園でも、夕方「ヒグラシ」の鳴き声が聞こえてきます。こんな都会でもという思いがあると同時に、なんだか夏の終わりが近づいてきたという、ある寂しさを感じます。しかし、ヒグラシ歯、特に晩夏に鳴くというわけではなさそうですが、朝夕の薄暗い時間帯に「カナカナカナ…」という甲高い声で鳴くその悲しげな鳴き声から晩夏のセミというイメージがあります。
ここ数日間は、東京では小雨の天気が多いのですが、ちょっとした晴れ間には、まだまだその名の通り「ミーンミンミンミンミー…」と鳴く「ミンミンゼミ」や、都市部の公園等に多く、午後の日が傾きかけた時間帯に「ジジジジジ…」とよく鳴く「アブラゼミ」の鳴き声も聞かれますが、その声も次第に弱くなってきている気がします。こんなに、私たちには身近で、夏の代表のようなセミですが、実はその生態はよくわかっていないようです。
というのも、セミの幼虫は地中生活で人目に触れず、成虫は飼育が難しいので、その生態の本当のところを調べられないからです。たとえば、「セミの一生ははかない」とか「セミはほとんど地中で過ごし、地上に出てくると1日で死んでしまう」などということが言われてきました。しかし、地中で過ごす年数は種類によって違うようで、7年くらいが多いようで、それに比べて地上に出てから生きている日数のほうが短いのは事実で、日本では古来、無常観を呼び起こさせたようです。そして、蝉の抜け殻を空蝉(うつせみ)と呼んで、現世(うつしみ)とかけて「もののあはれ」を表したりしていました。
また、セミの生態で、幼虫は地中に居るのは知っているのですが、では、セミは地中に卵を産み付けるのかというと、よくわからない人が多いようです。実は、交尾が終わったメスは枯れ木や樹皮を移動しながら次から次へと産卵管をさし込んで産卵します。産み付けられた卵はその年の秋、または年を越して翌年の初夏に孵化します。孵化した幼虫は地上に降り、すぐさま地中に潜って木の根にとりつき、そこに針のような口を差し込んで樹液を吸い、数年を過ごすのです。数年後の夏の晴れた日の夕方、幼虫は地上に出てきて周囲の樹などに登っていきます。このときは無防備ですので、スズメバチやアリなどに襲われる可能性が強いために、個体もいるため、周囲が明るいうちは羽化を始めない。このため室内でセミの羽化を観察する場合は電気を消して暗くしなくてはならない。夕方地上に現れて日没後、少し暗くなってから羽化を始めます。
夏休みが終わり、その初日に夏休みの宿題をいっぱい抱えて登校します。その中に、昔の定番だった「昆虫採集」した子が今でもいるのでしょうか。よく、自然保護といいますが、子どもたちの採集でそこいらのセミは絶滅しません。木を一本切り倒すことの方がはるかに多くのセミを殺しているのです。セミ採りは日本の文化です。木で鳴いているセミを見つけたとき、思わず、それを採ってみたくなります。そして、採ったセミを実際に手に取り、目の前で鳴く姿を観察し、それによってセミの理解が深まることが、自然保護につながっていくのです。
捕虫網を持って、麦藁帽子をかぶって虫を追い掛け回している子どもたちの姿が見られた夏はもうすぐ終わりになります。
昼間うるさいくらいに鳴く「ミンミンゼミ」に比べて夕方に鳴き始める「ヒグラシ」はまさに「夏の終わり」を告げる、何とも寂しい音色を夕暮れ時に奏でます。もっとも私の田舎では昼日中なからミンミンゼミよりヒグラシの鳴き声のほうが勝っていて、立秋以前から秋めいていました。園の子どもたちは蝉の抜け殻を持ってきたり、蝉の死骸を大事そうにしていたり、セミに対する子どもの興味関心を発揮していました。木の幹にへばりついて鳴いているセミを自分の目でみては私自身の内なる童心がめざめます。捕虫網があればな・・・と思ったりしますが、捕る前に逃げられるのがおちだろう、と妙に悟ってしまいます。息子の小学校は夏休みが終わってもう授業開始です。
私も小さい時はよく親とセミを取りに行ったのを覚えています。そして、たまにツクツクボウシを見つけると興奮していました。最近でも公園に散歩に行くと親子でセミを捕っている光景をよく見かけますが、もうすぐ夏休みも終わるので見れなくなり、それと同時に夏が終わると思うと、夏が好きな私にとっては寂しい気分になります。天気も先週とは打って変わって急に雨が続き気温も寒くなり、本当に夏の終わりを感じています。そして夏が終われば秋が始まります。秋は鈴虫やコオロギが鳴くので、またそういった意味では楽しみです。
『夏が過ぎ 風あざみ だれの憧れにさまよう
青空に残された 私の心は夏もよう♪』
夏の終わりの歌と言えば、やっぱり井上陽水の「少年時代」ですね。「夏の終わりのハーモニー」もいいですが、セミの鳴き声を聞くとこの歌をつい口ずさんでしまいます。青空に湧き上がる入道雲の下、ランニングシャツと半ズボンで蝉取りに夢中だったあの頃・・・。なんだか自分の少年時代を懐かしく思い出してしまいました。今の子供たちは蝉取りの面白さをどれくらい知っているのでしょうか。周りに自然が少なくなってしまったし、一緒に遊ぶ仲間もあまりいないでしょうから、ひょっとしたらそんな体験もしないまま大きくなる子もいるんでしょうね。ちょっと心配です。蛇足ですが、「少年時代」は藤子不二雄A原作の漫画を映画化した時の主題歌だそうです。いま、DVDで観ることができないのでしょうか。
セミなどの昆虫や植物によって季節の移り変わりを感じることで、なんとなく心がホッとします。季節ごとにそれらを取り上げて学びを与えてもらえるこのブログの存在は大きいです。今、園の絵本のあり方を見直していますが、子どもが季節の移り変わりを様々なものから感じて興味をもち、それをすぐに調べてさらに興味を広げることのできるような科学絵本などをもっと充実させたいと思っています。自分がこの臥竜塾のおかげで少しずつでも視野や興味を広げることができているように、子どもたちにとっても絵本コーナーがそんな存在になっていけばと思います。