便器

 ドイツ報告の中で、日本の保育園、幼稚園には必ずどの園にあるのに、ドイツの園にはないものに、プールがあるということを書きました。他にもいくつかあります。
 そのひとつが、トイレに小便器がないことです。小学校は見ていないのでわかりませんが、どの幼稚園、保育園にも小便器はありませんでした。
小便器の歴史は意外と古く、日本に小便器が登場したのは、平安時代だと言われています。そんなに歴史が古いのは、農村部では昭和初期まで女性も立って用を足していたというくらいに、立ったまま用を足すのは、自然なのかもしれません。実際に、商品として「サニスタンド」といって、欧米には女の人が立ったまま中腰で、後ろ向きにおしっこができる小便器があったようです。それは、1920年代に、アメリカの女性がナイロンストッキングをはき始めた頃に使われ出したのがはじまりといわれています。当時のストッキングは、まだ質が良くなかったので、ふつうの洋式便器にすわると、伸びたり伝線してしまうので、中腰の姿勢で出来る「サニスタンド」が考え出されたそうです。その後、日本でも発売されますが、やはり女の人が立ってすることに抵抗が強く、あまり広まらなかったようです。しかし、今から52年前にTOTOから発売され、1964年の東京オリンピックでは国立競技場に設置されて評判になったといいます。たしかに、スポーツ選手は、立ったまま出来るのは便利かもしれません。その後約20年間も販売されていたとは驚きです。
 日本では、平安時代の小便器は、木製で箱のような形をしていて、その中に尿を貯めたそうです。江戸時代になると、よく、昔の家など保存されているところで見るようなお風呂の桶を縦に伸ばしたような筒型の小便器が使われていたようです。それが、徐々に木製から陶器に進化して、明治・大正時代には、筒の上部が広がったような形の小便器になりました。特に、日本では、和式便器では、男性は立って小便をするときには、狙いが定めにくく、周りに飛び散り不潔だということで、特に公共の場などには大便器のほかに、小便器が取り付けられました。それは、特に設置義務はありませんが、保育園、幼稚園にも設置されています。
 2007年4月4日のブログでも書きましたが、小学校では、男子便所全個室化が進んでいる昨今、それでは最初から小便器なんて、取り付ける必要ないという意見があるのは当然かもしれません。それは、大便・小便とも同じ個室に入る女子に比べ、小便器がある男子トイレでは、「個室に入ること=うんちをする」ことになるから、からかわれやすいからです。また、洋式の場合は、立って小便をしても、小便器にするのと同じように出来るからです。しかし、ドイツで、個室で小便をするときに、立ったままするか座ってするかは、家庭でのしつけによって違うそうですが、どちらにしても家庭には小便器はないという考えです。
 また、0歳児から2歳児までの園を訪れたときにもうひとつ気がついたことは、便器が、日本のように小さくないことです。大人用に踏み台をつけて使用させます。
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保育園、幼稚園の目的は、家庭で、自分で出来るようにすることであり、そのためにできるだけ家庭と同じ環境にします。日本のように、大きさが何通りもある便器を使わせる丁寧さが、果たして、子どものためにしていることでしょうか。

便器” への4件のコメント

  1. 今日のドイツの保育園のおトイレの写真を見ると、改めて日本の保育園との違いを思い知らされますね。私ら業者でしたら、踏み台を使うのは転ぶ危険性があるから、子ども用の便器をお薦めするでしょうね。万一転んでも怪我をしないように、衝撃吸収マットを床に敷き詰めて、ついでに冬寒いからと暖かい便器に変えることを提案するかなあ。本当に余計なお世話ですね(笑)。もし、ドイツの保育士さんが日本の普通の保育園を見学したとしたら、たぶん至れりつくせりの保育環境にびっくりするでしょうね。親の目線ではなく、もう一度、子どもの発達にとって最もふさわしい環境とは何かを見直さないといけませんね。

  2. 家には大便器しかないので仕方ないですが、やはり小便器のほうが落ち着きます。でも小便器があることで男性の場合は大便器の目的が限定され、そこから問題も出てくるんですね。ややこしいですね。大便器に関しては様式と和式の違いもあります。大学のころ、子どもの頃から洋式しか使ったことがない友人がいて、和式便所にどのように座ったらいいのか聞かれたことがありました。冗談かと思ったのですが、本当に分からなかったようです。大きさの問題ではありませんが、子どもたちには今後便所で困ることのないようにしてあげなければいけないと思います。

  3.  ドイツには男子用の小便器がないというのは驚きました。本当に男子トイレを全て個室にするのなら小便器は必要ないですね。結局、苦情を言う親がいるから個室にするのだと思いますが、何の意味があるのか分かりません。それによって、大きい方をトイレでしても恥ずかしい思いはしなくても大丈夫かもしれませんが、そんなのはあまり効果はないと思います。本当に子どものために思ってするのであれば、ドイツのような形になるのが普通なかな?と今日のブログを読んで思いました。まずは日本の「丁寧」という意味をしっかりと考える必要があると思います。

  4. 保育園勤めをするようになってから注意関心を払ってきたことの一つが今回のブログで取り上げられている「便器」です。大便器はいわゆる大人用のみを目にしてきましたが、幼児用大便器があることに驚かされ、同時に「小さくてかわいい」と思ったものでした。そうそう洋式と和式の違いについてもいろいろと考えさせられます。「家庭保育補完」の場であった保育所の大便器が「洋式」であることには首肯できます。現在の家庭の大便器がほとんど洋式だからです。ところが、最初勤めた園の近くにある小学校は昔ながらの「和式」でした。現在ではどうなのでしょう。「保育園、幼稚園の目的は、家庭で、自分で出来るようにすることであり、そのためにできるだけ家庭と同じ環境に・・・」とありましたが、小学校の和式トイレにはどんな意味づけが考えられているのでしょうか、そしてその「意味づけ」は妥当なのでしょうか。

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