寝返り

 園では、もうすぐ運動会があります。そこでは、子どもたちの運動能力の発達を保護者の方に見てもらうのですが、ハイハイがまだ出来ない乳児は、寝返りを見てもらいます。
 人は、脳に近いところから発達をしていき、次第に首、腕をへて腰まで発達していきます。そうなると、自分で腰を自由にひねられるようになるので、突然、ゴロンとひっくり返るように、寝返りが打てるようになるのです。この時期は、ずいぶんと個人差があるようですが、だいたい7カ月ごろには、90%の乳児ができるようになります。
 寝ることが重要であることを昨日のブログで書きましたが、寝ているときの寝返りもまた、体重によって圧迫された身体の部分の痛み・血行不良を、体位を変える事で和らげる役割があり、とても重要です。しかし、このような大人での寝返りと、乳児の頃の寝返りは少し違うようです。まず、寝返りの方法ですが、乳児は、まず、腰を大きくひねって足を先に寝返りの体勢にしておいて、その反動でクルリと上体を回転させます。それに対して、大人の場合は逆で、あおむけに寝た姿勢からうつぶせになるときは、普通、腕を大きく動かして上体をひねり、そのはずみで下半身を回転させます。それはどうしてかというと、乳児の頃は、まだ足を自分の思ったとおりに動かせないでの、大人のように先に上体を回転させても、足がついていかないのです。そこで、腰をひねってまず足を動かしておいてから、自由がきく上体をひねるのです。
 乳児にとって、寝返りができるようになるということは画期的なことです。というのは、そればでは何かを取りたいときでも、腕を伸ばすことしかできず、体を自分で移動することはできないのが、ゴロンと自分で転がってなんとか移動できるようになるからです。寝返りでゴロンゴロンと体を転がし、動く範囲が広くなることは乳児にとって新鮮な驚きですし、新しい環境に自ら出会う喜びも生まれてきます。
大人の寝返りは、違う意味で大切です。睡眠中の脳波を測定してみると、激しく寝返りを繰り返す時に比べて、同じ姿勢のままで寝ているときのほうが、目が覚めた状態にある「中途覚醒」が倍以上もあることがわかっています。さらに、寝返りはおよそ90分間周期で訪れる浅い眠りと深い眠りの切り替え時に行われ、規則的で安定した睡眠を得る為のスイッチの様な働きも持つこともわかっています。
また、体にかかる圧力を調べたところ、仰向け寝では肩や腰の周辺に、横向き寝では骨盤の周辺に、圧力が集中することが判明しました。特定の場所が圧迫され続けると、痛くなったり体温で蒸れたりするため、脳は睡眠中も寝返りを打って姿勢を変えるよう指令を出しているのです。
 寝返りのしやすさに影響する寝具は敷布団と枕です。やわらかい敷布団に寝ると、寝返りしにくく、一般に硬いほど寝返りをしやすいといわれていますし、やわらかい枕よりも、硬い枕のほうが、寝返りがしやすく、眠ったまま無意識のうちに楽に姿勢を変え、快眠を維持するようです。
 赤ちゃんの頃の移動の手段としての寝返りは、体を健康に維持するための寝返りの準備でもあるのですね。