「日本の○○100選」というものがよく決められています。その中で、「日本の秘境100選」が、1989年にJTBが雑誌「旅」9月号が創刊750号を迎えるのを記念して開いたシンポジウムにおいて、決められています。先日ブログで何回か取り上げた「出羽三山」も選ばれています。その百選の中のひとつである和歌山県「熊野古道」に妻と訪れました。この熊野古道は、「高野山」「吉野・大峯」とともに、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産登録されています。少し前に、やはり逆転で世界遺産に登録された「石見銀山」にも行ってきたのですが、銀山として世界でも珍しいのですが、ここは、道として選ばれています。高野、熊野、吉野・大峯の各霊場に至る参詣道として、霊場への信仰が拡大するともに整備され、今日においても周辺の景観とともに良好な形で維持されていることが貴重な文化遺産として評価されたのです。
熊野古道は、紀伊半島南部にあたる熊野の地と大阪や伊勢、高野及び吉野とを結ぶ古い街道の総称で、「熊野街道」とも呼ばれています。熊野古道の中心は、大阪から和歌山を経て、田辺から熊野本宮に向かう中辺路(なかへち)。そのほか、田辺から海岸線沿いに那智へ向かう大辺路(おおへち)、高野山から熊野本宮へ向かう小辺路(こへち)、吉野から熊野本宮へ向かう大峯奥駈道、伊勢と熊野速玉大社を結ぶ伊勢路など、いくつかのルートがあります。
私たちは、今回はずっと歩く時間を取ることができなかったので、とりあえず、那智勝浦からまず、大門坂あたりの古道を少し歩いて見ました。鬱蒼と繁る大杉が両脇にそびえている中を苔むした石段が続いています。その中を熊野詣が盛んだった頃の平安の衣装を着た女性が登って来ました。このあたりでは、この平安衣装体験ができるようになっているのです。
熊野周辺は、日本書紀にも登場する自然崇拝の地でした。そして、出羽三山のように熊野三山ということがありますが、ここの場合は、三つの山ではなく、「熊野本宮大社」、「熊野速玉大社」、「熊野那智大社」の三つの神社の総称です。ここへは、907年の宇多法皇の熊野行幸が最初と言われていますが、参詣が頻繁に行われるようになったきっかけは、1090年の白河上皇の熊野行幸からと言われています。江戸時代に入ると、伊勢詣と並び、熊野詣は、広く庶民が行うようになり、一時は、熊野付近の旅籠に1日で800人の宿泊が記録されたこともあったそうです。しかし、明治維新後、神仏分離令により熊野古道周辺の神社の数は激減し、熊野詣の風習も殆どなくなってしまいましたので、この古道は、周囲の生活道路として使用されていただけでしたので、当時の面影を残していることにもなったのかもしれません。
そのあと、「日本の滝100選」のひとつであり、「日本の音風景100選」にも選定されている「那智大滝」に行きました。ここは、落差133mの日本一の直瀑です。この滝は、その落差だけでなく、滝の背後や周囲の山々が濃淡のみどりで縁取られ、そこには、「那智原始林」と呼ばれる原生林も広がっていて、滝をより荘厳にし、神と崇められていたことが頷けます。
日本人は、荘厳さから神を感じていたようです。決して、強い力が神ではなかったこと、荘厳ということはどういうことかを考えさせられた熊野古道でした。
熊野古道、いつかは是非行ってみたいところです。豊かな自然とその偉大な自然への敬虔な祈りの歴史を感じることができそうですね。本当に、最近は世界遺産がブームですね。日本の文化遺産や自然の景観を世界中の人に知ってもらいたいと思いますが、観光客の増加によって、様々な問題が起きているのも事実のようです。屋久島や白神山地では、オーバーユースによる環境問題も心配されているそうです。手つかずの自然だからこそ世界遺産に選ばれたのに、世界遺産になったとたん環境の保護を考えないといけないとは、なんとも皮肉な話ですね。また、最初から「観光地化」を目的にして、世界遺産に認定してもらおうという動きも見られるといいます。世界遺産ていったい誰のためにあるものなんでしょうか。
自然と人が見事に共生している場所では多くのことを感じることができます。歴史が大切にされ、文化は受け継がれ、自然との関係が絶妙で、そこで生活している人たちはまさに厳かな感じがします。風景からも同じように感じます。今回の長い休みに見たもののおかげで、自分の生活がそれとは正反対であることを反省させられました。○○百選や世界遺産は、いつまでも訪れる人に何かをメッセージを与えてくれるようなところであってほしいと思います。
どの写真も本当に素敵な風景ですね。どれもジブリアニメに出てきそうな風景で、日本にもまだまだ、こんな素敵な場所があるのだなと安心しました。「日本の滝100選」「日本の音風景100選」の二つの100選に選ばれているだけあって、ブログの写真でも十分に迫力が分かります。滝の落差も日本一もあるかもしれませんが、その滝を囲う周りの自然の風景も素敵です。それとも先生が撮られた写真のアングルが素晴らしいのかもしれませんね。100選に選ばれるには全てのバランスがとても大事だと思いまいした。
紀州とか吉野とかが話題になると、我が家の先祖のことが偲ばれます。というのは、祖父・父・叔父・伯母から聞いている話によれば、私の先祖は紀州出身だとか。ただそうした言い伝えがあるだけなのですが、子どものころから聞かされていることなので「ただのお話」として片付けるには相当抵抗があり、さりながら、その「お話」を立証する証拠もなく、かと言って無碍に否定するわけにもいかず、まことに悩ましい限りです。妄想に妄想を膨らませるならば、もしや南朝関係の落人がわが先祖か。いずれにせよ、この「お話」は息子にもきっちりと伝える必要がありそうです。那智大滝の瀑布は見事ですね。那智権現と呼ばれる所以。この見事さは荘厳にしてかつ霊験あらたかです。