庭園様式1

 私はブログで一時期、庭について何回か書いたことがありました。庭という空間に植物を植え、石を配し、水をめぐらせ、ひとつの小宇宙をつくり出す美しさに感動するからです。その庭の造形美は、各国でも同様にあります。しかし、その空間占めるさまざまなものは、国によって違うようです。
少し前に訪れたザルツブルグには、ミラベル庭園があります。この庭園は、ザルツァッハ川の右岸にあり、ホーエンザルツブルク城をバックに旧市街を見渡せる絶好の場所にあるミラベル宮殿にあります。
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この庭園が有名になったのは、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の中で、子どもたちと一緒に「ドレミの歌」を歌うときの背景として使われているからです。この宮殿は、1606年に大司教ヴォルフ・ディートリヒが愛人と子供たちのために建てたもので、最初は愛人サロメ・アルトの名前をとって「アルトナウ宮殿」と呼ばれていましたが、後継者の大司教シティカスが「美しい眺め」という意味の「ミラベル宮殿」という名前に改名したものです。このミラベル庭園は、著名なバロック建築家フィッシャー・フォン・エアララッハの設計で、庭園の中央には「ペガサスの泉」があり、空気・大地・火・水を表す4つの像が囲んでいます。北側の門の両側にはユニコーンの像が座っているほか、庭園内にはギリシアとローマの神々の像が並んでいます。そして、その周りを壇、噴水、庭木が美しく配置されています。
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この庭園を訪れるのは何回目ですが、6月という花の季節に訪れたのは初めてで、それまでは一面の雪景色しか知りませんでした。
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 庭園には、日本での寝殿造り庭園のように、ある様式があります。この様式は、国によって美しさの価値観の違いや、その土地の自然を取り入れたり、歴史を取り入れることによって出来てきたので、国の間苗がついていることが多いようです。
たとえば、「フランス式庭園」と呼ばれる平坦で広大な敷地に軸線(ビスタ)を設定しての左右対称性、幾何学的な池の配置や植栽の人工的整形などを特徴とした西洋風庭園があります。この庭園は、主に17?18世紀にフランスで発達し、人工的に、幾何学的に配置されますので、「平面幾何学式庭園」とも呼ばれています。また、同じ幾何学的庭園に「イタリア式庭園」というテラス式、あるいは露段式庭園とも呼ばれるものがあります。14世紀から16世紀にかけて主にイタリア郊外の別荘で発達しました。
しかし、18世紀になると、人間の力で自然を征服しことを誇示するような人工美の整形式庭園にたいして、イギリスで、そんな人工美よりも庭園の中に自然風景の美しさを入れ、大自然の優美さを褒め称えようという動きが盛んになってきました。そして、フランス式庭園が持つ拘束性を、自由と思想性と自然賛美を結びつけて攻撃しました。それが「イギリス式庭園」と呼ばれている西洋風の庭園の様式です。自然の景観美を追求した、広大な苑池から構成される風景式庭園を指します。しかし、最近は、流行っているガーデニングと呼ばれる家庭園芸を指す言葉として、イングリッシュガーデンということがあるようです。
それに引き換え、日本では、もともと自然を取り入れた庭園を作っています。というよりは、庭園で自然を表現しようとしたのです。そして、それが今にどのように伝えられているでしょうか。