毒の花

 町や野山の木々は、初夏に向けて華やかな花から、目にも鮮やかな新緑に覆われています。そんな草花の中には、その美しさだけではなく、食べられるものもあります。しかし、毒成分を持つ植物も多くあります。これを食べると、薬になることもありますが、死に至るような毒性の強いものもあります。今日の新聞にこんなニュースが流れていました。
「ポピーの花畑をつくろうと種をまき育ててみたら、ケシだった」というもので、茨城県下妻市で行われる「フラワーフェスティバル」会場に、法律で栽培が禁じられているアツミゲシがあることが13日分かり、市職員とボランティアら約100人があわてて手で抜き、焼却処分にしたということです。今の時期は、色々な公園でポピーが咲き乱れる花畑を見かけます。私の園でも、季節ごとにその季節の植物をモチーフにした手ぬぐいを玄関に飾っていますが、今の時期はポピーの花の絵が飾られています。
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このポピーは、ケシ科の一年草で、ヒナゲシとか虞美人草とかシャーレイポピーとも呼ばれているものですが、ケシ科ケシ属に属する一年草の植物であるケシは、日本ではあへん法で栽培が原則禁止されている種に指定されており、厚生労働大臣の許可を得ないと栽培してはいけないことになっています。
 他にもよく見かけるものでもかなり毒性のあるものがあります。トリカブトは有名ですが、他にも有毒植物が身近なもので200種類くらいあるといわれています。先日のブログで取り上げたミズバショウも、葉などの汁が肌に付くとかゆみや水ぶくれを起こすことがあり、根茎を服用すると吐き気や脈拍の低下、ひどい時には呼吸困難や心臓麻痺を引き起こす危険があります。これからの時期、可愛い花を付けるスズランもどの部分を食べても、嘔吐、頭痛、眩暈、心不全、血圧低下、心臓麻痺などの中毒症状を起こし、重症の場合は死に至ります。スズランを活けた水を飲んでも中毒を起こすことがあり、これらを誤飲して死亡した例もあるほどです。
 今の時期盛んに花を付けているレンゲツツジも全木に痙攣毒があり、花や葉は呼吸停止を引き起こすこともあります。ですから、牛や馬にとっても有毒なため食べ残すので、よく牧場ではレンゲツツジの群生地になっていることも多いくらいです。よく花には蜜があるので、子どもが吸う場合がありますが、それは危険なようです。
 夏に小学生がみんな育てるアサガオにも毒があるようです。朝顔の種を下剤や利尿剤として利用していたことが5世紀にまとめられた中国の本草書「神農本草経集註」に書かれていますし、漢方薬として奈良時代に日本に伝えられたと推定されています。
アサガオと同様、かんぴょうの材料として知られるユウガオの成長した実は、苦味が強いものがあり、食べて中毒となった事例があります。
そろそろ花が終わり実をつけ始めた梅の未熟な果実や種の中心の部分には毒成分があります。これからの時期、生の梅を買ってきて梅酒や梅干しを作りますが、子どもが食べないように十分注意する必要があります。
普通にあるものでもよく知られているものにジャガイモの芽がありますね。この部分をきちんと取り除かないと、中毒を起こします。また、市販されているものからは検出されていないようですが、モロヘイヤの種子にも強い毒成分が含まれていることがわかっています。
 美しいもの、薬になるもの、毒になるもの、それぞれを見分けるにはきちんとした知識と、深く見る目が必要です。

毒の花” への4件のコメント

  1.  花にも毒があるとは何となくですが知っていましたが、種類までは知りませんでした。その毒性がある花は私の身の回りにあるような花で驚きました。アサガオに関しては近いうちに保育園で植えようと思っていたので是非子ども達に伝えようと思います。スズランにしてもミズバショウにしてもどれも綺麗な花を咲かす花なのに、もし何かの拍子で口などに入ってしまうと体に害を与えるほどの毒を持っているとは本当に注意しなければいけませんね。これから、散歩や遠足などで毒性がある草花があれば、子ども達に危険だということを教えて、自分で危険を回避できるようになって欲しいと思いました。

  2. 植物によっては、強い毒性を持っていたり、味が苦くて吐き出しそうになるようものがあるというお話ですね。どうもこれは植物が、動物や人間に必要以上に食べらないようにする防御本能からきているようです。生きるための知恵ですね。昆虫に受粉を助けてもらったり、鳥などに実を食べさせて種を遠くに運んでもらったりと植物には弱者なりのしたたかな戦略があります。そう考えると、アツミゲシがアヘンの原料になるからといって人間様に引き抜かれて焼却されるのは、アツミゲシにしてみればいい迷惑かもしれません。鑑賞するだけなら美しい花なのに、その毒性を利用する人間の心の悪こそ問題ですね。

  3. 小さい頃は祖父やおじさんから毒のあるものや食べない方がいいものなどをいろいろ教えてもらっていました。そうやって伝承されていく知恵でもあったんでしょうね。今度は自分が伝える番になるわけですが、自信はありません。もう少しマジメに聞いておけばよかったと後悔しています。それにしてもきれいな花が毒を持っているのは「何故?」と思いますが、たとえ人間にとって毒だとしても他の生き物にとっては意味があるはずなので、上手につきあいたいと思います。

  4. 自称「毒にも薬にもならない」私としては、薬になったり毒になったり、あるいは見た目がとても美しく、その美しさに癒しをもたらす可憐な草花を羨ましく思います。下妻の「フラワーフェスティバル」の一件は私もニュースで見聞きしておりましたので、yamaya49さんと同感です。人間の身勝手な振る舞いゆえに罪もない「アツミゲシ」が火炙りの刑ですか。さぞかしアツかったでしょう。気の毒です。ポピーがヒナゲシ・・・初めて知りました。前者は自動車の芳香剤のCMをオール巨人阪神さんの阪神さんの甲高い声で記憶していました。そして後者については、無論、アグネスチャンさんの「ひなげしの花」です。こちらも甲高い声での歌いだしです。両者とも「甲高い声」が共通点であるところから、poppyはどうやら人間をハイテンションにしてしまうようです。夏目漱石もその著書『虞美人草』を執筆しているときにはテンションが高かったか、と拝察されます。なにせ記念すべき第1作ですから。

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