ドイツを訪れての研修は、参加者の第一印象は、とてもハードな研修だということです。それは、日程のほとんどは、乳幼児施設見学があり、夜は毎晩1日の振り返りによる研修があるからです。しかし、その日程の中で、1日だけ参加者がフリーな夜があります。それは、私がミュンヘン市の教育局の統括責任者のグレッチェさんに食事を招待されるからです。今年は、ほかに二人誘ってもいいということで招待を受けました。昨日の見学が17時頃終わって解散した後、少しおもちゃやさんや本屋さんを見て歩いた後、約束の7時までに指定された場所に行こうとタクシーに乗りました。住所を提示し、運転手さんはナビを見ながら現地に着きましたが、どう周りを見渡してもレストランらしい店は見当たりません。しかし、住宅街にひっそりと素敵なレストランがあることがあるので、そんな店だろうと思って住所の場所に行ってみると、そこは、グレッチェさんのご自宅でした。玄関で出迎えてくれたご主人と挨拶をして中に入って、部屋を突っ切り庭に出てみると、そこに食事の用意がしてあり、庭の向こうでご主人が肉を焼きはじめました。いわゆるガーデンパーティーです。なんとも、優雅な気分になりました。

その夜の会話の中で、グレッチェさんが、「一級の保育者が第一に保育し、二級の保育者(これは、保育助手のような資格)が第二に保育し、三番目に保育するものは建物である」と言いました。そのように、ドイツではとても建物が保育の質に影響すると思われています。昨日の見学先は、午前中に見たところも、午後に見たところも重要文化財として保存されているところでした。午前中の建物は、音楽学校と併設されており、一時は、保育者研修所としても使われていたところです。
午後の見学先は、もと小学校として使われていたそうです。そういえば、昨年の見学先に、もと大衆浴場だったところがありました。このようにドイツでは、古い建物を改装したりしてキンダーガーデンにしたところが多くあります。
そのほかに多いのは、遺言で幼児施設として使って欲しいと寄付された建物が多いそうです。なかには、狭すぎたり、使いにくい空間であったりすることもあるようですが、それを上手に改装し、古い建物を上手に活かしています。
それらの見学先で、やはり参加者の気になるところは、怪我に対する保護者の苦情です。というのは、日本ではたぶん危ないと注意されるであろう箇所が多いこと、手すりなどの内側に子どもが登れる椅子が置いているなど危険防止のための配慮されていない箇所がずいぶんあるからです。そのために、保護者は怪我をさせることに対して、苦情を言わないのかという問いに対して、やはり苦情はあるそうですが、それを受けて未然に防いでしまったら、子ども自らの危機回避能力がなくなるから、怪我を余り恐れないということでした。これは、建物が保育するということのひとつの例でしょう。
また、今回も驚いたことのひとつに保育者の子どもへのかかわり方です。これも何度かブログで書きましたが、園庭で遊ぶ子等は、今の日差しが強い中でも、日向で遊ぶ子が多いこと、その子が帽子をかぶっていないことが多いこと、保育者が傍で、りんごをまるかじりしたり、お茶を飲んでいたりしていて、それほど子どもと一緒に遊んでいないことが多いことにびっくりします。
連日のハードな研修、お疲れ様です。昨年もスケジュールはびっしりでしたが、考えさせられることの連続で、あのハードさなら何度でも体験したいと思えるものでした。やっぱりうらやましいです。古い建物が大事に使われているのはいいですね。子どもたちにもしっかり受け継がれるんでしょうね。最後の写真は衝撃です。日本でも公園では似たような光景を見ることはありますが、これは幼稚園ですよね?うーん、すごいです。
今日お会いした園長先生の話では、日本の保育園は保護者からの苦情が極力出ないように施設の安全対策を万全にすることには熱心だけど、子どもの危機回避能力を育てることを考えることはまずないそうです。子どもの育ちよりも保護者や行政との対応が優先なんですかね。ドアに当たったり、こけたりして怪我をすることで次からは同じ失敗をしないように気をつけるものだと思いますが・・・。知らず知らずのうちに、保育園も過保護で過干渉な今時の保護者と同じようなことをしているかもしれません。それにしてもこのドイツの子どもたちの遊ぶ姿やそれを見守る先生方の和やかな表情は、幼児教育の何たるかを雄弁に語ってくれます。
写真を見ただけでも、グレッチェさんとの夕食会は本当に優雅な雰囲気だったと思います。夕食会でもグレッチェさんと保育のお話しをされたと思いますが、「一級の保育者が第一に保育し、二級の保育者が第二に保育し、三番目に保育するものは建物である」という言葉を聞いて、やはりドイツの教育局の責任者の言われる言葉は本当にすごいと素直に感じました。特に建物も保育をするという発想はすごいと思いました。環境として建物を意識していましたが、保育という考えは思ってもいませんでした。確かに、危険箇所を全て無くして子どもが怪我をしない環境を作ってしまっては、子どもが自分で危機回避能力がつかないです。そう見ると建物も保育しているんだなぁと感動しました。
わが国の改定保育所保育指針には「人、物、場」とありますが、はっきりと「建物」とか「部屋構造」とか謳ってほしいと常々思っておりましたので、グレッチェ博士の「三番目に保育するものは建物である」とのご発言には快哉!を叫びたくなります。写真で拝見するグレッチェ博士のお宅のお庭は素敵です。女史のお人柄を形成しているのがまさにこの住居環境であろうと拝察できます。お肉もさぞかしおいしかったことと思われます。鹿肉?それとも兎肉?・・・園庭の写真からもいろいろなことが学べます。パラソルが据え付けられると、おそらくバカンス気分になれるのでしょう。木陰で談笑している先生たちの姿は印象的です。子どもたちのイキイキとした遊びの姿が余計に印象的です。