摂食

摂食とは、そのまま食事をとることです。それは、食物を認識して口に取り込むことに始まり、胃に至るまでの一連の過程です。しかし、それだけのことといっても、様々な機能が必要なものです。
食物が口の中に入ると,まず咀嚼をして食物を飲み込める状態にします。その行為は、おもに歯とあごでします。それと同時に舌や頬の運動も必要です。舌や頬に運動障害や感覚麻痺があると,食べ物を飲み込める状態にすることが難しくなります。また、口をきちんと閉じることができないと、口から食物がこぼれてしまいます。そして、歯は、その役割によって形が違います。大きく言えば、前歯でものを噛み切り、奥歯でそれをすりつぶします。そして、飲み込める状態にします。
私の園に見学に来た方が「園の給食の野菜の刻み方が、子どもには大きすぎませんか?私の園では、もっと小さく切っています。」と、いかにも自分の園では丁寧にしているということを自慢げに言われました。そこで私は、「それは、前歯を使わないでいいようにですか?だったら、奥歯も使わないでいいようにすりつぶしたものを出したらどうですか?」と言ってしまいました。また、固いものを噛み砕くことのできる歯の強さ、あごの力も必要です。そのためにも、幼児期にしっかり噛む習慣をつけることが大切です。給食は、栄養素を子どもの体に流し込むことだけが目的ではなく、体の様々な機能をより高度に発達するように援助していくことなのです。
また、咀嚼とは、単に歯で食物を噛み砕くだけではありません。よく噛むことによって唾液も多く分泌し、食物と混ぜ合わされ、呑み込みやすい大きさ、形にすることができます。それは、また食物の消化吸収を高めることにもなります。また、噛むことによって、食物本来の味を引き出すことができ、食物をおいしく感じ、満腹感を得ることができます。また、咀嚼機能の発達と連動して、舌やあごの運動機能、口腔の容積やあごの筋肉、味覚などが発達します。また、両手との協調なども習得していきます。そして、6歳頃までに一人食べができるようになります。
 咀嚼がある程度完了したら,次は、舌を使って食物を咽頭へ送ります.この時に大切な機能が「舌尖の挙上」といわれることです。それは、舌の先を上に持ち上げ、上顎に付けることが出来ないと,食べ物を喉のほうに持っていくことができないからです。すると、いつまでも口のなかに食物が残ってしまいます。また、この時にも唇を閉じることができないと、食べ物の塊を口の奥のほうにうつしていくことはできないのです。
食べ物を飲み込むときにも、人間は素晴らしく様々な機能が連動します。飲み込もうとすると、軟口蓋が上に上がり、口腔と鼻腔が遮断されます。また、喉頭蓋で気管へ蓋をし,飲み込む瞬間だけ食道が開き、食べ物を食道に送り込みます。しかし、これらの複雑な運動に関わる神経や筋肉に何らかの障害が生じた場合、「嚥下障害」といって、飲み込むことが困難な状況になるのです。また、話しをするときや呼吸をするときは気管を使います。そのときには気管が開きます。ですから、話しながら、呼吸しながら食物を飲み込むと、食物が気管に入ってしまい、急いで吐き出そうとむせてしまうのです。
ものを食べるときには、精密な機械が、正確に連動し、動いている気がします。人間の体は、素晴らしいですね。

摂食” への7件のコメント

  1. 人間の体は本当にすごいですね。食べるときの体の働きをこうして言葉で追っていくと、そのすごさをより感じます。ほとんど意識せずに「食べる」行為を行っていますが、頬の動きとかを意識しながら食べると面白いかもしれません。でも、意識し過ぎずに食べる方がおいしく食べられるのかもしれませんね。「よく噛んで」とか「話をしながら食べない」という注意を聞くことがありますが、こうして食べることの一連の流れを考えると、それでは注意のポイントが少しずれているかもしれないと思いました。こういうことをきちんと整理して学ぶことは大切ですね。

  2.  「食べる」という行為が普段当たり前すぎて全く意識していませんでしたが、口から食べ物が入ってから胃に行くまで本当に精密機械のように正確な動きをしているのですね。とても素晴らしいと思います。その精密機械のような動きをさせるためには、ただ食べ物の具を子どもが一口で食べやすい大きさに切るのでなく、一口では食べれないほどの大きさに切ることによって、自分の食べれる量も理解し、歯やあごを強くさせるのが大切なんですね。私はただ栄養をしっかり取れば良いものだと思っていましたので、今日のブログを読んで反省しなければいけません。改めて何でもかんでも子どもの為にと思ってやってあげるのは、逆に子どもの為にならないと思いました。

  3. よく噛んで食べるということは本当に大事ですね。しっかり噛むと脳の血流が活発になるそうです。幼稚園児を対象にした実験で、よく噛む食事をしている子どもはそうでない子供より計算能力が高いことが実証されています。頭のいい子に育てるためにも、歯の健康を守ることやよく噛んで食べる食習慣をつけさせないといけませんね。それにしても、給食の野菜を食べやすいように細かく刻んで出している保育園というのは意外と多いかもしれませんね。こんなところにも、その園の保育の質が見えてきます。

  4. 細かく切った料理だと、確かに食べさせる方は安心ですし、手早く済みます。月齢が低ければ低いほど、おなかが減って、思うように食べられなければ、泣きます。でも、先々のことを考えると、咀嚼力がないために喉にものをつまらせるより、小さい時期から「よく噛まないと食べられない」ということを覚えていた方がよっぽど子どもにとってプラスになりますよね。
    その場しのぎで食べ物を与えて、その場しのぎで欲を満たしても、その弊害は後になって出てきます。
    先を見通した保育を行うことの大切さを感じます。
    特に、小さい子どもの保育ほど、泣きやませるためとか、落ち着かせるためが先に立ってしまって、後々のことまで見通して保育できていないのが現状です。
    日々反省です・・・。
    久々のコメントが、反省文になってしまいました(笑)。

  5. 以前うちの保育園児が魚の骨をのどに引っかけてしまい大慌てをしました。それまでは骨を厨房で取ってくださっていたのです。が、実はそれが子ども達の力を奪っていたのではと反省し、次の月には骨付きさんまを提供しました。もちろん事前に保育の中で骨への関心を高めつつ職員一同緊張してその日を迎えたのでした。とりあえず箸を使える4,5歳児対象にした事もあってか子どもたちもよく噛んで口に残る骨を取り出したり、身から骨を自分で取った感動にひったったりして骨を引っかけることなく終了しました。
     しかし野菜の大きさまで気が回っていませんでした。物事を
    深く知り丁寧に考えていくことの大切さを改めて教えていただきました。
     
     

  6. 加齢により、口内にさまざまな問題を抱えることが多くなりました。歯で口内を噛み口内炎になったり、歯周病により歯肉が衰え化膿したり、あるいは歯そのものが駄目になったりしましす。こうした状態の時は、食べ物を口入れて食べる、という行為を非常に意識します。どの部分で咀嚼すると痛みを軽減できるかとか、一生懸命考えながら食べます。さもないと、ただ食べることをあまり意識しません。よく噛んで食べることは脳にも刺激を与え、しかも肥満になることも防ぐようです。「咀嚼」「嚥下」ともども人間の精密でしかもすばらしい摂食機能です。今日のブログの中でも紹介されていましたが、機能の連動、はこうして示されるとあらためて感心します。神秘的です。

  7. 摂食という行為が、多くの機能の働きによって可能になっているということを知ることができました。食材の大きさというもにが、子どもの機能を発達させることにも繋がっていると理解すれば、調理さんが「保育」をしているということが本当に明確に理解できますね。食材をよく噛む習慣をつけさせるのは、柔らかいものや刻んだもの以外の提供が必要になります。その子の発達を理解しながら、進めていくことが重要なのですね。そして、摂食という行為は、まるで「歩行」と同じような意味合いの過程を通っているようにさえ感じます。歩行も順序良く「体の様々な機能をより高度に発達するように援助していくこと」が重要ですね。

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