人魚

  私はまだ見ていないので、その内容についてじっくりと書きたいと思っているのが、映画「崖の上のポニョ」です。この物語は、「アンデルセンの「人魚姫」を今日の日本に舞台を移し、キリスト教色を払拭して、幼い子供達の愛と冒険を描く」と宮崎 駿さんは語っているように、この物語は、海に棲むさかなの子ポニョが、人間の宗介と一緒に生きたいと我儘をつらぬき通す物語です。この物語のように、いわゆる魚の子といわれる人魚が、昔から物語の題材になることは多くあり、その多くは、人間になりたいという願望を持つことによって起こる悲劇を主題にすることが多いようです。
 北方の、冷たく暗い海の岩の上で、女の人魚が考えていました。「人間の住む町は、明るくにぎやかで、美しいと聞いている。人間は魚よりけものより、人情があってやさしいと聞いている。一度手に取りあげて育てたなら、決して捨てたりしないと聞いている。さいわい自分達は人間そっくりだから、人間世界で暮らせるはず。せめて自分の子供だけは、人間の世界で育て大きくしたい」と、ある夜のこと、人魚のお母さんが神社の石段に赤ん坊を産みおとしました。
赤ん坊は町の蝋燭(ろうそく)屋の子どもがいなかった老夫婦に拾われ、大切に育てられ、美しい娘になりました。娘は、家の蝋燭に赤い絵の具で絵を描くのが好きになり、その蝋燭がたいへんよく売れ、家業が繁盛します。それは、その蝋燭でお宮にお参りすると、船が沈まないという評判が立ったからでした。ところが、人魚を見世物にしようという悪い香具師が差し出す金に目がくらんだ二人は人魚の娘を売り飛ばしてしまいました。そのとき、娘は泣く泣く最後の蝋燭に絵を描きます。それは、悲しさのあまり真っ赤な絵になりました。
その夜、訪ねてきた髪を乱した青白い女に娘が残した最後の蝋燭を売りました。その女が帰っていくと、まもなく雨が降りだし、たちまち嵐となり、娘の檻を積んだ船は難破してしまいます。そして、赤い蝋燭がその町にすっかりなくなると、その町はすっかり寂れ、ついに滅んでしまったといいます。
これは、東京朝日新聞に連載され、小川未明の最高傑作といわれる童話「赤い蝋燭と人魚」です。しかし、子どもが読む童話としてはせつなすぎますね。
 先週末訪れた富山で、飛騨高山と同様、江戸時代に天領となった飛騨古川に連れて行ってもらいました。この伝統ある城下町には、出格子の商家や白壁の土蔵が続き、その脇を意外と早い流れの瀬戸川には、大きな鯉が透き通った水を通して見えます。
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  この町のチラシには、「やわらかい、あたたかい、なつかしい」と書かれてあります。ここは、2002年にNHK朝の連続ドラマ「さくら」の舞台となりました。高山市の中学で英語指導助手をするハワイ生まれの主人公さくらが、この古川町の和ロウソク店に下宿します。その舞台となった江戸時代から続く手作り和ろうそく店「三嶋和ろうそく店」に入ってみました。
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 すべて手作りで作るろうそくは、全国でもここだけというだけあって、そこにある座布団には、生憎店主は座っていませんでしたが、職人の心意気が漂っていました。店の奥は、二階から顔を出したテレビのシーンを思い出させるかのような飛騨の家屋のつくりを見ることが出来ました。

人魚” への5件のコメント

  1. 新美南吉、浜田廣介、坪田譲治、椋鳩十、、今の小学生でこの人たちの名前を聞いて、何をした人かわかる子がどれくらいいるでしょうかね。小川未明と同じ児童文学の古典的な名作を数多く世に送った人々ですが、ひょっとしたら彼らの本は図書館の片隅に追いやられていないか心配になります。読書よりもゲーム、読むとしたら「ホームレス中学生」では情けない。日本にもアンデルセンやグリムに肩を並べるような児童文学者がいたことを忘れないでほしいですね。ちなみに、25年ほど前、鹿児島に住んでいた時に、椋鳩十先生にご自宅でお会いしたがあります。気さくに動物の話をいろいろしてくれたことを思い出します。

  2.  「崖の上のポニョ」は相変わらず子ども達の間では人気ものです。部屋にテーマソングが流れれば、それを聞きつけ子ども達が集まり大合唱が始まります。見に行く機会が失いそうなのでレンタルで見ようと思います。ブログに書いてある「赤い蝋燭と人魚」の物語は本当にせつないストーリーですね。人魚の物語はあまり知りませんが、どうして悲しい結末が多いのでしょうか?すこし気になるところです…。
     朝の連続テレビ小説「さくら」は私も見ていました。その舞台となった手作り蝋燭の現場を見たのは素敵ですね。私も二階の障子窓からヒロインが顔を出しているシーンなどが思い浮かびました。

  3. 蝋燭のお店には店主がいなかったけど職人の心意気が感じられたというところが気になり、いろいろ想像してみました。実際に作業が行われていなくても建物や道具から思いが伝わるのはすごいことですね。自分の園を考えたとき、一歩足を踏み入れたとき、子どもたちが活動している様子をみて何を感じるだろう、何を伝えられているだろう、そんなことを考えました。意識して見てみようと思います。

  4. 宮崎 駿さんの映画「崖の上のポニョ」はまだ観ていませんが、既に観たという園の職員にストーリーを全て話してもらいました。聞いたときは全容がわかって感動しましたが、日がたつにつれて忘れていきます。もう一度語ってもらうか、あるいは映画を実際見に行くか、・・・。あるいはテレビで放映されるまで待つか、です。それはともかく、NHK朝の連続ドラマ「さくら」は私も観ていました。さくらのお相手役の体育教師役の俳優さんが世界の名指揮者小澤征爾さんの息子さんである、というところから同ドラマを見るようになりました。今の大河ドラマ「篤姫」の西郷隆盛役を演じている役者さんですね。ところで「さくら」の下宿先のローソク店に行かれたとはこれまた羨ましい話です。そうしたお店が現存することに驚きました。

  5. 人間になりたいと思う魚の物語は、漫画やアニメ、そして映画などで幅広く取り上げられていますね。崖の上のポニョも観る機会がありましたが、意外にグロテスクな部分もあり、子ども向けだけでない要素があったように感じました。また、人間が魚やとりに憧れるという内容も多いように感じます。ないものねだりのように、何かに憧れを持ちそれを実現させるために苦難に立ち向かうというのは、多くの共感を得るのかもしれません。そして今の時代、すべて手作りなロウソクというのもすごいですね。自分で作るロウソクに火を灯し、本を読んだり食事をしたりするというものいいですね。

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