秋眠

そろそろ、朝晩はとてもすごしやすい季節になります。夏のあいだ、寝苦しさで夜なかなか眠ることができなかったのが、朝までよく眠れるようになります。よく「春眠暁を覚えず」というように、春は眠い季節だと思われていますが、実は私は秋のほうが眠い季節のような気がします。
この有名な言葉は、盛唐の孟浩然の「春暁」という有名な五言絶句の中の一部分です。中高校生の頃に習ったことがあると思うので、全文は、聞いたことがある人が多いと思います。
「春眠不覚暁 處處聞啼鳥 夜来風雨聲 花落知多少」(うららかな春の朝、夜が明けたのも気付かずに、うつらうつらとまどろんでいると、夢うつつに鳥があちらこちらで鳴いているのが聞こえてきます。ゆうべ風雨の音が激しくしていましたが、あの嵐で花はどれほど散ってしまったことでしょうか)
この春の朝、夜があけたのも気がつかないのは、夜が長かった冬に比べて次第に夜が明けるのが早くなってきて、いつもの時間に起きるころにはすでに明るくなっているからです。そして、もう鳥がさえずり始めている声を聞いて、春になったという実感を朝に感じたということで、寝坊してしまったということではないようです。そして、激しい雨が降ったと思っても、秋の激しい台風や、花がほころぶことをさえぎる雪と違って、花を散らす程度であることを心配すればよいのは、やはり春になったということを強調しています。
 そう考えると、やはり眠いのは秋のほうかもしれません。起きるころにはもう明るくなっていた夏から、次第にまだ薄暗く、まだ眠りが足りないような気になります。また、秋は夏の疲れが出てくる頃なので、なんだか1日だるいような、眠いような気がします。
 私の園に、何も秋に限ったことではありませんが、会議中や話し合いをしている最中によく寝てしまう職員が数人います。どういうわけかその職員は動物占いで「タヌキ」であることが多いので、園では、「タヌキ寝入りをしないで、本気寝入りをしてしまうタヌキ」とからかうことがあります。昔から、タヌキは死んだふりをするといわれています。それを「タヌキ寝入り」というのは、猟師が猟銃を撃った時にその銃声に驚いてタヌキは弾がかすりもしていないのに気絶してしまい、猟師が獲物をしとめたと思って持ち去ろうと油断すると、タヌキは息を吹き返しそのまま逃げ去っていってしまったという経験から出た言葉です。それは、タヌキは非常に臆病な性格で、本当に恐怖の余り気絶してしまうからで、その振りをしているわけではありません。気絶するのは、何もタヌキだけに限ったことではなく、アフリカのブチハイエナなども、人間にけしかけられた犬に追いかけられると、途中で恐怖のあまりに気絶をしてしまうそうですし、アメリカに住むオポッサムという有袋目の小動物も犬などに追われると、同様に失神して仮死状態になってしまうそうです。本当に、呼吸や脈拍などが完全に止まってしまうので、誰もが気を抜いてしまうのですが、突然ムクッと起きあがって逃げ出してしまいます。また、同様の習性を持つことから、海外ではFox sleep(キツネ寝入り)といいます。日本では、タヌキは人をだますというイメージがあるので、タヌキ寝入りというように代表して言われてしまったようです。
 まあ、仕事中は眠るわけにもいきませんが、夏の疲れを取るためにも、気候が良くなる秋を楽しみながら、ゆったりと過ごしたいものです。

秋眠” への4件のコメント

  1. 夜が涼しくなったせいでしょうか、割りとよく眠れます。朝起きてバルコニーに出ると空気が少し冷えていて心地よいですね。本当に良い季節を迎えたと思います。そして、確かに、昼間でも眠気を催すことがあります。もっとも園長先生がいる時はそういうわけにはいかないのですが、タヌキ職員各位は園長先生がいても、あるいは話をしていても、タヌキ寝入り?ではなく本気寝入り?している光景に出くわします。とても信じられない光景ですが、それほどゆったりとした職場であることが快いですね。話の最中に「あくび」をすることも当たり前ですが、おそらくは話者の内容が酸欠をもたらすのでしょう。いずれにせよ、「自然体」で仕事ができることが最高です。

  2. 春眠不覚暁は夜が短くなったことからきているんですね。言われてみればそうかもしれません。で、秋は眠りが足りないような気がするのも納得です。昔と比べるとずいぶん生活は変わったと思いますが、人はいつも太陽などの自然環境から影響を受けているんですね。そう考えると少し謙虚になれる気がします。仕事中に寝てしまうわけにはいきませんが、体の声をよく聞いて自然の移り変わりを感じたりもしながら、そんな感じで無理をせずにやっていきたいと思います。

  3.  確かに最近になって涼しくなったおかげで、夜も寝やすくなりましたし、朝も汗でべったりしているのも無くなりました。やはり秋は過ごしやすい気候だな、とつくづく感じました。ですが、私も仕事中や会議中に「たぬき寝入り」ならず「本気寝入り」をしてしまうことが多々あります。本当に気をつけないといけませんね。まずは気持ちから変えようと思います。しかし海外ではFox sleep(キツネ寝入り)というのは驚きました。タヌキとキツネというのは何か共通な物を感じますが、こうも見事に逆と言うのが面白いと思います。それよりも、睡眠の秋にならにように気を張っていこうと思います。

  4. あ~れあれ、藤森園長先生のお話の最中でも、舟を漕ぐ先生がいるんですか~~。(滝口順平調で)自由で居心地のいい職場なんですね。確かに、藤森先生の講演会のときでも後ろから見ていると、お昼過ぎという時間のせいか、瞑想に耽っている先生がちらほら見受けられます。先生のお声が心地よく耳に入るのか、本当に気持ちよさそうです。たぶん、夢の中でしっかりと見守る保育を実践しているんでしょうね(笑)。私は動物占いでは「従順な猿」ですが、「動きまわる虎」の家内が怒り出したら、すかさずタヌキに変身することにしています(笑)。

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