窓1

 「窓」に対する考え方は、日本とヨーロッパではだいぶ違うようです。
窓の役目には大きく二つあります。ひとつは、部屋など建物内に光を取り入れる採光のためです。もうひとつは、建物内の空気をきれいにするための換気の役目です。しかし、そのために天井や壁に穴を開けるわけですから、当然その大きさには制限があります。しかし、日本の伝統的な住まいでは、木造の柱・梁など大小の軸材を直行して構成され、それによって建物を支えているわけですから開口部を大きくとることができました。これがヨーロッパに多くみられる石造りの家では、壁によって建物を支えていますので窓の大きさは制限されます。ですから、窓は小さく、室内の明るさは薄暗く、そのような生活の中で、目は青く、皮膚は白くなってきたのかもしれません。
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日本では開口部を自由にできたので、採光と換気だけでなく、様々な用途に利用してきました。そのひとつに、日本人の清潔好きから、洗濯や布団干しを、窓を使ってよく行いました。それが、窓は南向きという信仰を生んだひとつの理由です。また、窓は外の景色を眺めるという役目も持つことになります。室内という閉鎖された空間にいながら窓によって開放感や四季感を感じることができたのです。また、窓枠を額縁に例えて、外の景色を室内装飾にも利用しました。例えば茶室では、積極的にその効果を計ったつくりが多いのですが、こういった思想は茶室だけに限らず、多くの庭園を持つ建築様式では、窓から見える庭園の風景に配慮して庭の設計を行う傾向があります。
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そんな様々な要素を持つ窓ですが、私たちが健康に過ごすためにも大切な役割があります。そのために建築基準法によって最低ラインがしっかり決められています。
建築基準法では、住宅の居室には床面積の1/7以上、保育所や幼稚園の保育室、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校の教室などは1/5以上の大きさの窓をつけるよう定めています。また、通風についても採光と同じく、建築基準法で「居室面積の1/20以上」の面積が必要と定めています。
しかし、窓の大きさは、採光や換気にはいいのですが、地震に対する耐性力や省エネルギー性、防犯性などに対してはハンデになります。また、換気にしてもただ大きいということだけでなく、通風に対する工夫が必要になります。窓を、風が通り抜けやすい位置に設けたり、腰窓・高窓と高低差を利用して通風を取りやすくするなどです。特に、学校や多くのマンションなどに見られるような外廊下型では、南側に教室や居室を設けるためにプライバシーや防犯性の観点から北側の窓を開けにくく、したがって自然の通風が得にくくなり、夏はクーラーに頼ってしまうことになります。
しかも、日本では南向きにこだわる人が多く、南側に大きく窓をとっている住戸が良い住戸とされています。ですから、日本のマンションでは同じ間取りでも住戸の向きによって価格に大きな差が出ます。学校の教室も南側に取ります。しかし、どうして南側がいいのでしょうか。
南向きの部屋は、朝や夕方に陽は直接入らないものの昼間は長時間明るく、部屋の中は暖かく、南側に物干しスペースがあれば早く乾きます。太陽の恵みを受けられるという点で大きくメリットがあるといえるでしょう。しかし、そんなメリットだけでしょうか。

窓1” への4件のコメント

  1. もの心ついてからずーっと身近なモノだったはずなのに、ほとんどその存在を意識せずにきたモノはたくさんありますが、今日のブログの「窓」もその一つです。日本の住宅窓様式と西洋のそれとの違いは考えたこともありません。西洋絵画で「窓」を観ることはよくあります。特に窓から入り込む光による室内の明暗を絵にした作品などに出会うと息を呑むことがあります。それでも日本の「窓」というものをそうした対象として観ることはほとんど無かったように思います。また紹介された建築基準法による「窓」の規定も興味深く読みました。こうして「窓」について知ると、「窓」という存在が別物に見えてきます。それ自体が何かを訴えてくるような、何だかそんな気がします。

  2. 窓がたくさんあってもそれが風の通りがいいということにはならないから難しいですね。冷暖房を使うようになって余計に換気を考えるようになりました。どことどこを開けるか、その開け方によって大きく通風が変わるため、建物の設計は簡単ではないんだろうと感じます。南側の窓のメリットはどんなことがあるんでしょうか。それは続きを楽しみにすることにしますが、私はどの向きでもそれぞれの良さはあるように思っています。

  3.  写真を見ただけでも部屋の明るさが全く違いますね。そのせいで外国人の目の色が青く皮膚が白いのは初めて聞きました。そして窓にも建築の基準法がしっかりと定められているのですね。確かに、換気や採光を考えてただ多く作っても防犯対策や災害にもデメリットになります。そう考えただけでも窓一つを取り付ける場所というのもなかなか難しいと思いました。しかし、南側の窓にはブログに書いてあるメリットの他に、どのようなメリットがあるのか検討がつきません。次回のブログが大変楽しみです。

  4. ヨーロッパ建築の特徴として、窓の大きさというものがあるそうですが、それが原因で「目は青く、皮膚は白くなってきた」というのであれば、それは面白いことだなぁと感じました。生活の仕方が、人体に影響を及ぼし続けているということになるのですね。そうであれば、これからの日本人の生活の変貌によっては、大きく体型が変わってくるということかもしれませんね。そして、「南向き」についても、冬場は暖かい日差しがいいのですが、逆に夏場は非常に暑いです。日本では、毎日洗濯物を干すイメージがありますが、海外ではその辺どうなのでしょう。使い方次第ということもあるのでしょうね。

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