ニッキ

 職員と、お客からいただいたお菓子を食べようとしたときです。見たことのないお菓子だったので、私がまず食べてみました。私は、基本的には好き嫌いが全くないので、よくわからない食べ物は、まず食べてみます。周りにいた職員は、「どんな味ですか?」聞いたので、私は、「うーん、ニッキの味かな?」と答えました。すると、そこにいたほとんどの職員は、「ニッキって、なんですか?」と聞きます。以前のブログで書きましたが、今の若い人が「渋」を知らないように、若い人は、「ニッキ」を知らないようです。
 私が「ニッキ」といってまず思い浮かべるのが「ニッキ飴」です。やはり若い人は知らないようです。「ほら、あのひし形で、茶色い粉がまぶしてある飴だよ」といってわからないので「今度買ってきてあげるから」といいました。最近のニッキ飴は、ひし形ではなく、いろいろな形をしているようです。また、川崎大師の飴をよくいただくのですが、その中にニッキ味のものもあります。そんなときに、京都土産の八ツ橋をいただきました。そこで、「この八ツ橋もニッキ味だよ!」とは言ったのですが、「それって、シナモンではないのですか?」と言われました。
 確かに「シナモン」「カシア」「ニッキ」ともクスノキ科で、とても近い種類ですが、厳密に言うと、植物としての種類が少し違うようです。「シナモン」は、セイロンニッケイやシナニッケイの表皮をはがし、その内側のコルク層を薄く削り取り、何枚か重ねて丸めます。最もさわやかな香りで辛味はほとんどありません。それに比べると「カシア」は、コルク層を付けたまま丸めて乾燥させるので厚くなり、香りがかなり強く、日本で一番多く売られています。一方、「ニッキ」は、日本肉桂で、最近はあまり栽培されていないようです。樹皮の香りはあまり無く、根の皮に強い香りがありますので、最近は、シナニッケイの根からつくられるようです。京都の八ツ橋は、この材料を使っているので、正確に言うと、シナモンではなくニッキのようです。
 シナモンは世界最古のスパイスの一つといわれ、紀元前4000年頃からエジプトでミイラの防腐剤として使われ出しました。日本には8世紀前半に伝来しており、正倉院の御物の中にもシナモンが残されています。しかし、樹木として日本に入ってきたのは江戸時代です。
香辛料としてのシナモンは、カプチーノ等の飲料や、アップルパイ、シナモンロールなどの洋菓子の香り付けに使われていますが、その成分には、防虫効果や香り付けだけでなく、様々な効果があります。シナモンやニッキ(肉桂)の最も主要な有効成分の1つはシンナミックアルデヒドで、抹消血管の拡張作用があり、血行を改善します。ですから、冷え性、肩こり、更年期障害などに効果があります。また、発汗作用、殺菌作用、健胃、整腸作用があり、初期の風邪にも効果があります。しかし、シナモンには、過剰摂取に対する注意が出されています。
これからの季節、シナモン・コーヒーでも飲んで、そのエキゾチックで芳ばしいシナモンの風味を味わってみてはどうでしょうか。グラニュー糖をあらかじめカップに入れておき、それに深煎りのコーヒーを抽出し、生クリームをホイップさせ、コーヒーを覆うように乗せます。そこに、スプレーチョコとシナモン粉を振り、真ん中にレモンの果皮を置き、シナモンスティックでかき回しながら飲むとよりいっそうおいしさが広がります。