今年の1月1日の朝日新聞に書かれていた少子社会の将来の姿を以前のブログで紹介しましたが、その記事の中で、過去の少子時代のことが書かれていました。
まず、縄文時代での話しです。近年まで縄文時代の人口については漠然としか分かっていませんでした。それを、国立民族学博物館の小山修三・名誉教授は縄文遺跡の分布をもとに時代別・地域別に人口を推計してみました。それによると人口は縄文時代早期には2万人ほどだったのが、最盛期の中期には26万人程度まで増加したということがわかったと書かれていました。この頃は、当然子どもは労働力だったのでしょうから、また、避妊などの知識などもなかったために、子どもは増えていったと思います。しかし、私は、もうひとつ子どもが増えて行った理由がある気がします。それは、人々が集落を作り、社会を作っていったからです。弥生時代では、農耕が中心でしたので、集落が必要であり、社会が必要だったでしょうが、縄文時代は狩猟民族なので、最初はそれ程集落が必要ではなかったかもしれません。しかし、青森の三内丸山遺跡を見ると、縄文時代でも大きな集落を持ち、高度な文化を持っていたことがわかります。ごみの捨て方にしても、完全な分別をしていることから見ても、快適な生活を送るために社会を築き、社会の財産として子どもを育てていった気がします。また人口密度の地域格差は大きく、東日本が高く、西日本が低い「東高西低」だったとされていますが、西日本は気候もよく、食糧が容易に得られる地域では、それ程の社会は必要なかったかもしれませんが、東日本では、きびしい自然なだけに、協力が必要だったのでしょう。
豊かでないと子どもを産まないといわれ、少子化対策では、子どもに関しての費用がかからないようにしたり、何とか育児を楽をさせようとしていますが、果たしてそうでしょうか。縄文時代には、少ない食料を確保するためには人口が少ないほうがいいと思うのに、逆なのです。それが、他の時代でもわかります。新聞にこんなことも書かれていました。
江戸時代にも少子化対策は行われていたというのです。今と同じように、江戸時代末期の人口停滞の背景には、女性の晩婚化や少子化があったといいます。特に北関東では18世紀前半から後半にかけて、江戸など都市への流出も影響し人口が20%以上も減ったそうです。人口減に悩んだ藩の中には少子化対策を行うところもあり、妊娠した女性を登録して江戸版「母子手帳」を作成、それにもとづき米や金などの養育手当を出すというものだったようですが、残念ながら効果のほどは不明だそうです。
この時代にも、江戸という都会に人々は出たがったのですね。それは、必ずしも生活のためではなく、江戸という刺激的な町にあこがれてということもあったのでしょう。ですから、手当てなどお金で引きとめようとしても、それ程効果がないのです。そして、その刺激が、自らの快楽のためとなると、当然江戸に出ても子どもは生まないでしょう。
それは、外国でも同じようです。ギリシャ時代にも人口減少があったといいますが、その理由がこう書かれています。「人口減少のわけは人間が見栄を張り、貪欲と怠慢に陥った結果、結婚を欲せず、結婚しても生まれた子供を育てようとせず、子供を裕福にして残し、また放縦に育てるために、一般にせいぜい1人か2人きり育てぬことにあり、この弊害は知らぬ間に増大したのである」これは、紀元前2世紀半ばに書き残された文章だそうです。「村川堅太郎古代史論集I」
社会の成熟が、人のつながりを希薄にし、個人的な楽しみが優先され、それが少子化を招いていることを考えないと、対策が空回りになりかねません。
ギリシャ時代の文章を読んで驚きました。少子化の理由は時代や国が違っても共通する部分はあるんですね。2007年の出生率が前年より上がったと聞きました。この数字をそのまま受けて、すごい勢いで支援サービスが増えている今の少子化対策がうまく機能しているとは簡単に結びつけたくないと思っているのですが、国としてどのような評価がでるんでしょうか。
大変恐ろしい数字ですが、出生率や高齢化率がこのまま推移して行けば、日本の人口は2055年には7000万人台、22世紀には4000万人を割り、江戸時代の人口水準になるといわれています。常識の範囲内で、いくら予算を使って出産奨励をしてもこの急激な人口減少は食い止めようもありません。戦後のあの貧しい時期にベビーブームが起きたことを見てもわかるように、豊かでないと人々は子どもを産まないというのは、官僚が描いた幻想にしかすぎません。今保育園でいる子供たちは、20年後、30年後の日本を支える人材の卵です。子どもたちの自立と自律を保障できる質の高い保育に変えていくために予算を使うことが、将来にわたる少子化対策ではないかと考えます。
どの時代にも少子化があるのですね。そしてその時代に合った精一杯の少子化対策を行っているのは、今の日本の現状を考えると、少々悲しくなります。私の勉強不足かもしれませんが、少子化対策として今の日本は対策として何をしようとしているのか全く分かりません。テレビを見ればガソリンの高騰や悲しいニュースばかり聞きます。今の子ども達が今後の日本を担っていくのだから、少子化ならその日本を担っていく子ども達にお金をかけるなど、本当に考えるべきだと思います。
今日のブログを読みながら「貧乏の子沢山」ということを思っていました。貧乏だから子どもがたくさんいる・・・現在子どもの数が少ないということは貧乏人が少なくなったため・・?と思いつつ、「貧乏の・・・」の真意を探ると「貧しい家庭では、遊蕩(ゆうとう)に耽(ふけ)らず、夫婦仲も良いので、自(おの)ずから子供が多く生まれる。」とあります。どうやら「遊蕩」に現を抜かし、また「夫婦仲」も良くないので「少子社会」を招いている、ということができそうです。少子社会に歯止めをかけるためには、倫理的に正しいことを幼児期から一つ一つ学んでいき、やがて思春期の不安定な時期にいたっても決して横道悪道に逸れないような環境を子どもに用意することが親の役目であり、引いては「少子化」に歯止めをかけることにつながる、と思った次第です。