5月24日の新聞に、需要が落ち込む畳の人気を盛り返そうと、全国畳産業振興会が畳の良さをアピールする「畳ビズのうた」を作成したというニュースが掲載されていました。今、秋葉原などで人気のあるメードが、イグサが部屋の空気をきれいにし、地球環境にやさしいと強調した歌にあわせて踊りながら畳をPRしています。なんでメードなのかわかりませんが、畳には癒し効果があるといいたいのか、畳のエプロンと畳のネコ耳姿の「畳メード」が、畳を作るしぐさで歌にあわせて踊る趣向です。しかし、メードを使ったのは、どうも「畳の世界へお帰りなさいませ」と呼びかけたいようです。企画した振興会によると、畳表の需要はフローリングに押され、93年に4500万畳だったのが昨年は1900万畳と半分以下に激減し、熊本が中心のイグサ生産農家も10分の1近くまで落ち込んでいるといいます。
 私は、園に「障子」「すだれ」「あかり」など色々な日本文化の見直しを訴えていますが、「たたみ」も見直されていいかもしれません。
0saijitatami.JPG
たたみの材料は、乾燥させた稲藁を強く圧縮して縫い止め、板状に加工するのが最も伝統的な製法で、これが藁床とか畳床呼ばれます。稲作の副産物として生じる稲藁を有効に活用したもので、適度な弾力性、高い保温性、この歌にあるように、室内の調湿作用や空気浄化作用など高い機能をもちます。
そして、この芯材になる板状の畳床の表面を畳表でくるみます。この畳表は、い草または七島いの茎を乾燥させて織ったござで、様々な織り方で織ったものが使われます。しかし、畳表は、年月が経つと擦り切れるため、定期的に畳からはがしてひっくり返したり(畳返し)、新たな物に張り替える(表替え)ことをしなければなりません。最近、畳床の材料の入手が困難であること、製造が難しいこと、重くて取り扱いが面倒であること、ダニ等の害虫が繁殖しやすいこと、カビが生えやすいこと、などの理由から新素材が利用される場合が多くなりました。よく使われているものでは、木材のチップを圧縮成形したインシュレーションボードや発泡ポリスチレンを単板あるいは積層させたもので、建材畳床、または化学床と呼ばれているものです。これは安く、軽く、階下への防音性能に優れていますが、踏み心地や通気性では藁床に及ばないと言われています。その点、畳表は畳床と異なり現在でも天然素材が一般的です。
 畳は、畳床、畳表のほかにもうひとつ重要な部分があります。それは、畳表をくるむときに、畳表を止める為と装飾を兼ねて縁につけるのが、畳縁と呼ばれる帯状の布です。この畳縁は目立ちますので、色や柄で部屋の雰囲気が大きく変わります。延喜式では、階級により大きさや縁の色が定められていましたし、身分等によって利用できる畳縁に制限があったくらいです。
 今週の日曜日に目白界隈を歩いているときに、畳屋を見つけました。その店内には、様々な畳縁が棚にびっしりと積まれていました。
tatamiberi.JPG
そして、その畳縁で作った小銭入れと、畳表で作ったコースターとランチョンマットを、来月訪れるドイツへのお土産として購入しました。そして、自分用として、小さな畳の敷物と、それと同じ畳縁で作った小銭入れを買いました。
tatamiberisaifu.JPG
畳は、中国から伝播したものではなく、日本で発展してきた敷物で、既に古事記の中に「皮畳」、「絹畳」、「菅畳」の記述が見られるほか、正倉院には聖武天皇と皇后が使用した畳(薄い筵にい草の表が張られ、縁かがりがされているもの)が残されています。もっと、大切にしたいですね。

” への6件のコメント

  1.  畳は個人的にとても好きな素材です。イグサの香りがとても良く癒されるので、畳の上で寝る時など、とても落ち着きます。畳には人を癒したり、落ち着かせる効果があると個人的に思います、だから秋葉原で癒しを与えるメイドさんがPRしたのかな?と思いました。畳の需要が減ってきているのは肌で感じる気がします。友人のアパートなど訪ねてもほとどがフローリングだったり、家でも畳の部屋の割合が少なくなってきている気がします。畳は古臭いという考えが今の時代はあるのかな?と感じます。ですが、写真の小銭入れやコースターなど、とてもモダンな感じがしていいと思います。先生がよく言われるように文化の見直しはとても重要な事だと久々に感じました。

  2. 確かに畳の業界は、日本人の生活様式の変化に、ここ最近の建築不況が重なって本当に大変なようです。ただ、なかにはえらい繁盛している畳屋さんもあるようでして。先日、日曜日朝にやっている「がっちりマンデー」という番組で紹介されていたのですが、年中無休で営業している料亭や飲食店の畳を深夜から朝方の時間帯で張り替える仕事に特化して売上をあげている会社があるそうです。昼間はほとんど開店休業状態ですが、夜になると俄然活気を帯びるというちょっと変な会社でした。藤森先生、6月にはドイツ視察ですね。畳縁の小銭入れや畳表のランチョンマットやコースターが、日本の文化を伝える親善大使になりそうですね。藤森先生が新宿せいがで日本の伝統的な文化を取り入れた保育を実践されている意味が、少しづつですがわかり始めてきました。もともと「見守る保育」は世界共通の保育原理なんですね。ドイツにもフィンランドにも、その国ならではの「見守る保育」があると理解していいんでしょうか。それを確認検証するのが、ドイツに行かれる目的なんでしょうか。勝手な推測ばかりですいません。

  3. 畳縁の写真を見たときネクタイかと思ってしまいました。とてもカラフルで、いろんな種類があるんですね。畳のデザインは畳縁以外は見た目がほとんど変わらないので、畳縁が身分等によって制限があったりしたのも何となく分かります。「障子」「すだれ」「畳」などは、小さい頃はあたり前のように存在していましたが、気づいたら貴重な存在になってしまっていました。大事な文化が求めても手に入らなくなってしまった、なんてことになる前に、価値を再確認しなければいけませんね。

  4. あいやまさん同様私も「畳縁」の写真を拝見してネクタイかと思いました。畳表で「ネクタイ」?何だか重そう・・・とおかしな妄想を膨らませていました。現在住んでいるところの2部屋が畳敷きです。賃貸住宅なので出るときのことを考えてカーペットを敷いて使用したほうがいいのでしょうが、帰宅して疲労を感じている時など畳の上にゴロっと横になるだけで気持ちが落ち着きます。残念ながら「い草の香り」はしませんが、それでもいい感じがするのでカーペットなしのそのままで使用しています。私が勤める園の学童室には畳敷きの部屋があります。一般的に使用されている一畳分よりは小さめの「京畳」というのでしょうか。小学生たちが横になったりちゃぶ台を囲んで字を書いたり裁縫をしたりしているところを目にしました。

  5. 森林浴の気持ちよさの原因である「フィトンチッド」が、畳にも含まれていると知りました。い草から発せられる香り成分が、癒し効果を育むとなれば畳の利用価値とか、活用場所等の幅も広がっていきそうですね。また、「93年に4500万畳だったのが昨年は1900万畳と半分以下に激減し、熊本が中心のイグサ生産農家も10分の1近くまで落ち込んでいる」という現状もあるということで、畳の再生という課題も出て来ます。藤森先生が連載していた、日本家屋の見直しに焦点がよりあたることで、同時に畳の受容も高まっていくでしょうね。畳というよりも、その場で何を学んで何を行っていたのかという見直しをすることで、畳の良さを再発見出来そうですね。

  6. 棚にびっしと積まれた畳縁の写真は美しいですね。こんなにもたくさんの種類があるのかと驚かされます。きっとまだまだたくさんの種類があるのでしょうね。実家や祖父母の家には畳がありましたが、畳の上で遊んでいたり、過ごしていると、眠たくなった時にそのまま横になれば心地よく眠ることができるというのがいいですね。フローリングの床での寝心地と畳とではかなり違います。晩夏の夕方に風の通る畳の部屋でうたた寝をするというのは今思うととても贅沢な時間なのかなと思いました。そこには畳がつきものですね。確かにフローリングには掃除がしやすかったり、取り替える必要がないといういいこともありますが、畳の良さも日本人として忘れたくないですし、大切にしたいですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です