ドイツ報告1

 昨日のドイツ研修では、午前9時から12時まで1箇所見学、午後2時から4時まで1箇所見学をし、夜の報告研修会を2時間行いました。
 昨日の見学先は、3歳児から6歳児までのいわゆるキンダーガーデンと呼ばれる施設です。午前中の見学先は、インクルージョンがテーマの園で、障害児を含めた統合保育を行っているところで、午後は、ダンスに力を入れている園です。
 朝早く訪問したのは、朝の集会(お集まり)を見せてもらうためです。時間になると3?5歳児が円形にお集まりをはじめます。欧米では、子どもの集会を行うときには、ほとんど円形に集まります。それは、全員の顔がお互いに見えるからです。大人でも、ワークショップを行うときには円形に集まることが多いです。この日の課題は、近々行われるサマーフェスティバルでの役割を決めることです。子どもたちは、そのときに、太鼓をたたく役割、火の踊りを踊る役割、ベリーダンスを踊る役割など三つに振り分けます。
 そのようなときの方法は、必ず、子どもの意志で決めさせるということです。1日の保育の流れは、ほとんど子どもたちが何をやるかを決めることになっています。まず、保育者が、表情豊かにそれぞれの役割を演じて見せます。そのあと、自分自身で石ころに装飾したものを持って、真ん中におかれたそれぞれの役割の小道具のところに、自分のやりたい意思を、石を置くことで表します。(しゃれではありません)ほとんどの子が太鼓の場所に置いていましたが、その調整はどうするのでしょうか。
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 このような自分の決定権は、すべてのものの中で行われます。例えば、保護者へのダンスの発表会で、エンデの時間泥棒「モモ」を演じたダンスの映像を見せてもらいましたが、どのような子が演じているのかというと、年長児は全員義務だそうですが、その他の年齢の子達は、演じたい子が参加するそうです。その振り付けも、基本的には場面ごとにどんな表現が適当かを子どもたちから出してもらい、その振り付けにあった音楽をあとから選ぶそうです。音楽を保育者が決め、その曲に合わせて教えられたダンスを必死に覚え、それを披露する日本の発表会とはだいぶ違うようです。ただ、この中で、どうしてもこのような太鼓を使わせたいとか、このリズムを体験させたいということが保育者の中にある場合は、子どもたちがそれを選ぶような誘導をすることはあるようですが、そこまでのステップは、マニュアルがないようで、その質問には答えることが出来ず困っていました。
 このように、見学先でよく聞く言葉の一つが「子どもの選択」です。日本でも、「子ども主体」という言葉をよく聞きますが、同時に「保育者の主体」も行われている気がしますが、こちらでは、徹底して子ども主体です。外でバルーンを使っての保育を見たときにも、「この子達はやりたい子が集まっているのです」という保育には、障害児が入っていても気がつかないほど自然に行われている姿が見えます。
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 これを一歩進めたのが評価です。昨年、ドイツに来たときに各園の玄関に掲示されてのが、親の保育に対する評価でした。それが、今年どの園にも掲示されていたのが、子どもからの評価です。
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3歳児から行うそうで、園が好きか?から始まり、どんなときにいやになるか、どんな先生が好きで嫌い家などの項目が並びます。「ストレスが溜まっていたり、いやな顔をしながら保育する先生は嫌い!」という評価は、当然ですね。

ドイツ報告1” への7件のコメント

  1. 話には聞いていましたが、ドイツでは選択制の保育はごく当たり前なんですね。日本も「子どもの選択」を取り入れないと本当の意味で「子ども主体の保育」にならないことがよくわかります。ただ、お遊戯の役柄を子どもたちに選ばせた後の調整をどうするか気になります。順序性にするのでしょうか。園の玄関に「親の評価」だけでなく、「子どもからの評価」を掲示するというのはいいですね。日本のように金をかけて外部評価をお願いするのもいいですが、園の保育の評価を最大の受益者である子どもたちにゆだねるというのはきっとストレートな反応があって保育の見直しには効果的かも。もちろん、これは子どもたちがきちんと自分の意見を言えるまでに自立していることが前提でしょうが・・・。

  2. 徹底した子ども主体ということにしても、子どもからの園の評価にしても、子どもの力を信じていなければ出来ないことですね。だからこそ子どもたちは意欲的に活動しているんでしょうね。子どもの評価はなかなか面白そうです。どんな答えが返ってくるか、試してみたくなりました。
    それぞれが園のテーマを持っているのは知っていましたが、「インクルージョン」が園のテーマというのは興味深いです。「コーヒージョン」という考えも、いずれテーマとしてあがってくるんでしょうか。

  3.  子どもが自分でやりたいことを決めるというのは、よく考えると自然なことで、それを保育士が勝手に決めてそれを子どもにやらせるというのは何か変ですね。先生の保育園でもドイツの保育園でも同じ子どもなのに、自分で決めることができる子と出来ない子の差が保育園によって差が出てくるのは、やはり環境と保育士の質の違いなのかな、と思いました。
    子どもが評価するのは本当に面白いと思いました。素直な子どもの反応の方が実は一番大切なものを教えてくれそうな気がします。

  4. お集まりが常に円形というのはいいですね。互いの顔を見合う、という位置関係は理屈ぬきで賛成です。教室スタイルの集合形式は「共同「協同」「協働」に欠けるような気がします。やはり、その前に立つ人の意思伝達に焦点が当てられた形式です。帰国後は是非円形でのお集まりの提案を藤森先生からもして頂けたら、と思います。とは言え、そのお集まりの目的如何によって円形であったり教室スタイルであったりするのかもしれませんから、一概には言えないところがあるかもしれません。園に対する「こどもからの評価」が掲示されているとは驚きです。改定保育所保育指針では「自己評価」というものがありますが、「こどもからの評価」は言及されていませんね。ひとつ大いに勉強になりました。

  5. 子どもが保育園を評価するというのは面白いですね。是非やってみたいなぁと思いました。また、3歳からアンケートをとるというのも、子どもが普段から自主選択しているからこそできるのだろうなと感じます。私たちが、子どもたちを評価しているように、子どもたちも保育者を評価出来る仕組みが、人権を守るということとつながるのかもしれませんね。劇にしても、音楽や話を優先させるのではなく、あくまでも子どもが主体・先導した劇遊びでなくてはいけないこと、そして、その方法をとることで子ども自身が意欲的にそれに取り組むことができる流れが作られるということを理解しました。

  6. 子どもが保育園を評価するというのはおもしろいですね。やってみるといろいろとおもしろいことになりそうだなと思いました。子どもの選択、子どもの意思、子どもの主体が中心の活動は将来の子どもたちにとってとても大切なことですね。大人になった時に、自分は何をすべきなのか、何をしたらいいのかは自分で決めていかなければいけません。社会に出て働きはじめてもこのことがとても大切になってくると思います。そのためには子どもの時から自然とそれが行えるような環境があることが大切ですね。社会に出て自分の意思では何もできない大人を嘆くのであれば、保育園での子どもたちが自主的に行動している姿の重要性に目を向けてほしいなと思います。

  7. ダンスもバルーンも一斉保育を助長するものと考えていました。ドイツ報告を受ける度にその思いが少しずつ変わっていったことを思い出します。日本で見てきた取り組みとドイツの取り組みの違いは、子どもの主体性への考え方にあるように思われます。そもそも主体性を重視することが当然なドイツでは、子どもは遊びたいことで遊ぶことができ、保育者は提案者のような立ち位置にいます。指針にも主体性について明確に書かれているのに、なぜ日本の一部の保育では指導をするような強制感のあるようなものになってしまうのか、それについて学び続けていきたいと思います。

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