何回か紹介した私がブログを始める前に書いていたメルマガからひとつ紹介します。2004年11月4日に書いたもので、さわやか福祉財団理事長の「堀田力」氏が書いた新聞記事を紹介しています。
「人の原点は、ほかの生物と同じく、自己中心主義(自己中)であろう。―略―
さて、自己中と自己中とが衝突するとどうなるか。親あるいは教師は、権力と権威で子どもを屈服させる。力の強いほうが勝つのである。それが教育だと思っており、子どもがいうことをきくことをもって、教育の成功だと思っている。しかし、それでは子どもの身には着かない。彼らが学ぶのは大人の偽善と、理不尽な力が勝つという不合理である。子どもの自己中を正すためには、自己中な子ども同士がぶつかり合い、その中で自ら学び、協調することを覚えるしかない。子ども同士なら、権威と力で押さえつけるという装置が働かないから、人間関係を作る中で自然に学ぶことが可能になるのである。大人は、子ども同士の交わりの中で子ども同士が自己中を正していくのを見守る。それが、大人のできる最高の教育であろう。」
子どもが少ない少子時代の今では、子ども同士がぶつかり合うことが少なくなってきています。物が豊富になったため、ものを取り合ったり、譲り合ったりしないで済むようになりました。物だけではなく、時間も、空間も自分だけのために確保できるようになりました。そのような意味において、幼稚園・保育園という場は、子どもにとって、貴重な場だといえます。多くの子どもが共に生活するうえで、さまざまな場面で、譲り合っている姿を見ることができます。
今回の保育指針の改定の背景に、子どもが人と関わる経験が少なくなってきていると書かれてあります。人と関わることで当然トラブルも発生しますし、自己中のぶつかり合いも起きます。しかし、その中から人に共感する心が育っていきます。もともと人とは、社会という集団を構成するようにできています。
今日、以前ブログで「イエナプラン」というオランダの教育を紹介しましたが、それを日本に紹介しているリヒテルズ直子さんから、「残業ゼロ 授業料ゼロで 豊かな国 オランダ」(光文社)という書籍を送っていただきました。その「はじめに」のところに紹介されているのが「ユニセフ・イノチェンティ研究所調査」です。このデータは、日本でも昨年2月に日本の新聞で紹介されたものですが、国連児童基金(ユニセフ)が行った、先進国に住む子どもたちの「幸福度」に関する調査報告です。それによると、子どもの意識をまとめた項目で、「孤独を感じる」と答えた日本の15歳の割合は、経済協力開発機構(OECD)加盟25か国中29・8%と、ずば抜けて高かったのです。日本に続くのはアイスランド(10・3%)とポーランド(8・4%)ですから、日本は飛びぬけて多いですね。
世界で一番感じていない国は、オランダの2・4%で、イギリスは、5・4%、学力が高いといわれているフィンランドは6・2%、ドイツでも、6・2%です。ぶつからないから仲がいいというのは違います。今回の小中学校の学習指導要領でも「協同的学び」が重視されていますが、群れていても、共感の心がないと無理な気がします。
評論家の鶴見俊輔氏が雑誌の対談の中で、昔と今とでは子どもたちの付き合い方が変わってしまったことを指摘しています。明治の初めに来日したモースという動物学者が、「路地」で年齢の違う子どもたちが一緒に遊んで共同体をつくっているのを見て、とても驚いたといいます。彼の育ったボストンにはそんな光景はなかったといいます。幕末の混乱を乗り越え明治維新を曲がりなりにも成功させたのは「路地裏」育ちの人材たちですね。考えてみれば、僕たちの時代はみんな「路地」で遊んでけんかのルールも仲直りすることも体で覚えたものです。今は、友達同士の中でもよく「空気を読め」と言われて、暗黙のルールみたいなものがあってそこから外れると排除される。いじめですね。そんな閉塞感が子供たちを苦しめている。今、大人たちができることは、せめて幼児期に、昔の「路地」のような自由闊達な子ども社会を経験させてやることですね。
たまたま電車の中吊り広告でOECD調査孤独度第一の国日本という雑誌記事を目にしていましたので今日のブログの内容には大変共感するものがあります。特に「15歳の割合」を示されていましたが、丁度PISAの学力調査が行われる年齢の「孤独度」だけに非常に興味深いものも感じました。15歳頃は一番「自分」を殺さなければならない時なのかもしれません。本当は「自己発揮」をして「仲間」をつくりさらに自分に磨きをかけたたいと思っているに違いありません。しかし、実際は自分を殺して似非集団に同化しないと仲間はずれにされる、そうした危機感が子どもたちにはあるのでしょう。「自分を殺して」似非集団に迎合することほど「孤独」を感じることがほかにはないような気がします。自立そして関わり、という流れをその時々で大切にしないと孤独の問題、ひいては「自殺問題」が解消されない、そんなふうに思います。
自己中心的な人と出会うと、「自分はあんなふうにはなりたくない」とつい思ってしまいますが、知らずに自己中心的な行動や考えはしている気がします。子どもを見ていても、自分勝手だなぁと思う子どもをよく見ます。それ同士がぶつかり合うことによって協調性を自然と学ぶとは、いかに子ども同士の関係というのは大切なものだと改めて実感しました。そして、人に共感する心というのは本当に重要なことだと思いますし、まず子どもと接する時には大人の目線から考えるのでなく、子どもに共感することが大事だと思いました。その共感することが出来る子どもにするためにも私自身、共感することを身に付けていきたいと思います。
人と人のぶつかり合いは大事ですね。保育園の役割の大きさを感じます。ぶつかり合いや関わりから学ぶことは子どもだけでなく大人も多くあります。リヒテルズ直子さんの本に書かれているオランダの社会にはたくさんのヒントがありました。世界は広いですね。知りたいことがまた増えました。