羽生

将棋界を20年近く引っ張ってきた羽生善治さんが、ついに名人通算5期で得られる「永世名人」の有資格者となったというニュースが今年の6月に流れました。江戸時代以来、将棋の名人は世襲制でしたが、日本将棋連盟が1935年に「300年続いた一世名人を廃する」と発表しました。今この資格は、通算5期名人位を獲得しなければなれないのですが、印象としてはずいぶん遅いという感じがします。彼が初の名人獲得から14年もかかっているからです。私は素人なので、将棋界のさまざまなタイトルがどのような意味を持っているのはよくわかりませんが、羽生が何度もいろいろなタイトルを取っているというイメージがあります。
今年の7月、NHKテレビのプロフェッショナルという番組で、「将棋界で最も伝統のあるタイトル・名人戦。今年の対局は、4期連続で名人の座を守る森内俊之と挑戦者・羽生善治。二人は、「宿命のライバル」、同期で同い年、小学4年生以来、27年に渡ってしのぎを削ってきた」という内容で放送されていました。この森内の方は、1年前、羽生に先立って「永世名人」の資格を獲得していますので、羽生はさぞかし悔しかっただろうと思います。しかし、羽生は、「ここ10年は今までの将棋の歴史のなかで一番変化が大きい時代。そのなかで、謙遜ではなく、自分自身は決してトップランナーではなかった。いかにして追いつき、新しい感覚を身につけるかに忙しかった」
同じプロフェッショナルという番組で、羽生個人が2月に取り上げられたことがありました。その中で「才能とは、一瞬のひらめきやきらめきではなく、情熱や努力を継続できる力だ」。また、「守りに入り、リスクを取らなければ、そこからは何も生まれない」と、リスクがあっても、常に新しいものに挑戦することで成長があると言っています。このように、若い頃から天才といわれながらも、戦うたびに、悩んだり、苦しんだりしながら学究的な志や、相手に勝ちたい闘争心や名誉欲、金銭欲などを超えて、ただ「将棋の鉱脈の深さには本当に驚きました」と楽しそうに話しています。本当に将棋が好きなんだなあという感じがします。
彼は、私の住んでいる東京西部、JR八王子駅近くにある八王子将棋クラブに小学生時代通っていました。その頃の話を母親のハツさんが新聞紙上(先週土曜日の朝日新聞夕刊)で語っています。
「将棋はいい加減にして、もっと勉強をしなさいとは言わなかったのですか?」「そんなことは言いませんでした。それほど、不思議なことでしょうか。善治が楽しそうに将棋をしている姿を見るのが、私はとても好きでした」と答えています。
 「小学校の高学年のころでしょうか、善治の友達のお母さんに言われたことがあるんです。そんなに頭がいいんだったら、勉強をさせて東大に行かせなさいよって。でもね、善治が好きだったのは、勉強ではなく、将棋だったんですよ」
 羽生の母親も父親も将棋のルールさえ知らなかったそうです。ですから、将棋の世界にプロがあり、将棋を指して生活していけるとは思ってもいなかったようです。八王子の将棋道場に通わせていたのも、親が買い物をするとき、託児所的に利用したということもあるそうです。そんな母親の子どもに対する態度を、記者はこう結んでいます。
 「ただただ、子どもを見守っている」ということも、覚悟のいる「教育」だったに違いない。

羽生” への4件のコメント

  1. ひとつのことを好きになって飽きずにやり続けるということは、本当にすごいことですね。広くいろんなことに手を出すより、ある意味では様々な物事の本質をつかめるようにも思えてきます。そして子どもが安心してそういう環境に身をおくことができるようにする大人の役割も重要ですね。イチローの父親も同じような覚悟で臨んでいたんでしょうか。当然向き不向きはあると思うので全ての人に当てはまることではないでしょうが、これも1つの「教育」の形なのかもしれませんね。

  2. 藤森先生のお話では、確か将棋や囲碁のような対戦ゲームは脳の発達にいいんですよね。特に前頭前野の機能をフル回転させるらしいですから、子どもたちにはぜひ勧めたいですね。(という私は不幸にも将棋の駒の動かし方も知りませんが。)知識をため込むのは脳の後ろの部分ですから、『善治が好きだったのは、勉強ではなく、将棋だったんですよ』という羽生さんのお母さんの言葉はうなづけます。ちょうどいい距離感で子育てをされていたんですね。いまどきは、『ただただ、子どもを見守っていることも、覚悟がいる』時代なんですね。ちょっと昔の日本の親はもっとおおらかだったと思うのですが。

  3. そもそも私は自分が好きなことはやりたいほうで、従って、息子がやりたいことは自由にやらせていい、と思っています。ただし、これは私自身の反省から来ることなのですが、ある時「やりたい!」と思ったことが時間が経過した別な時にも「やりたい!」と同様に思うかどうかは定かではないので、息子の「やりたい!」についても少し時間を置いてからそれでもやりたければ、できるように親として配慮します。これからいろいろとやりたいことが息子の中にどんどん出てくるでしょう。家内と相談しながら、なるだけ希望は実現させてやりたい、と思います。そして、その希望がおかしな希望?にならないように、良い希望のベクトルが生じるように、日々の見守りを実践していきたい、そんなことを考えています。

  4.  羽生さんといえば公文式のCMを思い出しました。それがブームのきっかけかどうか覚えていませんが、その頃私の小学校のクラスでは将棋がブームになっていました。私も少しやってみましたが、勝てなかったのですぐに飽きました(笑)
     息子が将棋を楽しそうにする姿を見るのが一番好きだから、と言ってずっとさせてあげることは簡単に見えて実は一番難しい事だと思います。普通の親だと「将棋ばかりやらないで、勉強しなさい」と言ってしまうと思います。だからと言って何でもかんでもずっと自由にやらせて羽生さんや有名なスポーツ選手になる可能性は低いわけですから、親にしてみれば本当に覚悟がいる「教育」なのかもしれません。

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