奄美の自然2

 保育園児は、夕方親が必ず迎えに来ることを信じて待っています。子どもたちは、親が自分を必ず守ってくれることを信じています。
 アマミノクロウサギは、親の巣と別に穴を掘って、そこに子ウサギを産み、ほぼ二日に一度授乳にやってきます。それ以外は入口を土で閉じてしまいます。その生態は、昔から言い伝えられてきました。しかし、それを実証し、カメラに収めたのが、奄美に住むカメラマンの浜田さんでした。母親ウサギは、子どもは1匹しか産まないようです。その子ウサギは、安全のために親と違う巣の中で眠ります。そのなかには、葉っぱを敷きつめてあります。母親は、子ウサギのいる穴の入り口に来ると、慎重にその穴の入り口を掘り、開けます。すると、入り口まで子ウサギが出てきて、母親は子ウサギに授乳をします。その時間、5分足らずで、それが終わると、母親は急いで巣穴を閉じ始めます。前脚で土をかき集め、穴の中に押し込み、30分以上もかけて巣穴の入り口を、何度も何度も土をぺたぺた、とんとん、まるで壁でもぬりかためるようにふさいでいくのだといいます。そして、真っ暗になった穴の中で、子ウサギは、またきっと母親が来てくれることを信じてじっと待っているのです。
 浜田さんが撮った観察ビデオをいもとさんが見て、トントンと穴をふさぐ作業は、もしかしたら、穴の中の子どもが眠るまで、よく親が寝付くまでやってあげるトントンではないかをいうことで、絵本の構想は生まれました。それが、講談社発行「とんとんとんのこもりうた」(著:いもとようこ)です。この絵本は、第34回造本装幀コンクールで文部大臣賞を受賞しています。
 また、奄美にはほかにも珍しい植物も生息しています。その代表的な物のひとつのガジュマルは、その樹形から幸福をもたらす精霊が宿っている木とも言われています。
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ちなみに、「ガジュマル」とは沖縄地方の呼び名です。たしかに、その異様な姿形は、精霊とか妖精のように見えます。それは、幹がいろいろな方向に分かれているからです。また、幹から気根といわれる根が垂れ下がり、自分の幹に絡みつき、また、太くなり幹のように樹皮が発達していきます。そして、その気根は、地面にまで達し、幹と同じようになり、何本も幹があるような樹形になります。そんな姿からか、そこには、奄美ではケンムンとよばれる妖怪が棲んでいると恐れられていました。
もうひとつは、マングローブです。今回は、マングローブ体験のカヌーには乗ることができませんでしたが、展望台からマングローブ原生林を見ることが出来ました。
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このマングローブとは、木の名前だったり植物の名前ではありません。熱帯や亜熱帯地域の河口など、満潮になると海水が満ちてくるところに生えている植物をまとめてマングローブと呼んでいます。このマングローブには、様々なカニ、魚、貝、エビなどのほか、森にはサルなど様々な動物も住んでいますし、水鳥たちの餌場であったり、休息の場所です。しかし、世界のマングローブ林は切られてしまったり、エビの養殖池になってしまったりとだんだん減ってきて、このような動物たちの住む場所がなくなってきています。また、日本以外の国では、マングローブの森に住んでいる人たちがたくさんいますが、マングローブ林が減ってきて、このような人たちの家を作る木材や、料理を作る時の燃料としてのまきや炭も少なくなってしまっています。
大切にしなければならないものは、たくさんありますね。

奄美の自然2” への4件のコメント

  1. 熱帯の植生はとても不思議な形をしたものが多いですね。フィリピンやタイに行く度に植生のおもしろさに惹かれていました。しかし、今回のブログでも取り上げられていたように、東南アジアのマングローブの林は人間の手によって破壊されてきました。「エビの養殖池」となったかつてのマングローブ林をこの目でみた時「あぁ~、日本人の食のためにマングローブがまた一つ無くなった」と何ともいえぬ感慨に襲われたことがありました。マングローブは動植物の母親であっただけでなく、貴重な水資源を保持する神そのものであったと思っています。写真のマングローブ原生林は本当に貴重な自然の恩恵です。大切にしなければなりません。

  2. このブログを見ているだけでいろいろな地域の風景を見たり感じたりすることができます。実際に飛び回られる藤森先生は大変でしょうが、いろんな刺激をもらっています。ありがとうございます。
    読みながら、インディアンが何かを決めるときは7代先の子孫のことまで考えるという話を思い出しました。自然と付き合っていくためには、このような姿勢も必要なんだろうと思います。自然としっかり向き合えば、大切にすべきものは見えてくるんだと思います。そんな感覚を持ちたいと思います。

  3. いわゆる「業界」にいる人間ですが、いもとようこさんの作品でこんないい絵本があるのを知りませんでした。現代の若い母親にぜひ読ませたい本ですね。こんな小動物でも大切な子供のためを守り育てるために、優しく慈しむことができるのは子孫を残すための本能なんでしょうね。人間を含めて高等動物になるほど子育てが苦手になるというのはなぜなんでしょう。進化ってなんでしょうね。人間が自然から学ぶことはまだまだ沢山ありそうです。

  4.  アマミノクロウサギは子どもを一匹しか産まないとは動物の中では珍しいと思いました。そして子どもを穴の中で育てるのは普通ですが、その穴を土で塞いでしまうとは驚きました。しかも二日に一度しか戻ってこないとは人間ではあり得ないことですね。それだけ親を信じているからこそ穴から出ないのだと思います。親を信頼するということは人間も動物も全く一緒なんですね。ガジュマルの木やマングローブにしても奄美の素晴らしい自然というのは本当に貴重なものばかりですね。その貴重なものは瞬間的に守るのは簡単かもしれませんが、それを続ける事は大変だと思います。それを続けている現地の住民の人達は本当にすごいこ事をしていると思いました。

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