水俣から移動した奄美大島では、カメラマンの浜田太さんの話を聞く機会がありました。彼は、NHKのBSハイビジョン特集で、それぞれの角度やスタンスで日本の野生に挑んでいる3人を紹介する番組「日本人カメラマン野生に挑むシリーズ」に登場した一人です。浜田さんは奄美大島生まれで、最初、講談社写真部に入社しますが、奄美大島に戻り、写真事務所を設立しました。ここで、奄美の自然と文化をテーマに撮影を始め、特にアマミクロウサギの撮影活動で有名です。
今回は、このハイビジョンで放送されたダイジェストと、奄美大島の魅力と警戒心が強く、撮影が困難とされる特別天然記念物のアマミクロウサギを撮影するまでの苦労話や、自然に対する思いをお聞きしました。
奄美に戻ったとき、自分が育ったふるさとでありながら、「こんな素晴らしいところがたくさんありますよ」と言えなかったことに恥ずかしくなり、以来、テーマ探しは故郷を知ることから始まったそうです。それまでの奄美に対するイメージは、エメラルドブルーと青い空、そして白い砂浜と、南の島を形容する「海」だったのです。それに反して、奄美の森にはケンムン(キジムナー)が棲んでいると言われ、「森には入るな!」という価値観でしか見ていませんでした。そんな夜の山奥の林道へ「アマミノクロウサギに会いたい」ということで車を走らせたのです。そこで、その後何年かのテーマとなる「アマミノクロウサギ」に出会うのです。
奄美大島は今から150万年頃までアジア大陸と繋がっていました。ですから、島の森には、1千万年という太古から受け継いだ生命が脈々と生きています。数年前に奄美を訪れたときに、この浜田さんの案内で、金作原国有林を案内していただいたことがありました。ここは、奄美大島の山々の中でも、天然の亜熱帯広葉樹が多数残っている原生林です。樹齢130年といわれるイタジイ、イジュ、タブの木が主で、これらの老齢の樹林内には、まるで恐竜時代さながらの世界最大の木生シダであるヒカゲヘゴ、妖怪のように木々に着生するオオタニワタリ、ひげ状の気根がやがて根となり巨木となるガジュマル等、奄美固有の植物なども見られ、霧が立ち込めたこの苔むした森の美しさと神秘さは、まさに、ジェラシックパークの映画さながら、今にも恐竜が出てきそうな古代の様相を呈しています。

鹿児島県観光交流局観光課HPより
ここには、とても貴重な国指定天然記念物のルリカケス、アカヒゲ、オオストンオオアカゲラなど固有種の鳥や動物が生息しています。なかでも、アマミノクロウサギは、謎の生き物としてこの島の森に生き続けているのです。それは、毒蛇と恐れられ、しかし「森の守り神」といわれるハブの住処があるために人の出入りがあまりなく、人間に荒らされずに、森の中はエネルギーに満ち溢れ究極の共存関係を結んでいるのです。
浜田さんは、こう言っています。「いつの時代にも新たな文化を携えた人々がやってきてその文化を取り入れ気の遠くなるような時間をかけて積み重ねて来たのではないか。そこには、厳しい風土と様々な歴史に翻弄されながら生きつづけてきた私たち祖先の姿があるような気がした。最近奄美の自然と文化が世界的な評価を受けている。それも全て祖先が守り育んできた私たちのアイデンティティ―なのだと思うと今私たちが何をすべきか問われているような気がする」
奄美大島は知っていましたが、どこにあるのか分からなかったので、早速調べてみましたが、鹿児島県に属していて沖縄と九州の間にあるのですね。
二枚目の写真は本当にジュラシックパークの一場面に出てきそうな風景ですね。確かに沖縄をはじめ今回の奄美大島や島国のイメージはエメラルドブルーの海と青い空、そして白い砂浜でした。ですが、それよりも、もっと綺麗で大切なものがあるのですね。それも、その島に住んでいた祖先の人達が守り続けてきたもので、私達はそれを続けなければいけない気がします。しかし実際にそれをできるのは島に住んでいる人しかできないのが現実です。だからと言って無関心にならず、自分達の身の回りにあるものでも大切なものがあると思います。まずはそこから守ることができればいいなと思いました。
奄美の手つかずの自然は、ハブという「森の守り神」がいたおかげで保たれてきたというのはとてもおもしろいですね。自然の天敵は人間なんですね。緑豊かな森が二酸化炭素を吸収して地球環境を維持してくれることを考えれば、もっと人間は自然に対して謙虚であるべきです。感謝すべきですね。もし、少し自然に手を加えさせてもらうのであれば、昨日の林業のように、植林と再生産を考えた息の長い事業を考えるべきですね。
8月3日のNHK大河ドラマ「篤姫」には薩摩を追われ一人物思いに耽る「西郷吉之助」の姿が映し出されていました。そこが「奄美大島」でした。明治維新に向かうほんの少し前に西郷は奄美にいた。奄美での暮らしが様々な影響を西郷吉之助にもたらしたであろうことは容易に想像がつきます。「アマミクロウサギ」発見は大ニュースでした。やがて切手の図案にも採用されます。1974年昭和49年「自然保護シリーズ」第1集でした。イリオモテヤマネコやオガサワオオコウモリ、ニホンカワウソと同集です。「森に入るな!」が貴重な動植物の保護に繋がった良い例を紹介して頂きました。そういえば、「おとめ山公園」も「入るな(御留め)!」が東京新宿に豊かな植生を現在に残した身近な事例と言えましょう。
人間に荒らされないことで森の中はエネルギーに満ち溢れ究極の共存関係を結んでいるというのはよく分かります。人間は入っても荒らさなければいいのでしょうが、なかなかそうはいかないみたいですね。いかに共存関係を結ぶかは、様々な関係において大きな課題ですね。
浜田さんが奄美大島の素晴らしさを言えなかったことを恥ずかしく思ったというのは、同じような経験が私にも経験があります。そこで行動を起こすかどうかで、大きく道は分かれますね。行動することは大事です。