「LRT」と「TDM」

 映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の時代設定と地域設定は、まさに私が育った時代と、私が育った町が再現されています。以前ブログでも取り上げましたが、その中で懐かしく見たもののひとつに「都電」がありました。東京では現在は1路線のみになってしまいましたが、当時は今の地下鉄以上に東京を網の目のように走っていました。また、「トロリーバス」という無軌道電車が走っていました。これは、その名の通り、形は全くバスですが、電気で走るものです。これらは、様々な理由から次々に廃止されました。それに取って代わったのが、ガソリンで走る自動車です。しかし、自動車の急速な普及は、都市に、交通渋滞や交通事故の増加、大気汚染や騒音などの問題をもたらしています。それ以上に、自動車の普及は、人の流れや商店のあり方も変えてしまいました。また、人と人との出会いの機会も奪ってしまいました。
最近、欧米諸都市では、いったんは衰退した中心市街地を、自動車交通中心のまちづくりから公共交通中心のまちづくりへと転換することによって、活性化させる例が現れているようです。その中心市街地活性化の手段のひとつとして注目されているのが、時代遅れの乗り物として姿を消しつつあった路面電車を近代的に再生させた交通システムの導入です。この交通システムが「LRT」(Light Rail Transit)と呼ばれるもので、低床式車両路面電車の使用による「人と環境に優しい乗り物」としても、見直されています。
このLRTが活用されている国のひとつにドイツがあります。私は毎年ドイツに行っていますが、「ドイツは環境の国」というイメージがあるように、乗り物は、自転車か、路面電車が目立ちます。私が訪れるミュンヘンでは、自動車を環状道路の整備により強制ではなく誘導により迂回させ、TDM(Transportation Demand Management)という方法を実現しています。このTDKとは、その言葉の通り交通需要マネジメントのことで、自動車利用者の行動を変えることにより、道路渋滞をはじめとする交通問題を解決する手法です。今ではほとんど交通問題の解決のために、道路整備などを行うような交通の「供給側」からの対応ですが、それが限界に来たために最近では、交通の「需要側」からの対応使用という考え方をするようになってきています。ミュンヘンでは、この考え方を、LRTだけでなくその路線をドイツ的な土地利用の考え方に忠実に従ったものとし、バスとの連携、Sバーンからの連続として配置し、自動車交通の受け皿として積極誘導を行い、現在のLRTの発展の基礎となったとも言われています
そのほか、アメリカ、フランス、イギリスなど他の西側先進国でもこの取り組みが行われています。日本全国の様々な都市でも、導入運動が進んでいるシステムですが、必ずしも適応性がすべての都市で高いとはいえませんし、それぞれの都市では問題も多いようです。
昨日まで訪れていた富山では、旧富山港線を第3セクターが引き継いで路面電車化した富山ライトレールが開業し、富山市の都市計画に組み込まれるなど、日本初の本格的導入として注目されています。2006年度には、グッドデザイン金賞を受賞したり、今月には、第3回「ハイ・サービス日本300選」を受賞するなど、様々な賞を総なめしています。
 しかし、このライトレールは、ドイツで取り組まれたような意図が実現されているのでしょうか。地元の人の話からすると、いろいろな問題があるようです。

「LRT」と「TDM」” への5件のコメント

  1. 確かにドイツでは自転車を多く見かけました。ドイツは自動車の国というイメージがあったので少し意外な感じがしましたが、路面電車が活躍していたりするところはさすが環境の国だと思わされました。トロリーバスには乗ったことはありませんが、車を持つ人が多くなったことや渋滞を起こしてしまうといった理由で消えていったということを聞いたことがあります。路面電車やトロリーバスなどが姿を消していった社会が、またそれらを見直す方向に向かっているのは興味深いです。都市部のことでしょうが、日本ではどのような形になっていくんでしょうか。もっと知りたくなりました。

  2. いわゆる「鉄ちゃん」ではありませんが、路面電車は好きですね。四国では松山市と高知市で市民の足として親しまれています。ちょっと調べてみたんですが、ドイツのLRTは環境問題への取り組みとして始まったようですね。自動車による排気ガスを少しでも減らすために、車から徒歩や自転車や公共交通機関への転換を図ろうという気運が背景にあったと言われています。郊外から来た車は、LRTに隣接した駐車場(パークアンドライド)に停めて、トラムと呼ばれる電車に乗り換えて都心に向かうそうです。便利性よりも環境を守ることを優先するドイツ人の国民性には敬服します。日本人が学ぶことが多いですね。

  3.  富山県のライトレールは乗ったことがありませんが、見た事があります。その時は特に意識してライトレールを見ていませんでしたが、グッドデザイン賞をを受賞していたのですね。それなら乗っておけば良かったです。ドイツのLRTのように、土地に適応していて、意図が明確にしてあり、そして、その他の交通機関との連携がしっかりと取れているなら良いのですが、富山のライトレールは色々と問題があるのでは、考えや意図を改めた方が良いのでは?と感じました。町おこしとしては良かったのかもしれません。ですが、その町の機能として活用されていなければ何とも言えませんね。町おこしも成功し、住民にも好評であれば最高ですが、その両方を得るにはなかなか難しいと思いました。

  4. 私には自動車免許というものがありませんので、公共交通機関は遠くに出かける際の必需です。それゆえ、電車、バス、飛行機、・・・と「乗り物」には大変な関心があります。息子も私同様「乗り物」が好きなようで、休みになれば「乗り物」に乗りに出かけます。富山の「ライトレール」、是非乗ってみたいものです。いつかその機会が到来するのを心待ちにしております。先日、長崎市を訪れました。長崎にも路面電車が走っていたので早速乗ってみました。どこまで行っても100円という魅力的な運賃。しかも異なった路線を利用する際には「乗り継ぎ券」のようなものが発行されます。公共交通機関の発達はコミュニティーの発達度合いと相関関係があるのでは、と思っております。

  5. ドイツでの、交通の「供給側」から「需要側」への使用変化など、時代に応じた対策が試行錯誤されていることが伝わってきました。中国では、TEBという「交通高架式バス」が一時騒がれていましたが、その後どうなったのでしょう。画期的でありながらも、それには問題も出てくるように、何を優先させるかがそれこそ重要になってきますね。富山のライトレールでは、安心・快適・地域・環境というコンセプトが存在するようで、「地域に密着した安全・安心・快適で環境にやさしい公共交通を目指しています。」と書かれていました。そして、賞を総なめにするというのは、地域密着でなければならないようですね。

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