先生

 朝日のアンケートの中で、教師について、「学校の先生は信頼できる」(「とても」「やや」の計)と感じる保護者は56.8%で9ポイント上がり、「先生たちの教育熱心さ」に満足しているのは64.0%と3ポイント増という結果が出ています。その反面、教員免許制度更新制についての評価は高くなっています。
 また、「教科の学習指導」への満足度も72.6%と3ポイント増え、「学校は一人ひとりに応じた教育を行っていない」という答えは54.4%と8ポイント減っています。「先生の教える力が低下している」と感じる人も49.4%と4ポイント低くなっています。ずいぶんと、学校の先生は努力しているようです。
 昨年、日経新聞のコラムで、教育行政学専攻で元大阪教育大学長の武庫川女子大「中谷彪」氏が、インタビューにこんなコメントを言っています。
「小学校や中学校で若手教師が退職するケースが増えているとききましたが」という質問に対して、「ある自治体では夏までに新任教員の一割が辞めた。校長らはその穴埋めに走り回ることになる。教員採用数が増え、企業への就職率も改善しているので、昔のように『待機者』が少ない。教委にも『ストック』はほとんどない。そんな中で集める急場しのぎの講師には、訓練を受けていない人が含まれている。指導力低下など現職教員の問題が指摘されている上に、実際には多様な人々が現場に入っている」
今回改定された保育所保育指針にも「保育士の質の向上」が新たに章立てされました。教員の質については、長い間の課題です。ひとつには、なにが質の高さかです。その前に、教員の質とは何かです。教える技術とか、子どもをコントロールする技なのか、それは時代によって、望ましい子ども像によってずいぶんと違ってきます。
中谷さんは、こう言っています。
「教員の年齢構成は、近年は都市部で50代と2―3年までの若手だけが多い『ワイングラス型』。だが、細いところ(採用倍率が高かったころ)の教員が目立って優秀かというとそうでもない。受験エリートたちは、子供がなぜ分からないのかが分からなかったり、人間関係が苦手だったりする。この層は大量採用のベテランを見下し、ベテランは『学歴ばかりが立派でも』と対抗する。どの層でもあつれきが生じている」
かつて優秀だと評価され、高学歴な人材と、現代において優秀な人材といわれる力とは違ってきているので厄介です。また、本人が優秀なのと、優秀な人材を育てる能力は別ということもあります。
そして、教員の質は、教員採用に時期と、社会的状況が密接に関係あるといわれています。それは、教員採用試験の倍率に左右されます。しかし、教員採用試験の倍率低下が、教師の「質」の低下につながるのかということに対して中谷さんはこう言っています。「今の40代後半―50代は大量採用世代で、かつて『でもしか先生』と言われた。実際に十年ほど前、その層で学級崩壊が問題化。学校不信、塾への逃避など学校を巡る社会の流れをみても、背景に彼らの力量の問題があったといわざるをえない。この層の退職時に大量採用が繰り返されることは予測できたはずだ。私の試算ではそれは18年周期。長期的に考えた採用形態を考えるべきなのに、採用側は予算上、定員分を採ることになる」
教育再生は時間がかかることです。一度道を間違えると、その修正にはかなりの時間を要します。慎重に行うとともに、長期見通しをきちんと立てなければならないでしょう。

先生” への4件のコメント

  1. 教員の質の問題を考える時に、彼らがどういう子ども時代を過ごしてきたかがとても気になります。特に最近の若い先生は、時代が少子化に向かう時代に育ってきているわけで、頭はいいけれど、子どもの理解が十分でなかったり、コミュニケーションがうまくとれなくて学級集団をまとめきれない傾向があると聞きます。学力だけで、人間としての力に欠けた教師が次代を担う子どもたちを育てようというのですから、ちょっと怖いですね。教員採用の在り方や研修の見直しは当然ですが、少子化という現実が教育の世界で「負の連鎖」を生んではいないか検証が必要だと思います。

  2. そもそも「先生」の質を当の先生にだけ帰することが果たしてできるのか、と思っています。「先生」の質が低下しているとするなら、先生を養成する学校のシステムに問題があり、遡れば、高校中学小学校、そして就学前施設のあり方、あるいは家庭のそれ、にも問題があった、ということになりはしないだろうか、と考えます。さらに、校長、教諭、園長、保育士等々の「質」がやけにクローズアップされていますが、校舎・園舎の「質」、あるいは遊具・教具の「質」、あるいは配置される家具等の「質」がどうして同時に論議されないのか、現在の仕事に従事していると、そうした疑問が渦を巻きます。物的・空間的環境が人を変えます!しかも人の心までも形成します!本当に良い教員を世に輩出したいのであれば、「精神論」だけを押し付ける教員養成方法にはやはり欠陥があると言わざるを得ません。

  3. 採用時期によって職員に違いがでるのは、考えてみれば当然ですね。このことは自分たちにも関係のあることなので、よく考えたい問題です。どんなことでも同じだと思いますが、質やレベルが落ちてしまうのはあっという間ですが、上げていくことや立て直すことは簡単ではないし時間がかかります。だからこそ長期的な視野が重要なんでしょうね。

  4.  保育指針が改定されたなかで「保育士の質の向上」というのは、イメージはわきますが、実際にどのように向上すればいいのか?漠然としていて少々疑問に思います。しかし悩んでばかりいないで、指針が告示化になった以上は、しっかりと指針と向き合う必要があります。まずは今の子ども達にはどのような保育士が必要なのかしっかり考える必要があると思います。それが保育士、教員の質の向上だと私は思います。

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