そろそろ「文化の秋」ということで、小学校では作品展とか、学芸会とか、文化祭などの学芸的行事が行われます。園などでも、行事は生活に変化を持たせたり、心身の発達を違う側面から援助するのにはいいのですが、それが職員の負担になったり、子どもの負担になったりすることも多いようです。
学校行事は、小学校では特別教育活動であり、授業の一環であり、参加は強制です。昭和33年に初めて施行された小学校学習指導要領では、学校行事等の目標として「児童の心身の健全な発達を図り,あわせて学校生活の充実と発展に資する」とあり、留意事項として、「その教育的価値をじゅうぶん検討」「学校生活に変化を与え,児童の生活を楽しく豊かなものにする」「児重の負担過重に陥ることのないように考慮し」という今でも確認しなければならないことが定められています。
それが、昭和46年に施行された小学校学習指導要領になると、きちんと「学校行事」として位置づけ、その中を「儀式」「学芸的行事」「保健体育的行事」「遠足的行事」「安全指導的行事」と分けられます。しかし、内容についてはあまり細かく規定せず、考えられる行事の例として、「学芸的行事」は学芸会、展覧会、映画会その他として記載されているだけです。
それが、昭和55年施行になると、学芸的行事は、「平素の学習活動の成果を総合的に生かし,一層の向上を図ることができるような活動を行うこと」となり、内容の取扱いとして、「教師の適切な指導の下に,特に児童の自発的,自治的な実践活動が展開されるように配慮する必要がある」というように、児童の自主的、自治的な活動となるように書かれています。しかし、「仕込む」「訓練する」「やらせる」的行事からはなかなか脱皮しきれません。
平成4年施行のものになると、「学校の創意工夫を生かすとともに、学校の実態や児童の発達段階などを考慮し、児童による自主的、実践的な活動が助長されるようにすること」というように、自主的という言葉は残りますが、少しそのニュアンスは薄くなった気がします。この頃から、学校行事の中に、「勤労生産・奉仕的行事」が入ってきます。それが、平成14年施行では、「学校行事においては、全校又は学年を単位として、学校生活に秩序と変化を与え、集団への所属感を深め、学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと」とし、「実施に当たっては、幼児、高齢者、障害のある人々などとの触れ合い、自然体験や社会体験などを充実するよう工夫すること」と広がっていきます。
今回の改定ではどうなっているのでしょうか。「学校行事」の目標として、「望ましい人間関係を形成し、集団への所属感や連帯感を深め、公共の精神を養い、協力してよりよい学校生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てる」とあります。そして位置づけも、「学芸的行事」から「文化的行事」となり、「平素の学習活動の成果を発表し、その向上の意欲を一層高めたり、文化や芸術に親しんだりするような活動を行うこと」となります。そして、ふれあいの中に「異年齢集団による交流」が意図され、行事のあとも、「気付いたことなどを振り返り、まとめたり、発表し合ったりするなどの活動を充実するよう工夫すること」とあります。
これから子どもに求められる力が変わってきたことを感じます。
当然のことなのでしょうが、小学校も課題は同じなんですね。だとすれば、小学校と一緒に行事のあり方を考えるというったこともあってもいいのかもしれません。形だけの連携と比べると、はるかに意味の大きいことではないかと思います。行事自体をどうするか?ということも大事ですが、その後の「気付いたことなどを振り返り、まとめたり、発表し合ったりするなどの活動を充実するよう工夫すること」というのも大事ですね。せっかくの体験をどこまで深めて、そしてそれを次の活動にいかにつなげていくか。考えなければいけないことばかりですが、まあ楽しみながらやっていこうと思います。
今回の学習指導要領の改訂を経た「学校行事」には期待したいと思います。望ましい人間関係の形成、所属感・連帯感、公共の精神、協力する自主的、実践的態度の育成、どれもこれも子どもたちの人格形成には必要な事柄です。「文化的行事」となったことも歓迎です。しかし、私の息子の通う小学校は「文化的行事」である学習発表会は「学芸会」と称され「文化祭」となっていません。それはともかく、「平素の学習活動」や「意欲のたかまり」、「文化や芸術に親しんだりするような活動」が「学芸会」に期待されているのだ、と初めて気づきます。息子たちの「学芸会」は11月初旬です。どんな内容なのか、今から楽しみです。子どもたちが自ら取り組み発表する場になってほしいと思います。
今回のブログを読んでいて小学校6年生の時の学習発表会を思い出しました。その時のストーリーや台詞などはもちろん先生が考え、台詞の言い方やアドリブも先生から指導を受けていました。何もかも先生がやってくれていたのでとても楽でした。ですが、それでは新しい学習指導要領には何にも当てはまりませんね。学芸的から文化的になり、そして普段の学習を取り入れ、意欲の向上、文化や芸術に親しむなど、今までの内容と全く違うので、どうなるか楽しみです。そんな新しく改訂された小学校の発表会というのを早く見てみたいです。
小学校でも「行事」の見直しが始まっていることを知りました。「仕込む」「訓練する」「やらせる」行事の考え方は、軍隊の教練からきているのでしょうか。それがようやく自主的・実践的な態度を身につけることに重きを置くようになったのはいいことだと思います。学校現場で具体的に「文化的な行事」が広がっていくことを期待します。同時に、保育の世界でも、親や外部の人々に演技の出来栄えを見せるだけでなく、子どもの育ちや発達を確認できる行事のありかたを模索することが求められていると思います。その先駆けとして実践してこられた藤森先生の園の行事を小学校関係者もぜひ見学してほしいですね。