなぐコミュニケーションツールであること。ゲームをしながら会話もはずみますね。何より、「頭を使う、手先を動かす、人と会話する」ボードゲームには、人間の脳を活性化させる働きがあると言われています。異年齢でもルールや遊び方を工夫すれば十分楽しめるんですね。「工夫する」ことが脳の発達には大事ですね。
我が家では息子にせがまれてよく「オセロ」をします。父親の私も母親の家内も決して「手加減」することはありません。それゆえ、たいていは私たち親が勝つのですが、最近では家内が負けたり、私がかろうじて勝ったりするということが多くなってきました。息子は友だちの家に行ってDSやWIIで友だちと対戦ゲームをするようです。帰ってきてから何回ゲームをやってほとんど負けた、という話を聞きます。負けてばかりいるようで気の毒にはなりますが、あまり気にしていないところを見ると安心します。子どもがもう少し大きくなったら親子で楽しめるボードゲームをやろうと思います。ゲームも成長発達とともにより複雑なものを用意して親子で楽しめる機会を増やしていきたいものです。