食事と授業1

食事は、朝ごはんだけでなく、とても重要なものです。先週の日曜日に長野県小諸に講演に行ったときに控え室で同席した人がいました。その人は、別の講座で講演をした、上田市の前教育長の大塚貢さんです。上田市は、以前、非行、犯罪が絶えなかったのですが、現在、非行、犯罪ゼロ、いじめもゼロ、そして全国平均より抜きん出て学力が高いそうです。それは、「授業改善、米飯給食、花作り」によって子どもたちの心身を甦らせたからだといいます。ジャーナリストの櫻井よしこさんとある雑誌で対談をしています。
 まず、授業改善です。大塚さんが平成4年に中学の校長になったとき、学校はとても荒れていました。強盗、窃盗など非行というより犯罪も多く、学校の廊下をバイクで走ったり、窓ガラスは次から次へ割られ、全校生徒1200名の大規模校でしたが、不登校も常に60~70名はいたそうです。そこで、教室を見て回ったところ、とにかく授業がつまらない。何を教えているかも大塚さんでもちっともわからない。だから机に伏している生徒が多い。大塚さんは、民間会社にいたこともあり、そこではこんなつまらない授業をしていたら首になるだろうというレベルだったそうです。そこで徹底的に研究授業をやり、先生同士がお互いに切磋琢磨しあう。また、それぞれが教材研究や指導方法を研究していく。すると、次第に授業のレベルが上がってきたといいます。授業が面白いかどうかは、子どもの姿勢でわかるといいます。次第に、机に伏している子がほとんどいなくなり、姿勢を正して授業を聴くようになって行きました。「学級崩壊とか子どもが本気で勉強しないといいますが、99%は授業がつまらないのを子どものせいにしているだけだと思います。」と言い切ります。
 しかし、それだけでは完全に非行やいじめはなくなりません。そんな時、朝礼でバタバタ倒れたり、遅刻したり、登校しても保健室にいる子たちを見て、まだ、食育など言われなかったころでしたが、もしかしたら食と関係しているのではないかと思ったそうです。そこで、朝早くからコンビニエンスストアで張り込みをして、様子を見たのです。また、食の調査もしてみました。すると、お金だけを持たせてコンビニで好きなものを買わせる母親、朝食を食べてこない子が38%、食べてきた子でも合成保存料や着色料、合成甘味料だらけの食材、夜はハンバーグや焼肉ばかりで、カルシウムやミネラル、亜鉛、マグネシウムといった血液を柔らかくしたり、血をきれいにする栄養素は全く摂取できていないことを知ります。だから子どもたちの血液がドロドロで、自己コントロールが出来ない体になって、普段は無気力でありながら、突如自分の感情が抑えきれなくなってしまう。「これでは、いくら、非行を起こすな、いじめるな、勉強を本気でやれと言ったところで、体がついていかないのです」と大塚さんは言います。
では、母親たちに何とかバランスの良い食事を作ってくださいと呼びかけたところで、今のお母さん方には全く聞き入れてもらえなかったそうです。それが、大塚さんの他の人と違うところです。「全く、今の親は!」とか、「親がそれだから仕方がない」ではなく、「では、学校給食の改善をしよう!」ということで、取り組みを始めたのです。なるべくお腹にたまる米飯に切り替え、野菜や魚を中心にしたバランスの良い献立の給食にしようとします。しかし、それは、はじめは「子どもの好きなものを食べさせろ!」という親からだけでなく、教師からも配膳が大変になるなどと反対を受けます。(つづく)

食事と授業1” への3件のコメント

  1.  授業がつまらないというのは確かに致命的なような気がします。私も高校の数学の授業を始めて受けた時に、全く分からなく、それから数学離れになっていってような気がします。授業がつまらないのは、99%生徒のせいだというのは…何とも言えないです。ですが、それを「授業を受ける体力が無い」という根本的なところから見直すとは、誰もが見落としていたところだと思います。それを朝食を準備しない親のせいにせず、学校給食を改善し、子ども達にしっかりと体力をつけてもらうという考え方もとても新鮮なような気がします。問題を解決する前に色々な視点から見ることが必要だと思いました。

  2. 大塚さんの取り組まれたことは素晴らしいですね。子どものせいにしたり親のせいにしたりするのは簡単ですが、そうではなく自分たちの問題ととらえることが最も大切だと思っています。保育や教育は大人次第で良くも悪くもなるし、人間性が問われるところだとも思っています。自分のダメな部分を思い知らされることが頻繁に起こりますが、ちゃんと向き合っていこうと思います。

  3. 原因があり、そしてその原因に基づいて結果が生まれます。このプロセスの際に、割りと注視されないことが「条件」です。原因があり、条件がかさなって、そして結果が出来上がります。この「条件」を私は「環境」と解釈しています。この「環境」には「人間」と「モノ」と「三次元空間」があります。学校の授業参観に先日伺いました。1年生の我が子の「算数」の授業。先生は「わかる人?」と声かけをします。生徒たちは「ハイ!ハイ!」と手を挙げ、指名を待ちます。我が子はちっとも手を挙げません。後で「わからなかったの?」と訊くと「恥ずかしかった」と答えます。「そうか」と私は肯きました。「条件」=「環境」、ということを我が子の担任の先生には気づいてほしいと思いました。難しいことかな?

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