ミッキーの着ぐるみへのこだわりなど、いろいろなところに気を使っているディズニーランドですが、ここでは、「割れ窓理論」を適用して成功を収めている一つの例です。日本ディズニーランドでは、従業員のマナーがとてもよいだけでなく、園内もとてもきれいで、いたずら書きや、ごみが落ちていて汚らしいという印象はありません。それは、些細な傷をおろそかにせず、ペンキの塗りなおし等の修繕を惜しみなく夜間に頻繁に行うことで、従業員や来客のマナーが向上させているのです。
この「割れ窓理論」とは、アメリカの心理学者であるジョージ・ケリング博士が提唱した、建物の窓ガラスが割れたまま放置されていると、管理人がいないと思われ、凶悪な犯罪が増えるという理論です。心理学者フィリップ・ジンバルドが1969年に行った行動特性の実験から検証した結論「人は匿名性が保証されている・責任が分散されているといった状態におかれると、自己規制意識が低下し、『没個性化』が生じる。その結果、情緒的・衝動的・非合理的行動が現われ、また周囲の人の行動に感染しやすくなる。」という理論から考えたものです。 1枚目の窓を割るのは心理的抵抗が大きいが,割れている窓が1枚あると他の窓を割る時の心理的抵抗は非常に少ない。すなわち、目に見える軽微な犯行を減少させることで他の犯行の誘発を防ぐという考え方で、ニューヨーク市では地下鉄の無賃乗車や落書きを「割れ窓」に見立て、これらを徹底的に取り締まった結果、劇的に犯罪が減ったといわれています。
この考え方をアメリカで教育方針に取り入れたのが「ゼロトレランス方式」といわれるものです。トレランス(tolerance)というのは、寛容ということなので、それがゼロということは、寛容せず、細部まで罰則を定めそれに違反した場合は厳密に処分を行うという方式で、日本語では「不寛容方式」「毅然とした対応方式」などと意訳されています。
この考え方がアメリカで起きたのは、1970年代から学級崩壊が深刻化し、学校構内での銃の持込みや発砲事件、薬物汚染、飲酒、暴力、いじめ、性行為、学力低下や教師への反抗などの諸問題を生じたて目に、その対策を考えなければならなくなったからです。そして、様々な方法を取ったところ、最も実効の上がった方法がゼロトレランス方式だったということです。細部にわたり罰則を定め、違反した場合は速やかに例外なく厳密に罰を与えることで生徒自身の持つ責任を自覚させ、改善が見られない場合は、問題児を集める教育施設への転校や退学処分にし、善良な生徒の教育環境を保護しようとするやり方です。
アメリカではどの党の大統領でも標語として打ち出し、アメリカ連邦議会が各州に同方式の法案化を義務付け、一気に広まっています。そして、この指導法を日本の教育に導入するかどうかの検討が文科省で始まったようです。
なかなか難しい問題です。悪いことをすれば罰されるのは当然ですし、その罰によって自分のしたことへの反省もするでしょう。以前のブログで書いたのですが、私が面倒を見ていた万引きを常習としていた中学生から、それまでの大人から寛容の言葉を聞いていたときには、万引きはそれ程悪くないと思っていたのが、警察に突き出されたときには、これは犯罪だと思って、二度としなくなったと聞きました。本当にやめさせたかったら、早いうちに警察に通報したほうがいいよとも言われました。しかし、本当は、子どもたちへの「正しい理解」と「温かい見守り」が必要だと思うのですが。
ディズニーランドが「割れ窓理論」を使っているとは知りませんでした。我が家も一度徹底的に掃除をして、チリ一つごみ一つも無くしてしまうと、住んでる人のマナーも良くなるかも(笑)。落書きの横行で困っている町で、住民が総出で落書きを一斉に消すと不思議と落書きが無くなるという話を聞いたことがありますが、これが「割れ窓理論」なんですね。でも、これを教育に応用するのは危険ですね。学校の秩序は保たれるかもしれませんが、結果的に社会からドロップアウトする青少年を増やすだけですね。どんな子供たちにも教育を受ける権利はあると思います。些細な問題行動でそれを奪うのはいかがなものでしょうか。要は、問題行動を起こすにいたった原因を探りながら、教育の在り方を改善していくことが大事だと思います。
以前ディズニーランドの人気の秘密を調べてまとめたことがあります。ゲストに満足してもらうために徹底されたサービスや、それを実行するために自分で考え動くクルーの話などはリッツカールトンと共通していると感じるところが多く、とても感動したことを思い出しました。そうはいっても教育の分野に「割れ窓理論」を持ち込むことには少し疑問があります。ゼロトレランス方式を文科省が検討し始めたという話には驚きました。確かにいろんな分野で効果が出ている理論かも知れませんが、今の日本では規制や管理が行き過ぎてしまうのではないでしょうか。子どもを信じることからどんどん離れていってしまう気がします。どんなすばらしい考え方も、それを活用する人によって形は変わっていくと思うので、今はもっと教育の根本から見直す必要があるのではないかと思っています。
ディズニーランドでは深夜に修繕を行っているとは初めて知りました。そしてお客さんへの対応も徹底していると以前テレビの番組で見た事があります。人気がある理由はキャラクターが可愛いという理由もありますが、従業員が気持ちよく対応するのも要因があると思います。
確かに、悪いことをしたら罰せられるのは当然かもしれませんが、だからと言って全てそれで片付けてしまうのはおかしいと思います。子どもは悪いことをしなくなるかもしれませんが、ただ罰が嫌だから悪い事をしないのであって、どうしてやってはいけないのか?と「正しい理解」をすることができなくなると思います。その為には「温かい見守り」が前提のような気がします。
米国NY市の元市長ジュリアーニ氏の功績が今日のブログで紹介されている「割れ窓理論」の実用による同市犯罪の減少、であることは有名です。しかし「割れ窓理論」の教育への応用が「ゼロトレランス方式」であることは今回ブログにより知りました。米国は911やハリケーンカトリーヌ以来国家挙げて「自由」の抑圧と人々の管理監視体制を確立しつつあります。米国らしさが失われつつある、とも言われます。管理を強化することで一見平穏無事となる場合があります。学校崩壊や学級崩壊の後生徒に対する管理体制を強化しているわが国学校界はおそらく「ゼロトレランス方式」を導入したくてしかたが無いと思います。もし導入すればますます意欲のないいい子が排出されるでしょう。しかしその一方で溜まりにたまった負のエネルギーは大人になった時噴出するのかもしれません。