指標生物

 北京からは、連日オリンピックのニュースが流れてきますが、今日の新聞には、同じ北京からこんなニュースが流れてきました。
「メダカを使って水質を監視する「生物センサー」を福岡市の企業が開発し、この夏、中国・北京市のダムに設置された」というのです。なぜ、今監視するのかというと、現在開催されているオリンピック開催のために集まっている、世界中のアスリートたちが飲む北京の水の安全を守るためです。
福岡市の配電盤メーカー、正興電機製作所が開発した「フィッシュトキシメーター」という全体は冷蔵庫ほどの大きさの機器で、中に小さな水槽が二つあり、1匹ずつ入れたメダカの様子がモニターに映し出されるようになっています。有害物質に反応して激しく動き回るなど、メダカが特定の動きを見せた場合に警報を出す仕組みで、ダムの取水口や浄水場などに取り付けられ、水質の監視に使われています。
一時期、サリン監視のためにカナリアをかごに入れて入り口にぶら下げていたことがありましたね。 それと同じ考え方でしょうが、テロから防ぐ手段というのは悲しいですね。しかし、この機器は、広島県の浄水場をはじめ福岡市や長崎県諫早市、秋田市、沖縄県東村などですでに使われているのですが、本来は、工場排水や環境汚染のチェックのためです。
一般に自然環境の状態やあるいは環境汚染の程度などを調べる際には、その場における様々な条件、たとえば、温度や湿度、化学成分やその組成、特定成分の濃度、酸素濃度、あるいは明るさなどから必要と思われるものを取り上げ、数値として記録します。このように測定機器による数値的な調査が正確かもしれませんが、そこに生息する生物のうち、ある条件に敏感な生物を用いて調べることがありますが、この生物を「指標生物」といいます。それは、厳密さを欠いたり、季節によって影響を受けたりという欠点はありますが、どうして環境を調べる必要があるかというと、多くは生物や人間への影響を考えるためですので、直接に生物にどんな影響が出たのかを見ることが行われます。
ずいぶん前のブログでも書きましたが、大まかに判断する方法もあります。
まず、河川や湖沼で生息するものが「赤くなったら気をつけろ!」です。その水が汚染によって栄養過多になると、水中での微生物の分解を引き起こし、結果的には酸素が不足してきます。これに対して、動物の適応として、赤い血を持って体内に酸素を抱え込むことが広くみられます。たとえばユスリカ類では、流水の種は半透明であるのに対して、不栄養の条件で生息する種はアカムシと呼ばれるように赤く、同様の条件では、イトミミズやヒルなど、海ではゴカイやアカガイ等、やはり赤い動物が生息するようになります。
河川の汚濁は、見た目が「白い鳥と黄色い花には気をつけろ!」です。シラサギとカモメなどの鳥や、セイタカアワダチソウとセイヨウカラシナなどの花が河川に増えたら環境汚染が始まっているといわれます。そのほか、大気汚染の指標として、感受性の高い地衣類の有無や種子植物の葉の変化(斑紋の有無、白化等)が用いられ、土壌汚染の判定には、シダ植物の仲間が用いられるほか、農業上の利用として土地の肥沃度の判定などに用いられるようです。
 人間は、指標生物になるのでしょうか。汚染されても生きていられる生き物なのでしょうか。

指標生物” への3件のコメント

  1.  指標生物を使って水質を監視するセンサーがあるとは初めて聞きました。その生物が身近なメダカを使っているとは何か親近感がわいてきます。家の前にある用水にはこの時期にはメダカや鮒がたくさんいました。しかし、最近ではそのメダカも全く見なくなりました。これは、もしかしたら何かのサインを出していたのかもしれませんね。逆にもし人間が指標生物になると、国や地域によって違うような気がします。とくに日本人はあまり対象にならないと思います。ちょっとの変化で色々な症状が出るような気がします。

  2. 以前セイタカアワダチソウは花粉症の原因にはならないという内容で取り上げられていましたが、別の意味でこの花が増えることはよくないのかも知れませんね。セイヨウカラシナにしても、黄色い花が川原に咲き乱れているととてもきれいに見えますが、喜んでばかりはいられないようなので、少し注意深く観察してみようと思います。お盆にお年寄りから面白い話をたくさん聞いています。指標生物とは違いますが、川の生き物が変わってきた、植物が異常なくらい実をたくさんつける、川の水が少しの雨でも簡単に増水するようになったなど、自然の変化は丁寧な観察から感じられるようです。今私たち人間が行っている活動によってどう自然が変化しているか、観察の重要性を教わりました。人間と自然の関係は、今後もっともっと注目されるようになりそうですね。

  3. 毎朝元気に泳ぐメダカを見ては心を和ませています。指標生物メダカの健在はとりもなおさず湧水の無害さを証明している。大都会に湧き出る泉もまだまだ捨てたものではないと確信できます。今日のブログで紹介されていた指標生物カナリアの存在はかつてのサリン事件で知るに及びました。このことをきっかけにカナリアの貢献?を調べると鉱山の坑道にガスが発生していないかどうかの調査にもカナリアが用いられていたことがわかります。かつてカナリアを飼っていたことがあり、その愛らしさに魅了された一人として、メダカもさることながらカナリアも指標生物として人様のために利用されたのだ、と思うと妙に悲しくなります。

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