沸騰

 教育は、どんな生き方をするのかということに関係します。先週、NHKテレビで放送されていた「沸騰都市」という番組を見て考えてしまいました。この番組では、シリーズで、グローバリズムによって国境の意味が薄れ、新たに世界の主役を担うのは、国ではなく「都市」の時代が到来したということで都市に焦点をあてています。そして、世界を主導してきた超大国のアメリカの力が揺らぎ、急成長する新興国が主役交代の鍵を握る中、世界の地殻変動の舞台となっているのが、様々なエネルギーせめぎ合いぐつぐつと煮えたぎる「沸騰都市」であるということで、欲望・混沌・競争・矛盾。激動する世界はどこへ向かうのかを問いかけています。
その第1回は、ドバイを取り上げています。「世界最大の空港、世界最大の人工島、怒涛のようにオイルマネーが降り注ぎ、それを元手にあらゆる分野で世界一を目指す中東ドバイ。極めつけは、高さ800メートル、160階建て、世界最高の高さを誇る超高層ビル・ブルジュドバイ。2009年中の完成を目指して、今建設が24時間体制で進んでいる。ドバイ政府は、ブルジュドバイをピラミッド以来のアラブ社会の権威の象徴と位置づけている。」
ここでは、石油産油国として有り余るお金にものをいわせて、世界が不況に苦しむ中、世界の建設現場からクレーンを根こそぎ奪い、バングラデシュやパキスタンから母国の数倍の給料で労働者をかき集めるドバイに群がる人々の欲望の物語が描かれています。
 「子曰、君子食無求飽、居無求安、敏於事而愼於言、就有道而正焉、可謂好學也已矣」(論語 学而篇)
孔子はこう言っています。「君子は腹いっぱいに食べることを求めず、安楽な家に住むことを求めない。事を起こすときには敏速に、言葉は慎み深く慎重に、道理を身に付けた人に、自分の言動の善し悪しを進んで正してもらおうとするのであれば、学問を好むといえるだろうね」
人の欲望は際限がありません。しかし、余りに食に贅沢すぎることによって、かえって健康を害し、自分相応な生活をしないと、住宅ローンで苦しみ、サラリーローンの返済に負われ、決して豊かな生活を送ることにはならないのです。お金が豊富にあることが必ずしも人を幸せにすることにはならないのです。では、「貧乏で卑屈にならず、金持ちで驕慢にならないというのはどうでしょうか?」と、子貢が孔子に尋ねています。
「子貢曰、貧而無諂、富而無驕、何如、子曰、可也、未若貧時楽道、富而好礼者也、子貢曰、詩云、如切如磋、如琢如磨、其斯之謂与、子曰、賜也、始可与言詩已矣、告諸往而知来者也。」
孔子はこう答えています。「それもいいだろう。しかし、貧乏であっても学問を楽しむもののほうが優れ、金持ちでいくら慢心しなくても、礼を尊ぶものの方が優れている」それに対して、子貢はこう言いました。「詩経に『切るが如く、磋するが如く、琢するが如く、磨するが如し』と[妥協せずに更に立派な価値のあるものにすること]と謳っているのは、ちょうどこのことを表しているのですね。」
この例は、四書五経の「詩経」の一句にある切磋琢磨という人格を練磨することをいっています。
ドバイのありあふれる金に群がる人々を見るにつけて、何が生きている証なのかを考えてしまいました。

沸騰” への4件のコメント

  1. ドバイの映像は何度か見たことがありますが、そのたびに現実の世界のもの?と疑いたくなるような都市です。これを豊かというのかなどと考えることもできないくらい自分にとっては想像を超える風景で、なんだか怖くなったりもします。誰の言葉かは知りませんが、「もっとも豊かな人とはもっとも多くのものを持っている人ではない、必要とするものがもっとも少ない人なのだ」という言葉に出会いました。孔子の言葉を読んでいてもそうですが、今までに何度も考えてきた「自分の幸せの価値観」をあらためて考えさせられます。

  2. 結婚した時から私の一日の小遣いは、1000円のままです。いわゆる1000円亭主というやつです。物価スライドで少し上げてほしいのですが、仕事が不景気なのでどうも無理なようです。煙草をやめたおかげで、仕事から帰った時に財布を除くと500円玉が必ず残っているようになりましたので、それを貯金箱に入れるようにしています。毎年夏には貯金箱を開けて、家内と二人でそのお金で北アルプスに遠征をしています。家内の趣味は、特売品を買いあさることです。2000円のバッグを500円で買えたといつも喜んで見せてくれます。「あんたと私はミスマッチや」といつもぶつぶつ文句を言う家内ですが、生活の価値観が同じなので続いているようです。人間の幸せの条件は、地位や財産では決まるものではない、心の豊かさこそが大事だと言いたいですね。

  3. 世界の歴史を振り返ると、いわゆる「お金」の中心地が時代によって移り変わってきていることがわかります。現在は今日のブログで紹介されたドバイや上海かもしれません。一時代前は東京であったりニューヨークであったりしました。ロンドンであったこともあります。あるいはアムステルダム、ウィーン。その前がマドリッドやフィレンツェ、ベニス、・・・・・。こうしてお金持ち都市の移り変わりを見るならば「栄枯盛衰」の理が理解できると思います。わが国日本もかつて「バブル」で「沸騰」した経験を持ちました。その後「失われた10年」と称される時代を経て現在に至っています。しかもOECDによれば現在日本は「貧困率」世界第2位、だそうです。こうした時期であればこそ安易な方向に流れるのではなく、国家としての根本を見直す必要があると思っています。

  4.  私もその番組をちょうど見ました。その番組を見る前までドバイの暮らしは以前にも聞いたことがありますが、あそこまで優雅に暮らしているとは思ってもいませんでした。そして、その番組を見ていて人間の本当の幸せはお金がたくさんあることが幸せなのかな?と思いました。確かに、お金があれば不自由なく暮らせますし、欲しいものは手に入りますが、それでいいのかな?と考えます。私は本当の幸せは何か?と聞かれると正直分かりませんが、少なくとも後悔しない生き方をしたいと思っています。

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