教師の質

 先週の土曜日に園で「夕涼み会」が開催されました。テーマは、昨年に続いて「自然」です。全体構成として、三階は銀河系、二階は太陽系、一階は地球をテーマに、カイを降りるに下がて次第に自分たちの住む地球に戻ってくるという仕掛けです。その地球には、青い空があり、水があり、植物が生え、動物が息づいており、その掛け替えの無い地球を大切にしなければということをなんとなく感じて欲しいという企画でした。
 銀河系の部屋では、先日、小さい頃からの夢である宇宙飛行士になって、米スペースシャトル「エンデバー」に乗って宇宙に行った星出さんをテーマに、彼の同級生たちが作った応援歌「ロボットアームで抱きしめて」(仮題)が流されました。
夕涼み会が開催されていた当日、新聞に、がんで余命数カ月と告知されながらも、講義で自分の夢を語った米国の大学教授が25日、息を引き取ったという記事が掲載されていました。その講義は「最後の授業」の題名でインターネットに流れ、世界の600万人以上が受講したといわれ、その本が国際的なベストセラーになっていました。
 その教授はカーネギーメロン大学のランディ・パウシュ教授で、47歳だったそうです。彼は、がんを宣告され、余命3~6カ月と告知された数週間後に「子どもの頃の夢を実現すること」と題して特別講義をし、壇上で腕立て伏せもする快活さを見せながら人生の意味を語りました。無重力を体験したい、ディズニーの技術者になりたい――などの夢を振り返り、「かなえられなかった夢から、より多くを学んだ」と回顧し、「(夢を阻む)れんがの壁がそこにあるのは、自分がどれほどそれを望んでいるかを試すチャンスを与えてくれるためだ」とか、「私は物事を楽しまない道を知らない。やがて死ぬけれども、残る日々も楽しむつもりだ」と語りかけたのです。この授業は同時に自分の3人の子どもへの遺訓だったとしつつ、「多くの人が価値を見いだしてくれたなら素晴らしい」と自身のウェブサイトに記しています。
 このような授業を見ると、授業内容の質とは何か、教師の質とは何かを考えてしまいます。それは、決して知識の豊富さでもなければ、教える技術でもなく、その人の生き様であり、その教師の「人」そのものです。
「教師の資質とは何でしょうか」という問いに対して、武庫川女子大「中谷彪」氏は、「最小限、『子供が好き、教えることが好き』『勉強が好き』の2点。後者は絶えず努力し自主研修ができる人、という意味。前者はたくさんいるが後者はなかなかいない。教員を志望する若者は『子供が好きだ。子供のために何かしたい』と熱意はあるが、教師とは何か、教育の社会的機能は何か、などについて考えることは後回しにする傾向だ」といい、「教師は絶えず向上しないといけない」と提案しています。
教師は、まさに「今の子ども」と接している身であるために、子どもの姿をよく見ることによって、常に時代の先端にいて、新しい時代を提案しなければいけない立場にあります。しかし、現実は、小・中学校長に聞いた2006年東京大学教育学研究科COEプロジェクト調査によると、「改革が早すぎて現場がついて行けない」という問いについて、強くそう思う19.5%、そう思う55.4%、そう思わない14.7%とあり、8割の学校で「改革が早すぎて現場は着いて行けないと答えています。
 夢は、先のことです。夢を語ることの出来る教師は、時代についていくだけでなく、先を見ることの出来る人かもしれません。

教師の質” への5件のコメント

  1. ランディ・パウシュ教授は最後まで「先生」を体現されたのですね。その年齢で逝かれながらも伝える言葉を残された。教授は素晴らしい方だなと思いながらも、まだまだ伝え続けたかったのだろうなと無念を感じます。
    自身を省みますれば、まだまだ道標なくして進めない状態ですので、想像力の乏しさを痛感します。
    教師を保育者に置き換えたらどのように答えたら良いか、今の私は窮します。しかし、教師の資質とは少なくとも金八先生ではないと思います。何故なら、一人ひとり(家庭)の世界に踏み込み過ぎているからです。

  2.  ランディ・パウシュ教授の「最後の授業」の本を読んでみたくなりました。自分の人生が、終わると分かっていても教壇に立ち続け、生徒たちに夢の実現について講義されたとは、これが教師の鏡というのかな?と直感的に思いました。高度な数式を解いたり、技術も持っている先生もとても立派な先生だと思いますし、尊敬します。ですが人の夢を心から応援し、そして人の人生を楽しめるように導いてくれる先生の方尊敬できますし、確かに、そういう先生だからこそ時代の先を見ることができるのだと感じました。だから藤森先生は先の時代を見通すことができるのですね。

  3. NHKの番組で、「命の授業」(がんと闘う校長の日々)という感動的な番組を見たことがあります。確か、茅ケ崎の浜之郷小学校で初代校長を務められた大瀬俊昭先生のドキュメントでした。大瀬先生は、末期の胃がんで余命3か月から半年と宣告されてから、命を振り絞りながら子どもたちに命の尊さを語りかけます。絵本「わすれないおくりもの」を読み聞かせした後、彼は死んだあなぐまの生命が思い出として、残された仲間たちにつながっていくことを気付かせます。彼は言います。『そうです。永遠の生命、生命には終わりがないんだよね。心の中に忘れない贈り物として。…』結局、自らの生きざまで人間としての生き方を教えられる教師が、最高の教師なんですね。

  4. 夢を語ることは大切ですね。ランディ・パウシュ教授のような人が語られる夢は、聞く人の心に響いたと思います。かなわなかった夢からより多くのことを学んだという言葉から、自分自身も気づかされたことがあります。こうした人間性をぶつけてくれる教育がどれほどあるかも考えさせられました。やはり子どもに接する以上、自分自身を磨いて高めなければいけないですね。そして夢を語り続けていこうと思います。

  5. 「教師」とは「教える師匠」のことでしょうから、その役割は重大です。何せ「師匠!」ですから。「私は物事を楽しまない道を知らない。・・・」とのランディ・パウシュ教授の言葉は二重否定語を用いているからこそ「物事を楽しむ道を本当に知っている」者が「教師である」と強調しているのでしょう。「教師は絶えず向上しないといけない。」という中谷彪氏の提案にも大賛成です。知ることと、知ったことを伝えることに希望と喜びを見出す人が「教師」でしょう。また、変わり行くことを前向きにとらえ、そこにも希望と喜びを見出して前進する人こそホンモノの「教師」でしょう。そして何よりも「教わる側」の心情意欲態度に沿い、そして「教わる側」の「力」を引き出そうとする人こそ真の「教師」でしょう。

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