台風が近づいてきました。この台風は、ずいぶんと台湾に被害をもたらしたようです。台風の「台」と台湾の「台」が同じ字なので、何か関係がありそうですね。「台湾の風」という意味から「台風」というように思いますが、一時そんな説もあったようですが、実は全く違うようです。それよりも、どうも最近の説で有力なのは、台湾に関係していないというよりも、もともと日本語ではないということのようです。
その呼び方は別としても、昔から秋に大嵐があったことは間違いありません。それをどう読んでいたかというと、よく知られているのは、「野分」でしょう。これは、なかなかいい呼び方ですね。秋の際に吹く疾風が野の草を吹いて分けるところから、日本では、古くから野分(のわき、のわけ)といっていました。10世紀末に書かれた「枕草子」の200段には、「野分きのまたの日こそ、いみじうあはれに をかしけれ」(野分きの吹いた翌日の様子は、たいそうじみじみとして風情がある)という文章があります。今のイメージでは、台風の跡は様々な被害の爪あとが残されていて、風情があるとは思えませんが、当時は、自然と共生していた暮らしをしていたので、台風一過の清々しさのほうを感じ、それをめでていたのかもしれません。
しかし、台風の後は被害が心配です。そんなことが、枕草子と並び称されている「源氏物語」の第28帖「野分」に書かれています。台風が吹き荒れた後、その被害が心配になった夕霧が、六条院や明石姫君を訪れ、その安否を知る話が展開されます。その頃から台風の通過後に親しい人の安否を気遣って家を訪問する「風見舞い」が行われていたのですね。
それが明治時代になってどういうわけかこのような秋の突風を「颱風」(ぐふう)と呼ぶようになります。このように命名したのは、当時の第四代気象台長岡田武松博士で、「颶」は「激しい」という意味で、熱帯で発生した颶風のことです。その後、昭和21年にこの「颱」という字が当用漢字にないため「台風」と改められたのです。
では、どうして颱風を「たいふう」といわれるようになったかというと、その語源にはさまざまな説があって、はっきりしていません。
ひとつの説は、ギリシャ神話に登場する恐ろしく巨大な怪物で風の神といわれているテュポン(Typhon)に由来する「typhoon」から「たいふう」となったという説です。
もうひとつは、アラビア語で、嵐を意味する「tufan」が東洋に伝わり、「颱風」となり、英語では「typhoon」(タイフーン)となり、それを漢字に当てたという説です。アラブ人は、大航海時代以前にはインド洋から東アジアへの海路に最も精通した民族で、当時のアラブの航海者たちが、しばしば強烈な台風の洗礼を受けたことでしょう。ですから、アラビア語からの説は有力です。他にも、インド洋の季節風として有名な「モンスーン」もアラビア語の「mausim」が語源といわれています。また、もともとは、中国の福建省や台湾では、強い風のことを「大風」(タイホン)といい、それが西洋に伝わり、また東洋に逆輸入され「颱風」となったとも言われています。
どの説にしても、「台風」という名前は日本語ではなく、もともと外来語だったようで、明治時代には、台風はハリケーンやトルネードと共に「タイフーン」と片仮名で書かれていました。多くの人が、日本語の台風が英語にもなったと思っているようですが、改めて調べてみると、意外な語源があるのですね。
台風の台は確かに不思議です。大とか耐とかならまだわかりますが、台の字について深く考えたことがありませんでした。子どもの頃は日本語の読みから英語のタイフーンができたと思っていました。常に自分の世界が中心でしたが、少しはそうでなくなった分いろんなことに疑問を感じることが少なくなってしまっている気がします。学ぶことに終わりはないと考えると、疑問を感じたり興味を持ったりするための自分のアンテナの感度は常に確認しておかないといけないのかもしれません。
今年も香川は2年続けての水不足で、町によっては給水制限されているところもあります。昨年は7月に来た台風4号のおかげで、早明浦ダムの水がいっぺんにあふれんばかりになりましたが、また今年も台風頼みです。あまり被害がなく雨だけ適当に降らしてくれたらいいのですが・・・。最近の気象は極端に偏っているようで、怖いですね。ただ、枕草子ではありませんが、台風一過の頃はいいですね。夕焼けがとてもいい色に焼けるんです。わざわざ台風を山小屋でやり過ごして、台風の過ぎた後の夕日を写真にというカメラマンもいるぐらいです。ともあれ、ここ数日は台風情報から目が離せない日が続きそうです。
「野分」とくれば、清少納言『枕草子』の「野分きのまたの日こそ・・・」の一節が思い起こされます。今日のブログでも紹介されておりました。「野分」という表現は「いとおかし」です。強い風が草深い大地に吹き込み、草草を両脇に押し倒しながら進む様を想像できます。野を分ける、ということですね。英語を勉強し始めた頃、「台風」がタイフーンということを知り、日本語が英語になっている!、と何だか誇らしく思ったことがありました。しかし残念なことが後でわかりました。そのことは今日のブログで紹介されている通りです。よくよく考えてみると「台風」は日本では「野分」ですね。グローバルで表現すると「台風」でリージョナルに表現すると「野分」。いやー、まさに「いとおかし」の世界です。
まず、ブログの題名を素直に「のぶん」と読んでしまいました…秋から冬にかけて吹く暴風の事を言うのですね。ブログを読むにつれて野分の意味を読んでいて恥ずかしくなりました。それにしても台風の語源というのは色々な説があるのですね。考えたことも無かったので、ブログを読みながら考えるとなかなか面白いと思いました。ギリシャ神話の説やアラビア語の説など、どれも当てはまりそうな説ばかりです。でも確かに日本語の台風が英語になったと言われれば、そうかもしれないと思ってしまうかもしれません。
台風13号が近づいてきて九州の宮崎では大変な被害が出ているとニュースで聞きました。しっかり対策を練らなければいけませんね。