数値2

  各国が教育に投資するのは、なぜでしょうか。義務教育という言いかたがあるように、子どもにとっては権利であり、大人は子どもに教育をする機会を与えなければなりません。ですから、ある意味で、教育は、社会保障的な側面がありました。それが、最近は、社会あるいは個人の投資としての側面が重視されてきたと文科省では分析しています。ですから、教育費の高さが、各国の教育に対する熱心さ(重視度)、あるいは教育投資の程度をあらわしているといえるとしても、教育投資の効率が分からないので、実質的な教育投資の程度を必ずしも反映しているとは限らないとしています。
  しかし、昨年末、来年度の国の予算を見て「少子化なのに、なぜ教育予算が増えるのか」という疑問がぶつけられました。確かに、数字的に見ると、公立小中学校の児童生徒数は1989年度の1488万人から2005年度には1043万人まで30%も減っているのに引き換え、小中学校にかかる費用は8兆6299億円から9兆977億円となり、5%増になっています。これが、教育投資の増加と見るか難しいところですが、この教育費増加の最大の原因は、教員の給料のベースアップや平均年齢の上昇によるようです。少子化でおのずと教員の定数も減りますが、給料の自然増で1兆円規模の引き上げ要因になっているといいます。
  しかし、少子化で子どもが半分になったからといって、かかる費用が半分になるのかというとそうではありません。一クラスの子どもが半分になったから、教師も半分になるわけでも、給料を半分にするわけにもいかないのです。また、電気を半日つければ言い訳ではないのです。逆に、教育費の公的負担が、年金、福祉など高齢者対策に比して高い国ほど出生率が高く、逆に高齢者対策のみが大きくなると子育てを逃れる者(フリーライダー)が増えて出生率が低くなるという点もデータで示されています。このように、とくに教育や福祉などでは単純にある箇所だけの数字に表せるものでもない部分が多くあります。
 また、平成16年度版「教育指標の国際比較」によると、我が国の進学率は高い水準を示しています。義務教育後中等教育への進学率は、日本が全日制進学者で94.3パーセント、定時制・通信制(本科)及び専修学校(高等課程)への進学者を含めると97.6パーセント(2003年)にもなります。アメリカ合衆国88.6パーセント、イギリス71.4パーセント、フランス87.6パーセント、ドイツ83.8パーセントと比べると確かに我が国は高い水準を示しています。しかし、この数字が果たして高い教育水準になるのかというと首を傾げたくなります。こんな数字を上げるのは簡単です。フランスでは約41パーセントである大学進学率を上げるために、1980年代半ばから,バカロレア(大学入学資格)水準に到達する生徒を80パーセントにするという目標を掲げ,後期中等教育以降の拡大政策をとった結果,1990年代に入ってバカロレアの取得率が大幅に上昇し,現在,同一年齢人口の約6割になっています。それは、バカロレア取得者は,原則として無選抜で大学に入学できるとしたためです。
 しかし、みんな大学までいけてよかったよかったということではないでしょう。どの世界でも量と質のバランスが大切です。

数値2” への4件のコメント

  1. フランスの大学進学率の話はわかりやすいですね。何のために数字をあげようとし、それがどういった意味があるのか。ここを考えなければ数字などはどのようにも操作できてしまうので、まったく意味はないと思います。量だけでもいけないし、質だけでもうまくいかないでしょう。言われるとおり、何事もバランスです。
    先日、教材費の流用のことがニュースで取り上げられていました。わが県では、交付税措置された図書購入費で予算化されたのは47%、教材費で予算化されたのは30%だったという内容でした。この数字も立場が違えばいろんな見方ができるのでしょうが、思わずため息がでました。県の姿勢の問題なのか、国のシステムの問題なのかはわかりませんが、県の財政状況によって違いがあっていいことなんだろうかと考えさせられました。

  2. 数値による判断が全て、とは思いませんが、やはり数値の増減の分析とその増減による効果については一定の評価が伴うべきだと思います。少子化にもかかわらず文部科学省管轄の教育費が増大する。これは何か抜本的な施策でもその背景にあるのか、と期待して中身を見れば、なんと、先生たちの給与アップ分。しかも教育振興基本計画によれば「校舎の耐震工事」に相当の予算がつけられるようです。教員の給与アップも校舎の耐震もとても大事なことではあります。後者によって子どもたちの「生命の保持」が保障される可能性が大になるかもしれませんが、前者によって子どもたちにもたらされる効果は・・・?小学校に通う私の息子のクラス担任はお会いするたびに疲労の度合いを深め「五月病」?「六月病」?かと気の毒になります。そうしたやるせなさ?の矛先をどこにもっていくのか?保育園の年長担当(前年度)との話し合いを要求してきました。元気付けになればいいのですが・・・。

  3.  日本の義務教育終了後の中等教育への進学率が高いのは初めて知りました。ですが、進学率が高いからと言って世界ではどのレベルにいるのか?と考えると、案外そうでもないかもしれませんね。実際に私の周りでは無理に高校へ進学してドロップアウトしている知り合いが何人もいます。だからと言って辞めるなら進学をしない方いいというわけではありませんが…。一人ひとりがしっかりと自分がやりたい事を見つけれるような環境が必要だと思います。それによって高校への進学率が下がってしまうかもしれませんが、中途半端な生き方はしなくなると思います。そっち方が数値を上げるより大切な事だと私は思います。

  4. 以前、藤森先生が安家周一先生との対談の中で、諸外国との比較の中で、日本の国が幼児教育にかける予算が、先進国の中でとても低いレベルにあるということを話題にされていました。全体の教育予算が日本は外国に比べて、決して多いとは言えない上に、子どもの人格の基礎を作る大切な幼児期の教育に予算を回そうとしないのは、それが「就学前教育」だからということでしたね。学校教育を「保育後教育」と言えるようにしたいとのお話には感銘を受けました。厚生省は、青少年の問題、たとえばフリーターやニートの就労対策に多くの予算を費やしているようですが、それは過去に幼児教育を軽く見たつけが回ってきた結果だと思います。幼児教育を大切にしない国は、衰退こそすれ栄えることはないと思います。

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