昨日の見学先は、午前も午後も「コープ」と呼ばれる施設です。「コープ」と呼ばれるコーポレーションとは、バイエルン州郡ミュンヘン市学校局指導の下に作られている0歳児から就学前の子どもを預かる施設です。
いわゆる3歳以上児を預かるキンダーガーデンを管轄している学校局が0歳児から預かる施設を作ったということです。ドイツでは、0歳児から3歳児まで預かる施設として社会局が管轄するキンダークリッペという施設があるのですが、その施設をコープのように学校局の傘下に入れようという動きに対して、社会局の人たちは反対しているそうです。「子ども園」を進めようとしている日本とまったく同じようなことが起きていますね。
午前中見学したコープは、1998年に設立された生後9週間の乳児から就学前幼児までの子どもがいる、外観に描かれている絵の通り「ちょうちょう」と呼ばれている園です。園のしおりの序文の1節「建物の外壁は『建築物への芸術』という名の下にコンテストを行い、選ばれた芸術家ステファニー氏の手によるものです。外壁を覆う木材の青色は、芸術的な提案により、きらきら光る、銀色の蝶々によりデコレーションされています。
ステファニー氏は更に園の入り口に、合計30匹の様々な種類の蝶々と蝶々が絡むえさとなる植物を、色筆で描きました。彼女の、建物正面から室内、そして外の領域までにいたるコンセプトは、幼少時から動物や植物と共生するという思想上のコンセプトに見合ったものでした。
建物の構成は、人間が観察し、知識を得、自分の経験を通して、当たり前のようにここの仲間に入ることが出来ることを象徴しています。同じように、庭造りにおいても、蝶や青虫、賀などが集まってくるように餌場を配しており、それを通して子どもたちに自然の生命たちがどのように成長していくのか、1例を示します」というくだりは、3番目に建物が保育するという考え方が裏づけされています。ただ、面白そうな、斬新的な建物ということでなく、どのような保育を目指し、建物という空間の中で子どもたちのどのような活動が成されていくかをきちんと見ていく環境の作り方は素晴らしいですね。
これらの建物に生命を与える存在として、136名の園児と26名のスタッフが共存の経験と、価値を発展させ、根付かせていくという考え方を持ちます。幼稚園を創設したフレーベルによって名づけられたキンダーガーデンは、まさに子どもの庭という空間であり、建物、その色彩まで意味を持たせたシュタイナー学校にもその精神が感じられます。初めて見学した人に強い印象を与える色彩、室内装飾も、教育的に意味のある働きかけをするものとして計画されます。この気持ちのよい雰囲気の中で、子どもたちは守られていることを感じ、豊かな社会的なコンタクトや発見する学びが促されると園のしおりにあります。
次に、コープの特徴は、0歳児から6歳児まで異年齢で生活をしていることです。これについて、しおりには、「小さな子どもたちは大人からの援助を受けるだけでなく、年上の子達からも助けてもらえる。これは過小評価することの出来ないことである。子どもは、大人と他の子どもたちの二つの側面から成長の度合いを認められ、大きい子たちは小さい子を迎え、その子たちのリズムを考慮する。そして、任せられた責任を喜んで引き受け、毎日の生活の中で、小さい子たちを助けてあげる」とあります。
午後は、建設省の建物に囲まれ、そこで働く人の子どもたちのために定員の30%余りが用意されているコープを見学しました。この園のテーマは、ジェンダーフリーでしたが、男性保育者が一人もいないことに、ちょっとがっかりしました。
今回の新しい保育指針の主題のひとつが「環境を通して行う保育」だそうです。人(保育者等の大人)と物(身の回りの教具等)と場(それらを展開させる空間)が環境の大きな要素になると藤森先生からお聞きしました。しかしこれらも建物次第ですね。保育指針を深めていくためにも、もっと広げて建物の問題から保育を考えていく視点が求められると思います。ドイツでは当たり前の「建物が保育する」という考え方は、今の日本の教育界に欠けている部分ですね。とても注目に値すると思います。
先生がドイツで見学されているの園の建物はほとんどが建物が保育をしているのですね。日本みたいに、園庭を広くすれば良いとか、建築家の趣味などで建設されているのではなく、子どもに色々な体験をさせることや、子どもの発達にどう影響するかなど、しっかりした目的を持って建てられているのですね。そしてブログにも書かれていますが、コープのしおりには「大きい子どもが小さい子どもを援助してあげる」と普通に書かれていることが驚きです。それは、藤森先生が言われている事がそのままストレートに書いてあることに驚いたというか、やはり先生が広めている保育というのは世界のスタンダードなんだなと、ドイツからのリアルタイムでの報告を受けて初めて実感がわきました。
しおりに書かれているコンセプトですが、考え方がよく伝わってきます。このように言葉で表せることは大切なことなんでしょうね。自分たちがやっていることや建物・環境について、ここまでしっかりと言葉に表して示せるようにしなければと思っています。
それにしても、「ちょうちょう」の園と建設省の建物に囲まれた園、ずいぶん見た目の差が大きいですね。
「コープ」が教育局管轄で、0-3歳施設を管轄する社会局からの反対を受けている、というレポートは非常に重要だと思いました。日本の「認定こども園」にも関係してくる事情です。コープを巡る綱引き?について今後とも注目していきたいと思いました。「建物」に関する報告はさらに重要です。日本各地の保育園園舎や幼稚園園舎は園長や保育者の思いとはおよそかけ離れた、学校建築に準拠したものが多いような気がします。現場の保育者たちは園舎設計の大切さを感じています。園長や法人もそのことはわかっていても「お金」のことを心配して二の足を踏みます。願わくば、最低基準として「園舎構造」のことも明確化してほしいものです。まぁ、少々難しいかもしれません。最低基準となった保育所保育指針も詰まるところは各園の「創意工夫」のようですから。悩ましい限りの現実です。