世界の教育改革2

世界では、その国の事情によって様々な教育改革を行っています。それは、その国が当面問題になっている課題に対しての取り組みと、世界共通の子どもにおける課題に対しての取り組みがあります。300万人もの未就学児童を抱えるタンザニアでの課題は、すべての子どもに基礎教育の機会を保障するというものです。そのために、COBETという補完的基礎教育と呼ばれるプログラムに取り組み始めています。このCOBETの特徴は、従来の正規の教育では不十分だった部分を補い、子どもたちが通いやすい柔軟な教育の仕組みで、学校外教育の場であり、主役は地域社会です。COBETのカリキュラムや時間割、設置場所などの決定に住民が参画しています。COBET は正規の学校より「授業時間が短く」、「体罰をしないこと」、「無料であること」、「子どもにやさしい参加型の学習手法を取ること」を原則としています。学習内容は主に5点を重視し、自立のために必要な力を得られるように考えられています。その5点とは、「コミュニケーション(スワヒリ語と英語)」「算数(数学)」「一般知識」「職業上の技術」「生活に必要な能力など資質の向上」です。子どもたちは8~13歳と14~18歳の年齢ごとのグループにわけられています。COBET で3年間の教育を終えた低年齢組の子どもたちは正規の学校に編入できます。また、14~18歳の子どもたちには職業訓練や中等教育を続ける道が残されています。ここに通ってくる子どもたちは、長い間教育から離れていて、盗みなどの悪癖があったり、麻薬をやっていたり、また、貧しい家庭の子どもや、親のいない子どももいます。しかし、COBET に通うのに費用はかからず、制服もありません。そして、ここを出た後も、子どもが自分の力で生きていけるだけの能力を身に付けられるようにすることが大切です。指導員として働いている一人は、「正規の小学校で教員をやっていた頃は、教育システムから外れた子どもたちをどう扱えばよいのかわかりませんでした。ここでは、子どもたちをうまく学習に参加させながら教える手法を身につけることができました。」と言っています。また、地域社会がCOBET に参画していることが、子どもたちの学びやすい環境をつくることに大きく貢献しています。子どもに教育を受けさせることの効果も直接わかるので、住民は教育の重要性について認識するようにもなります。
 また、マケドニアでは、「障害のある子どもを普通教育に包含するためのプロジェクト」が実施されています。知識レベルによって子どもたちを小ユニットにわけ、子どもたちはユニットごとに与えられる課題に取り組みます。個々に適した課題について最大限の成果をあげられるようにするのです。重要なことは、誰も学習の中で孤立しないことです。早く課題が終わった子どもは、友達の学習を手伝います。教師の役割は、子どもたちがみな平等であると感じられる雰囲気をつくることです。こうした学習手法は非常に個別化されたものですが、障害のある子ども、特に中、重度の障害のある子どもたちを受け入れるには適しています。最初の頃は、保護者から「なぜうちの子どもがその子の隣に座らなくてはならないのか?」「授業の邪魔なのでは?」という声があがったり、保護者会で子どもの障害について説明するよう求められたりしたそうです。しかし、教師たちは、子どもはみなそれぞれ問題があるものですから、といって説明しませんでした。その後、クラスは完璧に機能し、障害のある子どもはもっとも愛される存在となっているそうです。親は、自分の子どもが障害のある子どもを受け入れているということを認識すると、自分たちも同じように助け合おうとするものだと言っています。このプロジェクトは、障害のある子どもたちの存在を生活の一部分とし、互いに人間関係を築くことを可能にしています。
 私たちも、学ぶべきことがたくさんありますね。

世界の教育改革2” への4件のコメント

  1. 基礎教育の捉え方にもよると思いますが、もしも日本ではすべての子どもに基礎教育の機会を保障していると言えるかと問われたら、答えに困ってしまうと思います。タンザニアの取り組みは地域社会が教育を受けさせる意味を理解していけるという点でもすごい取り組みですね。マケドニアの取り組みも同様に学ぶところが多いです。こうして世界の教育をみていくことは本当に勉強になります。取り上げてもらってありがとうございます。こうした世界の教育のあり方を受けて、日本の教育のあり方がもっと議論されるようにならなければいけないですね。

  2.  すべての子どもに基礎的な教育を保障するというのは、日本でいう義務教育のように見えますが、その国の経済事情によっていかに大変な事か分かります。教育を平気で受けることが出来る日本はとても恵まれていると思いますが、取り組み方としてはタンザニア、マケドニアに比べたら、見習うべき事がたくさんあると思います。先生も、子どもたちをうまく学習に参加させながら教える手法を身に付け、子ども同士でも友達の学習を手伝うといった関係が出来ているのは、とても素晴らしいことだと思いました。以前からヨーロッパやアメリカはブログで拝見させていただきましたが、アフリカの教育方法、教育事情というのは知らなかったので、とても勉強になりました。

  3. 今日のブログを拝見しながら、日本は「経済は一流、政治は三流」といわれるけれど、果たして教育は何流なんだろうと考えてしまいました。アフリカの発展途上国であるタンザニアでは、地域社会が学校教育をうまく補完するシステムが出来上がってるなんて知りませんでした。日本の塾は主に進学を目的にしていますから、学力の劣る子供たちはなかなか救われません。その点ではタンザニアのほうが優れています。一方、マケドニアは、藤森先生がよくお話しされる「インクルージョン」を実践しているんでしょうか。独立して間もないバルカン半島の新興国ですが、教育にかけては先進国ですね。さて、あらためて日本の教育は何流なんでしょう?

  4. 今日のブログではタンザニア、マケドニア、という日本人にはあまり馴染みのない国々の教育が紹介されました。また両国とも「先進国」とか「経済大国」とか言われている国々ではありません。しかし教育システムの多様性、充実ぶり、は参考になるところ大です。マケドニアの教師は「子どもはみなそれぞれ問題があるものですから」といわゆる「健常児」や「障害児」というレベルで話をするのではなく、子ども一人ひとりの特性という観点から「障害」等々の問題を乗り越えて保護者に説明しているところは傾聴に値します。本当に学ぶべきところがたくさんあると思います。日本の教育を卑下するつもりはありませんが、せめて時代の流れを捉えた教育改革をわが国の教育システムに導入し、さらに良いシステムを構築して日本の子どもたちの将来を保障しよう、ということにならないものでしょうか?

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